社会県民クラブの平岩純子です。わざわざ傍聴に来てくださいました皆様に心よりお礼申し上げます。
私は、1年間直接県民の方からいただいた切実な問題について質問させていただきます。知事をはじめ執行部の皆様の積極的な答弁を期待し、通告に従って質問いたします。

1 米海兵隊による日出生台演習について
はじめに米海兵隊による日出生台演習についてです。沖縄の米兵による少女暴行事件を契機に1997年、沖縄の痛みを少しでも軽減させるため、在沖縄米軍の本土5箇所での実弾砲撃演習が決まりました。日出生台では1999年から訓練が始まり、今年で6回目になります。私たちは、牧畜や農業に従事する人々、そしてそこで学ぶ子どもたちが安心して暮らしたいという思いに共鳴し、緑豊かな自然を破壊する演習に一貫して反対してきました。さらに訓練に参加する海兵隊員は米軍の突撃部隊であり、イラクの地で罪もない人々が殺戮される報道を見るにつけ、戦争訓練の場として日出生台が使われることに怒りをもって行動してきました。その間、沖縄の痛みは軽減せず、日出生台での演習が恒常化し、基地化していく不安も感じてきました。
今年も海兵隊の実弾砲撃訓練に心を痛めていた演習初日に、小銃、機関銃を使う新たな訓練申し入れが防衛庁から県の日出生台演習場問題協議会、いわゆる「四者協」になされたと報道され、驚くべき事実が次々と明らかになりました。155ミリ榴弾砲と小銃、機関銃は一体のもので、1回目の訓練から持ってきていたこと。使用しなかっただけで防衛施設局には要請しているとのこと。県には、1月17日と27日に要請があったこと。テロから狙われる危険があるため、日程などの公表はしない方針であること。そして米軍の現地指揮官は、協定の内容すら認知していなかったことなどです。
今回の要請について広瀬知事は、訓練拡大を直ちに断り、再度要請があっても拒否する考えを県民に伝えていただきました。すばやい対応に心より感謝申しあげます。
県および地元自治体、それを支える政党や団体の終始一貫した努力で「演習拡大」は阻止できたものの、不安材料は拭い切れません。何故ならば、訓練拡大を米軍は、日本政府が了承すれば実施できるという見解に立っているからです。また他の4地域では、協定書は結ばれていません。したがって、日出生台以外で拡大されれば、なし崩し的に拡大、強化される危険性があります。今回の演習は、地元に十分な情報開示がなされないまま進行していき、過去最高の570発が日出生台の大地に打ち込まれたということです。
知事は、今回の一連の防衛庁、そして米海兵隊の行動をどう捉えていらっしゃるのか。そして、今後とも訓練拡大とそれにつながる要求に断固拒否する決意をお聞かせください。
知事答弁 私は、昨年6月、日出生台にお伺いいたしました。高陣ヶ尾(たかじんがお)の高地で、地元の農業者グループの代表の方から演習場の説明を受け、広大な土地が、旧陸軍の時代からおおよそ100年にわたり、演習場として使われ、こうした厳しい環境の中で地域の皆さん方が、農業、畜産業に取り組んでおられる姿を拝見させていただきました。
その後、小野原(おのばる)のコミュニティーセンターで、地域の農業者や、女性、高齢者の方々等と、膝を交えてお話をさせていただきました。その中でも、特に、演習場とともに暮らしてこられた地域の皆さん方の不安やご苦労を感じたところです。
そういう中、1月17日以来、数次にわたり、防衛庁から小火器の実弾射撃訓練の話がありました。
日出生台演習場における米軍の実弾射撃訓練につきましては、「将来において縮小もしくは廃止されることが望ましく、決して恒常化されることがあってならない」というのが県の基本的考え方であります。
この観点から、今回の申し入れについては、協定に明文化されておらず、また、「訓練の縮小・廃止」という基本的考え方にも反するものと考え、直ちに、県と地元1市2町でお断りいたしました。
防衛庁においても、県及び1市2町のこのような意向を尊重していただいたものと考えております。
