おはようございます。社会県民クラブの平岩純子です。
一般質問の機会を与えてくださった先輩諸氏に感謝申し上げます。また、本日、早朝より傍聴に来てくださった皆様に心よりお礼申し上げます。
質問に入る前に、昨日の一般質問でも述べられていましたが、台風16号、18号、21号、23号は大分県にも大きなつめ跡を残し、深刻な被害をもたらしました。私たち社会県民クラブでは、農作物被害が大きかった日田・玖珠地域へ、また、道路の決壊、土砂崩れ、山崩れのあった佐伯方面ヘ調査に出かけました。収穫前に落下したナシやじゅうたんを敷き詰めたように倒れた稲、土砂で埋まった田畑、倒壊したビニールハウス、県道護岸の倒壊、吹浦漁港にたまったごみなど、被害の甚大さに声が出ませんでした。被害総額は約494億円に上ると言われています。県では、10月に知事専決の補正を組み、今議会でも補正予算35億円を提案されています。被害に遭われた方々の不安が少しでも解消できるように今後も支援をお願いいたします。
63年前のきょう、12月8日は、太平洋戦争開戦の日です。アジア諸国でとうとい多くの命が失われ、日本も多くの犠牲者を出しました。もう二度と戦争の惨禍に巻き込まれてはならない、加害者にも被害者にもなってはならない、そんな願いを込めて、日本国憲法の理念を生かし、学校で平和を願う集会や授業が行われています。私も平和を願う一人として、今まで出会った方々にいただいた意見を参考に質問をさせていただきます。
初めに、NPOとの協働についてです。
阪神大震災のボランティア活動をきっかけに、利潤追求や利益配分を行わず、自主的、自発的に活動する組織、団体に法人格を与える新法として、一九九八年にNPO法が成立しました。県下でも知事認証を受けた百八十四のNPO団体が、社会福祉、地域社会、教育、文化、スポーツの分野で活躍している様子がメディアを通じて報じられています。
社会福祉や教育、環境の分野のNPOは、社会貢献活動を目標にしていますから、行政と関係なしに活動するわけにはいきません。すべてが行政とリレーションを結ばなくては活動ができないわけです。しかし、残念なことに、私の耳には行政とうまくいっていないNPOの関係者からの声がよく入ってきます。「あなたたちはプロではない」「あなたたちには実績がない」、学習会のために県に講師の要請をしたところ、「30人以上でなければいけない」など残念な声が聞かれ、行政による線引きがなされているととられても仕方のないような実態があります。
広瀬知事も本年第1回定例会において、「NPOやボランティア団体が地域を支える力として育ちつつあり、県としてもこれらの動きに呼応して新しい関係を構築していくことが肝要だと考えている」と述べられています。県庁職員に対してNPOとの学習会等を設け、庁内の意識改革を行ってほしいと願っています。
そこでお伺いしますが、県としてNPOとのかかわりをどうとらえ、今後どのように協働を実施していくのか、考えをお聞かせください。
知事答弁 初めに、台風災害の件につきまして、平岩議員を初め社会県民クラブの皆様方にも早速に現地視察をしていただき、何かと復旧対策にご心配をいただきました。この場をおかりしまして厚く御礼を申し上げます。
NPOとの協働についてでございます。
NPOは、申すまでもありませんけれども、地域を支える力として県民生活のあらゆる場面で活躍していただいています。こうした活動に携わる県民の意見や要望をしっかりと受けとめて県政に生かしていくことが大変大事なことになってきたというふうに思っております。
NPOの活動は、新たな公共のための活動として社会から評価されつつありまして、県としましても効率的、専門的観点から多様な分野で協働関係を結ぶことが大事だというふうに思っております。
私といたしましては、行政と県民、NPOなどとの連携を一層進めて、協働関係を拡大していきたいというふうに考えております。そのためには、NPOが行政と対等な立場で取り組んでいけることが不可欠でありまして、県といたしましてもNPOを育成する視点で人材の育成や、あるいは事業実施能力の向上に向けた支援体制を整備していきたいというふうに思います。
今年度、県民活動支援室を新たに設置いたしまして、NPOに実績を積んでいただこうということで、NPOからの提案を公募いたしました。さすがにNPOならではと思われるような専門的かつ柔軟な発想に富んだ五十一件もの提案が寄せられました。この中から選ばれました六つの団体におきまして、現在、事業が進められております。