さて、今後のことですが、政府は、日出生台演習場において、これまでの沖縄での訓練と同様に小火器の実弾射撃を伴う砲陣地防御訓練等を行うことになったとしても、「SACO最終報告」に照らすと、問題があるものではないという見解を示しております。その意味では、議員ご指摘のように、日出生台演習場において小火器の実弾射撃訓練が行われるとの不安材料があるのも事実であります。
私としては、日出生台に暮らす方々の思いを、常に念頭に置きながら、従来どおり協定の遵守(じゅんしゅ)、訓練の縮小・廃止という基本的な姿勢で、対処していきたいと考えております。
2 教育について
次に教育に関する質問をいたします。
その前に、お礼と要望を申し上げます。小学校1年生の30人学級が実施され2年が経過しました。保護者や現場の教員から喜びの声を聞くにつけ、教育効果が上がっていることを実感しています。さらに来年度から知事の英断で小学校2年生まで拡大されることとなりました。このニュースが別府のある小学校に伝わった時、職員室では歓声が沸き起こったそうです。学習活動が活発になる2年生になって大人数の中で戸惑い、退行現象を起こしたり、問題行動が現れたりするケースを数多く聞いていただけに嬉しい限りです。
今後の課題として、20人の下限については、チームティーチングの導入等により配慮がなされていますが、引き続き教育委員会で前向きな検討をお願いします。
(1)軽度発達障がいのある生徒の公立高校進学について
次に「障がい」を持つ子どもたちの後期中等教育についてお聞きします。
大分養護学校の高等部設置、庄内養護学校の分教室設置が実現の運びとなり感激しています。これで長い間バスに乗り続けることや保護者が1日2往復して送り迎えする負担がなくなり、安心して自立への一歩を踏み出すことができます。
しかし、中学校の「障がい」児学級で学ぶ3年生の生徒たちには、進路の問題で大きな壁があります。軽度発達「障がい」の子どもの場合、知的「障がい」児学校への受験資格はありません。公立の高等学校への入学は、とてつもないハードルです。数年前までは、私立高校で事前調査、本人・保護者面接を行い、入学できるケースも多かったのですが、現在は厳しくなっています。それでも担任は、何とか受け入れてくれる私立高校を探し出し、3学期は担任と生徒が面接に向け、塾並みの特訓をしているのが現実です。せっかく私立高校に入れても保護者に経済力がなければ、学費を払うことができず断念しなければならないケースもあります。義務教育の中では、特別支援教育の充実を進めていますが、義務教育後のグレーゾーンにいるといわれる軽度発達「障がい」の子どもたちを伸ばす場の保障をどうお考えでしょうか。大阪府教委では2006年度入試から知的「障がい」を持つ生徒に普通校の門戸を広げ、全日制公立高校10校で計20人の定員枠を設けるようになっています。誰もが高校へ進学する今、軽度発達「障がい」のある生徒の公立高校への進学について、ご見解を伺います。
教育長答弁 議員ご指摘の学習障がいや注意欠陥多動性障がい等の軽度発達障がいのある生徒は、知的な発達に遅れはないことから、高校進学に当たっては、その能力等に応じて、現行制度のもと、受験をしております。
県教育委員会では、入試に際して、生徒が十分にその能力を発揮できるよう意を配しております。例えば、視覚障がいの生徒の受験の実施に際しては、試験問題の文字を拡大する等の配慮をしており、今後、軽度発達障がいの生徒の受験についても、一人ひとりの実態等を的確に把握し、どのような配慮が必要か検討してまいりたいと考えております。
(2)教職員の職場環境と学力テストについて
次に学校現場の多忙化と学力問題について質問します。
この数年、定年を待たず退職する教員が増えています。教職の危機は慢性的な多忙化と過労に示されています。授業に加え、朝の「読書タイム」、漢字・計算の「スキルタイム」、始業前や休み時間の「運動タイム」など学力向上、体力向上の名のもと、新たな取組が次々と求められ、数年来減少傾向にあった研究指定校も増加し、ゆとりを感じることができない教育が進行しています。
厳しい家庭環境の子どもたちが急増して、どの学校でも情緒的・精神的に不安定な子どもたちが増えてきています。夜中まで生徒指導に追われる教員も少なくありません。ぎゅうぎゅう詰めの日課表は、子ども一人ひとりをしっかりと見つめたいと願う教員からふれあいの時間を奪っています。「授業で勝負」教員なら誰もが願うことです。しかし、授業で勝負するために必要不可欠な教材研究の時間さえ確保できず、授業をお互いに見合ったり、教材の提示方法や解釈などについて、話し合ったりする時間すらとれない職場が増えています。夜遅くまで学校で仕事をし、さらに家に持ち帰ってやっと仕事をこなしているそれが実情です。そんな中で病気休職者は増え、とりわけ心の病気を抱える教員の比率は約7割を占めています。それでも「学力低下」の大合唱は鳴り止まず、勢いを増すばかりです。
一方、生徒の間でも問題が発生しています。「卒業を目前にして学校にいけなくなった。」と相談を受けたのは1月前のことです。不登校気味の友達に寄り添い、リーダーとして活躍してきた子どもが、受験競争の中で立ち止まってしまい一歩も進めなくなっていました。熊本大学の三池輝久教授は講演の中で「『不登校児』と呼ばれる小学生、中学生の報道が注目されますが、実際には年齢が上がるほど増加し高校生で推定5%、大学生にいたっては推定5〜7%程度が留年・休学・退学という形で現れています。全ては、子どもたちが夜遅くまでがんばる夜型生活と起床時間が元のままである生活リズムから慢性の睡眠不足へと進むことから始まります。脳は脳を守るために眠るのです。寝ないでがんばることは、特に成長の盛りである子どもたちには極めて危険なことということができます。」と述べられています。私は、県教委の行った学力テストの学校名公表は競争を激化させ、子どもたちの成長を阻むのではないかと危惧しています。一部のマスコミは「優秀校」として新聞に掲載しました。その結果、保護者、地域そして子どもたちを少なからず不安と混乱に陥れました。地域の学校を敬遠し、私立の中高一貫を受験する子どもたちも出て、受験競争は低年齢化の様相を呈しています。
学力とは本来、読み、書き、計算のスキルだけでなく、生きる力や思考力、創造力、問題解決能力、自己表現力などを含めた幅広いものです。しかし、学校名公表により学力が狭義のものとして捉えられ、誤ったランク付けがされてしまったことが残念でなりません。
子どもの前に立つ教職員は、溌剌とし好奇心あふれる人でなければ、子どもに夢を与えることはできません。そこで、教職員がゆとりを持って職務に専念することができる施策をどう展開するのかその方策をお示しください。
さらに一斉学力テストに関わる学校名公表がもたらした混乱をどう捉え、解決しようとするのかお答えください。
教育長答弁 教職員が健康で生き生きと職務に専念する上で、勤務環境の整備・改善と健康の保持・増進は重要な課題であると認識しています。
そのため、教職員を対象に時間外勤務等の実態調査を行うとともに、すべての学校において勤務実態改善計画を策定し、勤務環境の整備・改善を指導しているところであります。
また、教職員の定期健康診断結果や病気休職者の実態等を踏まえ、生活習慣病及びメンタルヘルス対策について重点的に取り組む「教職員健康支援センター」を4月から開設することとしています。
次に、学力テストについてですが、テストのねらいは、児童生徒の学力を客観的に把握し、授業改善に活かすことにより学力の向上を図ることにあり、また、学校名の公表は、学校、家庭、地域が一体となって学力向上に取り組むことをねらいとしています。
各学校においては、県教育委員会が作成した報告書や指導資料を基に、自校の課題とその改善策を明らかにし、学力向上会議等を通して、保護者や地域と連携した学力向上の取り組みを進めています。
また、昨年10月と本年2月に保護者を対象に、テスト実施と学校名公表の目的などを内容とした説明会を行ったところ、「読み、書き、計算などの基礎学力は大切であり、公表しながら学力向上に取り組んでいくことは大事である。」など多くの意見を頂きました。