例えば、ふれあいスポーツデーなどの開催によりましてビッグアイの活用を図っているレクリエーション協会、あるいは、わかりやすい手引書を作成して大変難しい成年後見制度の普及に取り組んでおられる専門家集団の成年後見・権利擁護大分ネットなど、行政ではなかなか思い当たらないアイデアで、しかも効率的に事業が行われておりまして、私どもといたしましてもその成果を大いに期待しているところであります。
議員から県職員のNPOに対する理解不足のご指摘がありましたけれども、県職員に必要な姿勢は、実績の有無を問うのではなくて、むしろ、NPOの皆さんとともに考え、汗を流し、何かをつくり上げていくということだと思います。そういうことによってNPOの皆さんに積極的に実績を積み重ねていただいて、プロとして育っていくことを応援していくということが大事だというふうに思っております。
県では、NPOと行政、県民が一堂に会しての意見交換会だとか、あるいは職員研修所での研修会の実施などさまざまな機会での相互理解に努めています。
今後とも、NPOとの問題意識の共有を図りながら、職員に対しては、ノーと言わない県庁の考え方を浸透させて、さらなる意識改革を行って、NPOとの協働体制、NPOの育成にしっかりと取り組んでいきたいというふうに考えております。
次に、食育について質問します。
BSE問題や雪印食品の牛肉偽装事件、高病原性鳥インフルエンザの発生など食品絡みの事件が続いて、日本人の食に対する意識が以前とはだいぶ変化をしてきました。
テレビをつければ必ずどこかの局で、健康補助食品の効果が健康を回復した人の体験談をもとに報じられています。自分の健康は自分で守る、つくる、育てる生涯学習であるというコンセンサスがじわじわとしみてきたのではないかと思っています。
がん、脳卒中、心臓病などの生活習慣病で亡くなっている方は年間死亡者の六割を占めています。生活習慣病は豊かさの大衆化の代償であり、不摂生な生活習慣がつくる現代病です。
元京都大学の家森教授は、WHOの依頼を受け、沖縄のおばあちゃんたちの尿をとって調査をされました。おばあちゃんたちの尿にはイソフラボンとアミノ酸がぎっしり入っていて、塩分は少なかったそうです。沖縄の女性は世界一の長寿と言われていますが、体によい豆類、ごま、昆布、魚、きのこ類をしっかりとってきたからとの結果が出ています。同様の調査を大阪の女子大生にしたところ、彼女たちの尿は、塩分が多く、イソフラボンもアミノ酸もごくわずかしか検出されなかったということです。これは、将来、三大成人病にかかって死ぬかもしれませんよということです。好きなものを好きなときに好きなだけ食べていてはいけない時代です。これからの時代は、予知、予防の時代です。そして、予防を促すのが食育です。
食育、食育と叫ばれながら言葉だけが先走りしている感もありますが、食育を積極的に推進していくためには、まず人づくりが第一だと思います。大人が食についてみずから学び、考え、行動し、子供たちに伝えていくことこそ、食育だと思います。
欧米では、うらやましいことに何十年も前から子供たちにわかりやすくフードチョイス、フードファイトの意識がすり込まれています。
国会では、党派を超えて食育基本法が成立する方向づけができているようですし、熊本県では、行政が率先して食育についての学習会やセミナーを行っています。県としてどのように食育を進めていくのか、考えをお聞かせください。
知事答弁 食育についてのご質問がございました。
近年、食品の安全性に対する信頼度の低下だとか、あるいは食習慣に起因する生活習慣病の増加だとか、あるいはまた、若者の不規則、不健全な食生活による体力や、あるいは活力の低下、さらには地域における伝統的な食文化の喪失といったような、食に関するさまざまな問題が提起されております。このような問題に対処するには、栄養と食べ物の正しい理解、安全な食品を選択する知識の習得、食を支える農林水産業への理解などを進めて、食を通して健康で豊かな心や体をはぐくむ食育を推進することが大事だと思います。
また、食は県民の健全な心身を形成する基礎となるものでございますから、県政基本目標であります「安心」「活力」「発展」を達成する上でも大変重要なことだと考えております。
このため、県におきましては、これまでも児童生徒を対象にしたあすなろ平成塾での食農体験の実施だとか、あるいは栄養面から正しい食生活を普及する生涯健康「元気な食卓」推進事業だとか、あるいは県内で生産された食材だけで給食をつくる学校給食一日まるごと大分県といった幅広い活動に取り組んでいるところであります。しかしながら、このような取り組みにはおのずと限界がありまして、食育は何といっても地域だとか家庭での取り組みが非常に重要だというふうに思っております。
県内では、これまでも伝統的な家庭料理を持ち寄って食文化を見直す食の文化祭や地元の食材を使った親子料理教室、さらには都市と農山漁村との交流などの活動が各地で活発に行われております。県といたしましても、各種の団体等による子供たちを対象として行う農業体験だとか郷土料理教室などの活動を通じましてバランスのとれた食生活を推進するための取り組みに支援していきたいというふうに考えております。こうすることによりまして、地域や家庭における食育の取り組みにも期待をしているところであります。
今後は、食育に関する総合的な行政を推進するために、幅広い関係者の衆知を集めまして、総合的な食育推進計画の策定も検討しながら、健康で活力のある大分県の実現に努力してまいりたいというふうに思います。
三点目は、教育の問題について質問いたします。
県の英断で、本年度より小学校一年生に少人数学級が実施されました。一年生を持つ保護者の方に伺うと、「先生の指導が行き届いているのがノートを見てもよくわかる」「子供が落ちついている」「40人近く子供がいたときはPTAのときに後ろに入って参観することはできなかったが、今は入ることもできるし、教室もゆったりと使えている」という声を聞きます。
実際に指導している教員からも、「個人指導の必要な子供に早く気づく」「学習面でかかわる時間が多くとれる」「子供を見る目にゆとりができた」「授業中の一人一発言が確保できる」「子供の安全面でも把握ができる」と言われています。このことからも、子供たちの小学校生活のスタートがスムーズに始められていることがわかります。
しかし、県教育委員会は、少人数学級の実施は小学校1年生のみで、二年生になったら従来の制度に戻すと言われています。低学年の児童は、生活集団の中で多くのものを獲得し、成長していきます。1、2年を通じての継続した学習があるからこそ、成長が期待されるのです。2年生になって40人近い集団に再編成するということは、子供たちにとっては混乱であり、決して教育効果が上がるとは考えられません。
そこで質問です。
加配教員を運用しての少人数学級の実施ですので、2年生までの運用も可能であるはずです。そして、本年度、20人の下限があるために実施できなかった学級は県下で22学級ありました。同じ県に住んでいて20人の学級で学ぶ子供と39人の学級で学ぶ子供ができてしまったことは、やはり是正していかなければならないことだと思います。本当の意味での30人以下学級をすべての1年生に実施することがまず第一の課題です。県教育委員会はどうお考えですか。また、2年生に拡大するためにどのような努力をされているのか、お示しください。
深田秀生教育長 まず初めに、30人学級についてお答えいたします。
学級規模の20人下限につきましては、基本的に、子供の社会性を養い、お互いに切磋琢磨する場として一定規模の生活集団が必要であることから設定いたしているものでございます。
制度の導入に当たり実施しました第1学年の学級担任に対する基本的生活習慣等の定着度調査におきましても、「友達関係が良好」「学校生活を楽しむ」等の社会性や協調性に関する項目で、19人以下の規模の学級は20人以上の規模の学級に比べまして低い評価となっておりました。
さらに、本年度、制度がスタートして、一学期終了時に実施いたしました第一学年の約半数の学級担任に対する調査結果におきましては、19人以下の学級規模は「友達関係が固定される」「学級のグループ活動に活気がない」「多様な考えが生まれにくい」などの意見が多く挙げられております。
次に、小学校1学年において実施している30人学級は、幼稚園から小学校生活へと大きな環境変化に遭遇し、一人一人に適切な対応が求められます学校生活のスタートの学年として、基本的な生活習慣や学習習慣の早期定着を図る必要があることから導入したところでございます。
議員ご指摘の小学校第2学年への30人学級拡大について試算してみますと、12市町56小学校を対象に58学級が増加することとなります。それに伴う定数財源は、今年度と同様、義務教育費国庫負担制度に係ります総額裁量制の導入に伴う少人数指導等で措置されております教員定数の活用などが考えられます。
しかし、現在、39市町村157校で第二学年以上を対象に配置しているきめ細かな指導に係る少人数指導等の教員定数は、児童の理解力や学習意欲が向上したなどの成果が見られ、引き続き維持していく必要があるとのことから、今のところ、第2学年への拡大は難しいと考えております。
次に、高等学校改革プラン検討委員会は10月4日に中間まとめを発表しました。この改革案が今、県下でさまざまな論議の的になり、県の教育行政に対する不信感は高まっています。