今後とも、勤務環境の改善や教職員の健康増進を一層図るとともに、児童生徒の学力向上に努めてまいります。
(3)女子生徒制服へのパンツスーツ導入について
次に制服のズボン着用について質問します。
日ごろ見慣れた女子生徒の制服ですが、セーラー服やブレザーにプリーツスカートやジャンパースカート。スカートであることは当たり前として見てきました。しかし、教職員のパンツスタイルを見て「わたしもパンツスーツがいいなぁ。」と思う女子はいないのでしょうか。
高校教員による女子制服の着用状況調査によると冬場、寒くなると制服の下にジャージズボンを重ねて着用する生徒が66%。スカートの上から膝掛けを腰に巻いて校内で過ごす生徒が58%いるそうです。こういうことを禁止している学校もありますが、スカートでは寒いため苦肉の策でしょう。しかも、県下の県立学校の中でパンツスーツを導入しているのは2校だけです。
中等教育・高等教育機関では、明治中期から大正期にかけて制服が制度化されました。男子向けモデルは軍服、女子向けモデルは海軍服です。今から100年ほど前のスタイルを今なお受け継いでいるのが制服です。県立で校内に制服検討委員会が設置されている学校は18%ですが、その構成メンバーに生徒が入っている学校は少なく、ほとんどが男性教職員です。制服を学校のユニホームと見るのか、生徒管理の手段と見るのか見解が分かれるところですがこの状態で女子の制服について論議するには無理があると思われます。
そこで提案です。学校が再編される中で、学校プロジェクトの一環として制服の見直しを行ってはどうでしょうか。そして女子生徒にとって寒さをしのぎ、自転車・バイクにも安心して乗れる心身ともに快適でいられる制服について考えた時、パンツスーツを導入することを提案します。経済的な面でスカート、パンツスーツを両方購入するのは無理があったり、少しでもスタイルを良く見せたい思春期の生徒にとって希望者は、はじめは多くはないかもしれません。しかし生徒が多様化している今、選択肢の中にパンツスーツを入れるべきだと考えます。見解をお聞かせください。
教育長答弁 制服は、生徒が集団の一員としての自覚や愛校心をもつとともに、有意義で健全な学校生活を送るためのものであり、各学校の責任と判断において決定されております。
また、制服は、時代の変化や地域の実情、保護者の考え方、利便性や防寒性、経済的な負担等を十分に配慮して、そのスタイルや材質等を各学校が適切に決定するよう指導しております。
議員ご提案の女子生徒制服へのパンツスーツ導入につきましては、現在、オプションとして採用している県立高校もあり、各学校が制服の見直しを行う中で、選択肢の一つとなりうるものと考えております。
なお、4月に開校する三重総合高校においては、スラックスが冬服のオプションとして採用されております。
3 携帯電話中継基地局の電磁波について
次に携帯電話中継基地局による電磁波について質問します。
携帯電話の普及に伴って、中継基地局の数が増えてきました。中継基地局とは、有線の電話網と携帯電話の間を中継する設備で、高さ15〜50メートルの鉄塔を建てたり、マンションやビルの屋上、電柱の上、地下鉄ホームの天井などに設置されています。県でも電気通信格差是正事業で鉄塔の助成をしています。
どこにいくつの中継基地局を建てるかは、携帯電話の通信会社が独自に決定しています。どこでも通話できるようにとの配慮から、人口の少ない地域にも建てられています。気をつけて見ていると、いたるところに中継基地局ができています。山の中、田んぼの真ん中ならば、さして問題にはなりません。しかし今、動画のやり取りができる第3世代携帯の普及に伴い、携帯電話会社が住宅地のど真ん中に基地局を設置するケースが増えており、設置に伴う健康被害の報告もあるなど各地で問題が起こっています。
基地局設置にあたってのよりどころになっているのが、総務省の「電波防護指針」です。