私なりにどこが問題点かを考え、その一部を述べたいと思います。
一点目は、高校が統廃合されるということです。
中間まとめの計画でいけば、向こう五年間で六校の全日制が発展的統合という形でなくなってしまいます。それらはすべて過疎化が進む地域の学校です。生徒数の減少を削減の大きな根拠にしていますが、小さい学校ではだめだと言わんばかりです。少人数だからこそきめ細かな教育ができる機会ですし、大規模校ではできない、さまざまな悩みを持つ思春期の子供たちに寄り添い、語り合うことができる教育実践を積み重ねることができます。地域の中に高校がなくなるということは、子供たちは遠くの学校までバスや列車を使い通わなければならなくなるということです。その精神的、肉体的負担は大きく、保護者の経済的負担も重なってきます。そして、地域から学校がなくなるということは、過疎化に拍車がかかるということです。2006年に改革が着手される第五通学区では、早急な結論を出すことに反対し、子供が地域で学べる教育環境の実現を求める署名が提出されています。
二点目は、普通科の通学区を現在の六通学区から全県一区が望ましいとする点です。
県教委は、生徒、保護者、校長を対象に県民アンケートを実施し、その結果を「五割が通学区域拡大を希望している」とまとめています。私もアンケートをやってみました。今後の通学区に関する質問では、拡大したときの問題点は示さず、一通学区に一校の普通科しか選択できないのと複数の普通科校を選択できるのとどちらがよいかを問うもので、結果が学区拡大につながるようにできていると感じました。
合同選抜廃止後、学校の序列化が進み、子供たちにとっては近くに学校はあるけれど行けないようになっています。学区の拡大により、さらに受験競争の激化、保護者負担の増加が懸念されます。
三点目は、2007年に大分市内、または別府市内の普通科高校のいずれかに併設型中高一貫教育校を導入するということです。
他県の中高一貫校では、高校の履修内容を中学校で前倒しに行われ、受験競争の激化に拍車がかかっています。大分県でこれが導入されれば、必ず小学校段階からの受験競争が始まってしまうという大きな危険性があります。
ゆとり教育の中で、きめ細かな指導の中で、集団の中で学び合い、育ち合う子供たちを、12歳になる前に受験競争に巻き込んでいくことを絶対に許すことはできません。まだまだ幾つかの問題点がありますが、時間の関係でこれまでとします。
地域別懇談会、地域別説明会ではさまざまな意見が出されたようですが、県教育委員会ではそれらを今後どう反映させるのか、お示しください。
高校改革は生徒のさまざまなニーズに対応することが重要ですが、そのニーズは、学区外から中心部の進学校へ行きやすくすることや、予算がないので都市部から離れた地域の普通科高校と専門系高校を手っ取り早く総合選択制高校にすることとすりかえてはならないと考えます。県教育委員会の見解を聞かせてください。
深田秀生教育長 高等学校改革プランについてお答えいたします。
高等学校改革プラン検討委員会では、社会の変化、生徒の多様化、さらに生徒数の急激な減少という背景を踏まえ、今後の高等学校のあり方について検討がなされております。
小規模校については、きめ細かな対応が可能である反面、配置される教員数や開設科目数、部活動などに制限があり、生徒の多様な学習ニーズへの対応が難しいことから適正規模の学校が必要であるとの指摘がされております。
また、通学区域制度につきましても、県民アンケート結果を踏まえて議論されて、生徒、保護者の学校選択の自由と教育の機会均等という考えから全県一区にすることが望ましいとの意見が示されたところでございます。
さらに、併設型中高一貫教育校につきましても、6年間の中で計画的、継続的な学習ができることや普通科高校の選択肢の一つとして導入を図ることが必要であることなどが中間まとめとして整理され、10月4日に提出されたところでございます。
この中間まとめにつきましては、地域別懇談会、地域別説明会等で意見を伺ったところです。これらの意見は、11月30日の第六回検討委員会で検討したところでありますが、さらに十分な議論を尽くすため、12月13日にも開催することといたしております。
次に、生徒の多様なニーズへの対応につきましても、検討委員会において、県民アンケート調査等を踏まえ、高等学校の再編整備、通学区域制度の見直し、高校入試制度の改善について検討が進められているところでございます。
この検討委員会から提出されます報告書を待って、県教育委員会で十分審議を行い、県教育委員会としての高校改革プランを決定してまいりたいと考えております。