大分市のある小学校から62メートル、県の急傾斜地崩壊危険箇所と指定された場所に基地局が建設されると住民が知ったのは工事の直前でした。大人よりも子どもの方が電磁波の影響を受けやすいという専門家の説もあり、保護者が大慌てで地域住民に知らせ、基地局を建設しないでほしいと署名活動が始まりました。その間2回、会社側との話し合いが持たれましたが、住民を納得させる説明はなされず、20日足らずのうちに工事が進み、稼動を始めました。あまりにも住民無視のやり方でした。「基地局から出るマイクロ波は本当に安全なのか」については、世界的には議論が分かれています。欧米では、電磁波問題は「21世紀の公害」と呼ばれるほど知名度が高く、ヨーロッパでは「16歳以下の子どもは、できるだけ携帯電話を使わないように親が注意すべきだ。」との勧告を出しています。頭痛や吐き気などを訴える電磁波過敏症の人も出始めていますが、人体への影響のメカニズムは未解明の段階です。ただ、はっきりしていることは、シロでもないクロでもないグレーゾーンに置かれ、発達段階にある細胞をもつ子どもや妊婦が24時間被爆し続けることに影響があると言われる電磁波に対する不安です。建設により圧迫感を感じ、毎日押しつぶされそうになりながら生活している住民がいるということです。それは一部の人かもしれません。しかし、携帯の普及とともに増え続けることでしょう。携帯電話は現代人にとって欠かせないものかもしれません。だからこそ危険性のあるものに対して、予めできるだけ回避をする「予防原則」の視点に立って、行政がルールづくりをしていかなければならないと考えますが、見解をお聞かせください。
また、電磁波自体は体内に蓄積しませんが、外部からの電磁波の刺激に対する反応、言い換えれば身体への影響は蓄積されます。体内に蓄積され、ある日突然発症するかもしれない電磁環境についての見解をお聞かせください。
さらに、少なくとも倫理規定を謳っている会社が住民と摩擦を起こさず、きちんとした説明責任を果たす規制を加えるべきだと考えますが、企業の倫理観・説明責任について、考えをお聞かせください。
企画振興部長答弁 電波行政は国が所管しており、総務省において、「電波防護指針」を策定し、携帯電話事業者等に対する規制を行っています。この基準は、国際非電離放射線防護委員会等が策定した基準と同等のもので、十分安全な基準とされています。
ご指摘の「予防原則」に立ったルールづくりという点については、世界保健機関(WHO)が「こうした国際的なガイドラインに、さらに大きな規制を加えることにより、ガイドラインが持つ科学的根拠を覆すべきではない」旨の見解を示しています。国もこの考え方に沿って現時点では、基準値をより厳しくすることは適当ではないとしています。
また、電波が人体に与える影響についてですが、「電波防護指針」は、50年以上にわたる世界各国の研究結果に基づいて基準を設定しており、その基準値を満たしていれば、人間の健康への安全性が確保されるというのが国の考え方であり、国際的な共通認識となっています。
しかしながら、日進月歩で技術革新が行われており、新たに開発された技術の人体への影響については、これまでも世界的規模で研究されてきたところであり、これからも研究が進んでいくと思われますので、その動向を見守ってまいりたいと考えております。
なお、国は、基地局の建設にあたって周辺地域の住民から要望が寄せられた場合には、その内容を関係の携帯電話事業者に連絡し、住民との話し合いに努めるよう要請していますので、住民との話し合いの際には、専門的・技術的な事柄や安全性などについてわかりやすく説明することが望ましいと考えております。
4 福祉について