次に、新たな教職員評価システムに関する懇話会は11月19日に教育長に答申を出しました。
11月7日付毎日新聞には、成蹊大学の西村美香助教授が公務員の評価基準について寄稿されています。要約すると、「評価基準は、労使交渉、協議の対象にすべきである。制度設計段階から労働側の意見を反映させる仕組みをつくることが望ましい。一般的に納得がいく評価基準は、現場努力なしにつくれない」と書かれています。
そして私は、最も評価のなじまない学校現場へ新たな評価制度が導入されることに懸念を抱いています。学校は、そこに働く多くの教職員の協働で成り立っているからです。子供は、学級担任だけではなく、そこで出会うさまざまな個性と能力を持った大人とともに学習し生活しながら、自分の目で見て、自分の頭で考え、自分の力で真実を追求していく力をつけ、自己実現を図っていくからです。そこには、校長がいます。教頭もいます。栄養職員もいます。養護教諭もいます。学校事務職員もいます。中学校や高校では、教科ごとに先生が変わります。包み込むような指導をする先生もいれば、厳しく指導をする先生もいます。部活動の先生も子供の成長に大きなかかわりを持っています。つまり、学校は教職員のチームによって成り立っていると言えます。チーム目標はあっても個人の業績のみを求められる個人目標の要求は、学校現場の実態に合わなくなり、さまざまな矛盾が出てきます。
教育とは、人をつくっていくことであり、肝心なのは、目に見えない部分での子供の努力への称賛と、それに、早いか遅いか、うまいかそうでないかだけが人間を評価する物差しではないということをしっかりと学ばせていくことです。
子供の成長には、とてつもなく長い時間がかかります。決して効率や目に見える業績のみによって評価されるものではありません。多くの教職員が力を出し合って子供を育てている中にこの評価制度が導入されることで、子供たちの学びに悪い影響が出るのではないかと強い危機感を持っています。
今後の評価基準作成に当たり、学校現場とのすり合わせをどうするかなど、評価システムについての県教委の見解をお聞かせください。
深田秀生教育長 教職員評価システムについてお答えいたします。
科学技術や情報化の進展等急激な社会変化の中で多様化した児童生徒に生きる力をはぐくむため、教職員の資質向上と学校の組織の活性化が今まで以上に求められており、その支援策として新たな教職員評価システムの導入が必要とされています。
新たな教職員評価システムに関する懇話会の答申では、このシステムは目標管理と能力業績評価の二本柱で構築することが示されております。
目標管理につきましては、教職員一人一人が学校教育目標を踏まえ、校長のアドバイスを受けながら、みずから目標を設定し、その目標達成に向けて主体的に取り組むことが述べられています。
また、能力業績評価につきましては、能力、実績、意欲の三つの観点から評価することになっております。目に見える業績だけでなく、日常の職務を遂行する上で発揮された能力、職務遂行過程における取り組み姿勢としての意欲についても評価することが示されています。
また、評価の着眼点として、他の教員と協力して解決に取り組む意欲等の項目も盛り込まれております。
現在、懇話会からの答申の趣旨を踏まえ、実施要領を作成中でございまして、今後、評価システムの試行を行い、関係者から幅広く意見を聞きながら、制度の円滑な実施ができるよう工夫改善を図ってまいりたいと考えております。
四点目は、中央児童相談所についてです。
児相には、さまざまな課題を抱えた子供やその保護者が訪れ、年間三千件以上の深刻な問題の相談や解決に当たっています。しかし、その建物は老朽化が激しく、悩みを持って訪ねた人を温かく迎え入れることができる施設とはとても言いがたい存在です。行財政改革で三億円以上の建物はつくらないというのが県の方針ですが、建てかえは無理でも、施設設備の改修に着手すべきだと考えますが、県のお考えを聞かせてください。
さらに、近年、虐待を受ける子供が急増しています。その対応は中津児相と中央児相がしていますが、その他の地域には公の専門機関がなく、緊急の事態が起こったときは、例えば、佐伯などでは大分から往復三時間かけ出かけなければなりません。児相が忙しい業務を抱えている状況を知っているから、ある程度、深刻化していないと申しわけないという思いが先に立ち、なかなか相談できないといった地方の方の声も聞かれます。
そこで、新たな児童相談所設置は難しいでしょうが、例えば、その代替案として、現在、県の福祉事務所に児童福祉に携わるケースワーカーと心理判定員と保健師の三名の人員配置をしていただき、また、定期的に児童精神科の診断を仰ぐことができるような児童相談所の支所のような枠組みはできないでしょうか。