次に福祉に関する質問をします。私は2年間、「学級崩壊のチャンピオン」と呼ばれる子どもたちが立ち直っていく姿を一時保護所や二豊学園を通して見てきました。信じられる大人に出会った時、自分のことをしっかりと見てくれる存在に気づいた時、子どもたちは自らの意志で立ち直っていきます。と口で言うのは簡単ですが、そこには昼夜を分かたず這い蹲るようにしながら子どもに寄り添う職員のひたむきな努力がありました。どちらかというと陽のあたらない部分にしっかりと目を向けてくださった県当局、福祉保健部に敬意を表し、個々の課題について質問いたします。
(1)中央児童相談所の将来構想について
まず中央児童相談所です。ある中学校の教員が子どもの最新の判定が必要ということで生徒、保護者と児童相談所を訪れました。驚いたのは12年前に訪れた時と変わらない内部であったということです。1968年に建てられた中央児童相談所は応急的な対応をされ、待合室、相談室、検査室を職員手作りで明るいイメージにと心がけていますが、他の相談者とも一緒になり、同伴した子どもは最後まで落ち着けなかったそうです。職員増員により、マンツーマンでペアを作っての体制が取れるようになりましたが、児童相談所を訪れる子どもたち、それに付き添う保護者は厳しい状況でやってきます。不安を抱えて訪れた人を癒してあげられる空間であるべきです。そこで、中央児童相談所の将来構想についてお聞かせください。
福祉保健部長答弁 社会福祉センターは、児童相談所をはじめ障がい者や女性を対象とする相談所や入所施設を併せ持つ総合相談センターとして、昭和43年に開設されました。
しかし、その後の社会福祉を取り巻く状況の変化等に対応して、その機能・役割を見直し、昨年度末には身体障がい者の入所施設を廃止したところであります。
中央児童相談所については、虐待を受けた児童の増加等に対応して、居室等の増改築、児童福祉司等の職員の増員など、近年、特に機能強化に力を注いでまいりました。
一方、児童福祉法の改正により児童相談は一義的に市町村で担うこととなり、児童相談所は専門性の高い困難事例への対応や、市町村の後方支援に重点化することとされ、また、来年度からは、中核市においても、児童相談所が設置できることとなりました。
さらに、婦人相談所についても、ドメスティックバイオレンス等に的確に対応できるよう、相談支援機能や一時保護機能を強化する必要があります。
こうした新たな課題や施設の老朽化等を踏まえて、中央児童相談所のみならず、社会福祉センター全体の今後の在り方について検討を進めてまいりたいと考えております。
(2)一時保護所の職員体制について
一時保護所、二豊学園については、これまでその実情を述べてきましたので、時間の関係で申し上げませんが、一時保護所の入所児童数は年々増加し、本年度の数は昨年12月段階で昨年度を上回っています。そのうちの34%が被虐待児です。昨年から教員が2名配置され、プログラムを組んだ学習を通して、子どもたちには自信が芽生え、日課をきちんとこなせる体制ができています。ただ増改築により死角の部分ができたことも事実です。さらに近年幼児が増え、身辺処理の指導も不可欠です。保育士も含めた今後の職員体制をどうするのかお聞かせください。
福祉保健部長答弁 一時保護所の受入れ児童数の増加等に対応するため、本年度、居室等の増改築を行うとともに、児童指導員の増員を行い、入所児童の処遇改善に取り組んでいるところです。
また、幼児を含め児童には、職員が一丸となり、情熱を持って接していることから、入所児童の増加や、入所期間の長さにかかわらず、心身の安定や基本的生活習慣を取り戻すこと等に効果をあげております。
しかしながら、定員増に伴ってこれまで以上に緊急入所や入所児童の病気など突発的な事態の増加が予測され、休日や夜間の体制を強化する必要があることから、勤務体制を見直すととも、職員を増員することとしております。
今後とも、児童への適切な処遇が図れるよう、生活指導等の充実に努めてまいりたいと考えております。
(3)要保護児童のための専任職員配置について
次に二豊学園では寮舎改築予算が計上され、厳しい財政の中での県当局の英断に感謝申し上げます。しかし、二豊学園にはもう一つ大きな課題があります。それは卒園し高校に通う生徒のサポート体制だと思います。飲んだくれたり、心に病気を抱える親元に帰っても支える人がいなければ、子どもは戸惑い、悩みまた自分を律することができない状況が生じます。職員の方は、施設の中の子どもに手いっぱいですが、それでも時間外に子どもたちと会い、何とか悪い方向に行かないよう支援を続けています。次世代育成支援課では様々な子育て支援を行っていますが、要保護児童の為の職員体制が十分だとは思えません。児童相談所と教育委員会をつなぎ、子どもたちを連続して支援する専任スタッフの次世代育成支援課への配置が急務だと考えますがご見解をお聞かせください。
福祉保健部長答弁 被虐待経験などにより問題行動を有する児童が増加する中で、二豊学園の体制を強化するため、15年度に、児童の心を癒しケアに当たる心理担当職員を2名配置するとともに、17年度には、退所後の児童の支援を行う職員を配置したところです。さらに、教職員も逐次増員するとともに、一時保護所についても2名の教職員を配置し、支援の充実に努めています。
学園を退所した児童に対しては、一人ひとりの実情をよく把握している施設職員が、児童相談所や、児童が通う学校の関係者等との連携を密にしながら、継続的な支援に当たっております。また、次世代育成支援課においては、児童が必要としている支援が現場において円滑に行えるよう、教育委員会や家庭裁判所、警察との調整など、各般にわたり、後方支援に当たっているところです。
さらに、児童虐待防止対策の一層の強化や里親制度の拡充、二豊学園の今後のあり方の検討などに取り組む必要があることから、本庁職員を増員し体制を強化することとしています。
今後とも、児童養護施設や児童相談所、教育委員会等の関係機関はもとより、児童自立援助ホーム、市町村の要保護児童対策地域協議会などと連携を図り、切れ目のない支援に努めてまいりたいと考えています。
(4)児童福祉施設での教員研修について
加えて教育委員会では、義務制の教員を6ヶ月間民間企業に派遣し、社会体験活動を行っています。そのことも意味深いと思いますが、児童自立支援施設や児童養護施設にも派遣し、かけがえのない体験をしてもらうことが学校現場へ役立つことだと思います。教育長の考えをお聞かせください。
教育長答弁 県教育委員会では、教員を民間企業等に派遣し、教育現場と異なる環境での実地研修を通して、意識改革や、時代の変化に対応できる人材の育成を目的とした社会体験研修を実施しています。
研修先については、これまでも百貨店や銀行等の企業のほか、養護老人ホームや通所授産施設などの福祉施設においても行っているところです。
議員ご提案の児童自立支援施設や児童養護施設での体験は、学校教育において児童生徒理解にもつながることから、本研修に取り入れることを検討してまいります。
5 フラッグショップについて
最後に4月中旬に開店予定の大分フラッグショップ「坐来(ざらい)おおいた」について質問します。
アンテナショップ開設事業費として2005年度は、1億7,150万9千円が予算化され、2006年度はフラッグショップ活用推進事業費として、5,104万5千円の予算案が提案されています。行財政改革の中で県民の皆さんも注目しています。県民の意見をお聞きすると、「銀座のオフィスビルの8階に客が来るのか」、「フラッグショップで県産品が売れるのか」という心配の声が返ってきます。このような県民の懸念を払拭し、県全体に元気が出るように、この事業は成功させなければならないと思います。2006年度の事業目的を私なりに考え、要約すると、(1)マーケットから支持される商品開発、(2)その商品を開発するための人材育成、(3)開発された商品の広報宣伝の3点だと捉えています。
そこで知事に伺います。フラッグショップを通じて東京の消費者に紹介する商品があると思いますが、マーケットから支持される商品開発については、どのように実施していくのかお考えをお聞かせください。
また、商品開発にあわせて、フラッグショップで首都圏にチャレンジする人材を育成していこうと考えているようですが、具体的にどのように取り組む予定なのかお聞かせください。