次に、児相の中の一時保護所の問題です。
初めて訪れたとき、就学前の子供たちが何人もいるのに驚きました。どの子も実の親や養父母から繰り返し虐待を受け、やっと救われた子供たちです。無邪気に遊んでいましたが、基本的なしつけがなされていないので、トラブルがすぐに起こります。自分の感情をどうコントロールしてよいのかわからず、暴言を吐いたり、ガラスを割ったりという事件はしょっちゅう起こります。自殺願望でリストカットをする思春期の少女も一緒に生活をしています。そんな子供たちが食事をする部屋も、学習する部屋も、テレビを見たり、ビーズ通しをしたりして憩う部屋も一つしかなく、何よりも必要な心の安定を取り戻すことは困難な状況でした。その後、何度かお邪魔をしていますが、毎回、子供たちのここに至るまでの状況を胸が締めつけられる思いでお聞きしています。
昨年の収容児童数は延べ2,555人で、五年前に比べると2.5倍にふえています。子供たち一人一人の持つ深刻な課題から一時保護所に求められるものも多様化しています。職員の方々は情熱を持って子供と向き合い、親がわりになって愛情を注いでいらっしゃいますが、一人一人の子供の状態が異なり、時には親が我が子を取り返そうと施設の周りを歩き回ったりしていて、ストレスを多く抱えての毎日です。特に夜間の対応が厳しく、安全性さえも危ぶまれる状況でもあります。
そこで質問ですが、社会福祉センター内の身体障害者更生指導所と授産場は本年度末をもって廃止されます。その敷地を利用して一時保護所の施設面の改善に取り組めないでしょうか。加えて、夜間の支援策について何とか努力していただきたいと願っています。ご所見をお聞かせください。
知事答弁 児童一時保護所についてのご質問がございました。
一時保護所は、心身とも深く傷ついて入所してくる児童に対しまして、カウンセリングや生活指導などを行いまして心の安定を図るとともに、基本的な生活習慣を取り戻すことによりまして、親元に戻したり、あるいは養護施設や里親などに預ける手助けをする役割があると考えております。
近年、虐待などによりまして児童を親から分離して保護するケースが増加しております。一時保護所におきましては、それだけにこうした児童の心の安定を早期に取り戻すことが重要だと考えています。
本年3月、私も中央児童相談所と一時保護所に出向きまして、職員から直接、現場の声を聞かせてもらいました。また、入所児童にも実際に会いまして、入所児童の居住環境のさらなる改善が大変喫緊の課題だというふうに実感をしているところであります。
そこでまず、施設環境の整備につきましては、これまでもふろ場、トイレの改修、居室の模様がえなどを行いまして生活環境の改善に努めてまいりましたけれども、なお一層の環境整備を図る必要があるというふうに考えております。
この施設全体が実は築後36年を経過しておりまして、老朽化が進んでいることから、改築も視野に入れておく必要があると思いますけれども、当面、議員ご提案のように、新たな居室の確保とか、あるいは独立した食堂、あるいは学習室の整備などにつきまして検討していきたいというふうに考えております。
次に、職員の体制でございますが、これまで心理職員だとか、あるいは看護師の配置など充実を図ってまいりましたけれども、教育や生活指導、さらには夜間における安全管理体制も含めまして、さらに体制整備について検討していきたいというふうに考えているところであります。
今後とも、一時保護所を含めた児童相談所の機能強化を一層図るとともに、入所児童が退所した後も心身ともに安定した日常生活を送ることができるように、子供たちが社会的に自立するまでの切れ目のない養護体制づくりを進めていかなければならないというふうに考えているところであります。
阿部実福祉保健部長 二点についてお答え申し上げます。
中央児童相談所の施設改修につきましては、中央児童相談所は、昭和四十三年に建設されました社会福祉センターの一部として設置されておりまして、近年の児童虐待の増加に対応するために、相談室の増築、あるいは改修に取り組んでまいりました。
また、改築の必要性につきましては、これまで社会福祉センター全体のあり方との関連で検討をしてまいりました。
先ほど知事から申し上げましたように、全体的に老朽化も進んでおりますけれども、当面は、緊急に対応が必要な箇所について、修繕、あるいは改修といったもので適切に対応させていただきたいと考えております。
次に、福祉事務所の児童相談機能の強化についてでございます。