最後に、多くの方々にフラッグショップに来て頂き、県産品を首都圏で売り込むためには、効果的な広報による大分のイメージアップが必要だと思いますが、どのようにショップを売り込んでいかれるのかお聞かせください。
知事答弁 フラッグショップは、「食に情報を乗せて」大分情報を発信していくことを目的にしています。
安全・安心で生産者の顔が見える旬の食材を用いた料理を提供し、スタッフが大分の語り部として、上質なサービスをしていくことで大分ファンをつくり、さらに口コミでリピーターを増やして徐々に大分ファンの輪を広げていくこととしており、ビルの上層階であっても十分対応できるものと考えています。
ただ、こうした戦略を成功させるためにも、ご指摘の商品開発、人材育成、広報活動は大変重要であり、隣接する東京事務所と一体となって取り組んでいきます。
まず、商品開発についてであります。物産等の商品開発を進めるには、何より生産者が消費者やマーケットを知ることが大切です。
このため、まず、顧客の反応、評判、クレームなどの生の情報をショップが生産者に対して頻繁にフィードバックしていきます。また、量販店等のバイヤーをショップに招聘(しょうへい)して商談会等を開催し、生産者が商品に対する評価等を直接把握できるようにします。さらに、全国的な商品開発の専門家から、直接生産者に商品内容、パッケージデザイン等を指導していただきます。
これらを通じ、生産者の意識向上まで視野に入れて、消費者に支持される商品開発を促進することとしています。
次に、人材育成についてです。
1月に実施した求評・商談会では80社余りが参加するなど県内には意欲的な生産者がたくさんいます。こうした生産者が、消費者や百貨店等のバイヤーと出会い、厳しい評価やセールスポイントを知るなど刺激を受けることで、意識を変え、挑戦する意欲を醸成(じょうせい)することが重要です。
徳島県上勝町(かみかつちょう)の葉っぱビジネスと呼ばれる有名な取り組みがあります。お年寄り達が生き生きと働き、料理に添えるツマモノ用の葉っぱを出荷して年商2億円を超える取り扱いになっています。パソコン等で市場の情報をチェックしたり、料理店の現場を見学したりする中で、ユーザーの求める品質管理、安定供給の重要性を肌身で学び、葉っぱというどこにでもある資源を立派な商品に育てました。
まさに、生産者が外部と接することで、消費者の視点からつくることの喜びを実感し、生産意欲が向上することで、ビジネスが拡大していった好例です。
そこで、県としては、商品の展示、販売や商談会等の開催に加え、専門家によるシンポジウムの県内での開催を通じて市場ニーズに触れる機会をつくり、チャレンジ精神をもった人材の育成に努めていきます。
次に、広報活動についてです。
IT化の進展や広報媒体の多様化などにより、広報戦略自体が最近大きく変化しています。県としては、戦略的なパブリシティと口コミを効果的に繰り返していくことを広報の中心に据えて取り組んでいきます。
まず、パブリシティについては、商談会や地域フェアの開催を通じ、大分の天然自然、多様な食材、歴史・文化、物産などの情報をマスコミに提供し、テレビ、雑誌、新聞に取り上げてもらうことにしています。
既に、ショップの開設を知り都内の情報誌等に掲載されたり、全国放送の番組から取材の申し込みがあるなど動きが出始めています。
次に、口コミですが、インターネット時代においてその情報伝達能力は、例えばキットカット(きっと勝つど)というチョコレート菓子が、受験シーズンを中心にシェアを大きく伸ばすなど、商品の販売戦略のうえでも無視できないほど、飛躍的に拡大しています。
この口コミ戦略を効果あるものとするためには、ショップ自体が魅力的であることは当然ですが、それとともに、顧客管理に基づくアフターケアを続けていくことが重要です。
いずれにしても、東京の消費者に大分ブランドを浸透させることは、一朝一夕にできるものではありませんので、粘り強く継続していきます。 |