先月26日に成立いたしました改正児童福祉法によりまして、これまで児童相談所だけに集中しておりました子供に関する相談は、来年四月からは一義的に市町村が担うこととされました。一方、児童相談所は、専門性の高い困難事例への対応や市町村への後方支援に役割を重点化することとなります。
こうしたことから、県としましては、児童相談所による後方支援に加え、当面、市町村における相談体制の整備について、より身近なところで側面的に支援することも必要になると考えられますので、市町村合併後の県地方機関の再編の中でその支援体制につきましても検討させていただきたいと考えております。
最後に、国道210号について質問いたします。
国道210号は、大分市中心市街地と稙田地区及び挾間町、庄内町などの近隣交通機能のほか、地域活性化と都市間連携強化を図る上からも重要な役割を担っています。
これまで羽屋地区拡幅や田尻−木ノ上間などの整備に取り組んでいただき、交通機能の向上とともに、沿線地域の市街地形成は飛躍的に発展してきました。今後も210号の交通量は増加するものと考えられます。
とりわけ、木ノ上−鬼崎間の沿線は、大規模住宅団地や大分南警察署、県立看護科学大学のほか、小中学校などの公立施設も多く、朝夕の交通量はピーク時で許容交通量を大幅に超えており、慢性的な渋滞の発生とともに歩行者や自転車の安全な通行にも支障を来しています。毎年何人もの自転車通学の学生が事故に遭っていますし、先月は、渋滞の自動車の間を横断しようとしていた女性がはねられ、死亡するといった痛ましい事故が起こっています。富士見が丘団地入り口交差点では拡幅工事をしていただけるようですが、木ノ上−鬼崎間の早期着工について土木建築部長の今後の対応方針をお伺いいたします。
渡辺浩志土木建築部長 国道210号の整備についてお答えいたします。
本路線は、福岡県久留米市を起点とし、大分市に至る主要な幹線道路であり、大分自動車道の代替ルートとして重要な役割を有しています。また、大分郡三町の中心部を結び大分市と連結する、地域の日常生活や産業及び観光を支える重要な道路でもあります。
このような観点から、国が管理する国道と同等の管理水準を確保することが必要であるため、県が管理している湯布院から大分市木ノ上の区間について、直轄管理区間への編入を国へ要望しております。
大分市の富士見が丘団地入り口付近では、大分市とともに交差点改良を実施中であり、今年度の完成を目指しています。
大分市木ノ上から挾間町境の区間については、渋滞対策及び歩行者や自転車の安全な通行を考え、両側に自転車歩行者道のついた四車線道路を計画しています。
現在、都市計画変更の作業を行っており、早期の事業着手に向け、国と協議を進めてまいります。
再質問
何点か要望し、深田教育長に二点質問をいたします。
NPOのことについて知事が非常に力強い話をしていただいたというふうに思います。県民活動支援室でもとてもいい対応をしていただいていて、そこを本当に頼りにしているNPOがたくさんありますので、きょうの話をまた皆さんがお聞きすると、とても喜ぶと思います。今後とも支援をいただきたいというふうに思います。
それから、食育についてですが、私は、知育より徳育より体育より、まず食育だというふうに思っています。体育の授業があるのに、どうして食育の授業はないのかとずっと思ってきましたので、ぜひリーダーの育成にも励んでいただきたいというふうに思います。
それから、中央児相についてですが、知事が保護所を訪れてくださったというのは、本当に職員にとってはとても励みになったと思います。私が行ったときに、知事が来てくださったときの話をみんながとてもうれしそうに話してくださっていました。
阿部部長さんは、もう私以上に、今、中央児相の置かれている厳しい状況はご存じだというふうに思いますが、どうぞ、県庁の職員の方、皆さんいろんな意味できつい仕事を担っていますけれども、一時保護所の方たちがもっと仕事が頑張れるように、ぜひ生の声をまたお聞きになっていただきたいというふうに思います。
それから、国道210号、西部地区に生活する者にとっては本当に長い間の悲願でしたので、今とてもいい回答が得られたというふうに思っていますので、ぜひ今後ともよろしくお願いします。
それから、深田教育長については、就任以来、教育行政について大変な勉強をしていただき、また、現場主義ということでたくさん現場に足を運んでいただいているということを本当に感謝申し上げます。ただ、少人数学級については、そんなに厳しいのかと、やっぱりちょっと残念な気がいたします。
せっかくできた一年生の少人数学級が来年入学するすべての一年生に適用できるといいなというふうに願っていますし、学級編制の弾力化でことし四十二の都道府県でそのことに取り組み、二十八の都道府県ではもう一、二年生までの適用ができています。大分県でも何とか工面していただけないかというふうに思いますし、各市町村はもう施設整備を整えて、あとは県の英断を待つのみというところまで来ていると思いますので、前回と同じような答弁をいただきましたけれども、またお願いしたいというふうに思います。
それから、高校改革プランと評価システムについて、先ほど時間がありませんでしたので、少しまだ疑問点がありますので、申します。
独立単位制高校ができるということは、学び方の新たな方法がつくれるということでとてもよいことだと思いますし、単位の積み重ねができるという点でも該当する人にとっては非常にありがたいシステムになると思いますが、それによって同時に、鶴見丘高校、碩信高校、大分中央高校が募集停止になっていくというのでは、やはり該当者にとっては厳しい状況があるというふうに思います。
それから、検討委員会については、持ち方の問題、回数の問題、そしてメンバーの問題、非公開であるということ等、非常に問題点があるというふうに思いますし、アンケートの対象者もまだ問題があったのではないかというふうに思います。
それから、適正配置懇話会の閉校基準は2009年までまだ効力を発しているわけです。そのことと、六学級が望ましいというところで計算をすると、向こう十年間で54校ある公立高校のうち20校近くが閉校になるのではないかという心配があります。それはすべて、大分市、別府市以外の地域の学校ではないかというふうに思いますので、そこに大きな問題があると思いますし、4千人以上の人たちが地域別説明会に参加したと思いますが、その中で出された多くの意見は、疑問であり、批判であり、不安であり、不満であったというふうに思います。そのことを多くの県民が知っている。ですから、この検討はきちっと地元の納得がいくようにやっていかなければならないというふうに思います。
それから、評価システムについてですけれども、中央の段階での公務員の制度改革が成績率導入等をめぐってまだ労働者側との整合性が見られないというところで先延ばしになっている中で、どうして大分県の教職員の評価システムがこんなに先に行われなければならないのかというふうに思います。
その評価システムが大阪や神奈川のように、ある程度、公平性があって、苦情処理ができるようなシステムであるならまだしも、例えば、東京のようなものが入ってきたときは、やはりもう現場の中で物が言えないような状況がつくられていく、職員会議で意見が言えないというようなことになってはいけない、そういうふうになると子供たちにとってマイナスになっていくというふうに思っています。
私は現場の管理職の方にお会いすることが多いんですけれども、やはり問題があるというふうな声をよく聞きます。その声がどうしてもっと反映されないのかと思うときに、やはり行政に対して物が言えない状況がつくられているのかというふうに思います。その関係がそのまま学校現場におりてきたら、やはり学校現場は大変混乱をするというふうに思います。
それで質問ですけれども、ずっと見ていると、教育委員会がこの二つの改革についてとても急いで結論を出そうとされているような気がしてならないんですけれども、どうしてそんなに早急に結論を出そうとされているのかということ、それから、これまでの計画に対して理解が得られなければ先延ばしをし、整合性が得られるまで検討していく、そのおつもりがあるのかどうかということについて、その二点お伺いいたします。
深田秀生教育長 多くの質問がございましたけれども、一つは、どうしてこの高校改革プランを急いでするのかということでございますが、これにつきましては、昨日ご答弁申し上げましたように、非常に生徒のニーズが多様化している、それから生徒数が非常に急減をしている等々から、このまま何もしなければ小規模の学級が多くなりまして、教育環境の整備を図ることが十分でない、このままいけば1学年1学級が26年には12校にもなる。そういう中におきまして、平成五年には教育審議会におきまして、こういう学校の適正配置につきまして既に検討を行い、答申が行われているところでございます。そのところから始まりまして、平成11年の適正懇話会、それから今回の高校改革プランにつながった一連の作業でございまして、何も今、急に検討を始めたわけじゃございませんで、平成5年度から検討を行っている事業でございます。先ほど申しましたそういう中学生を取り巻く環境の中におきまして、大変この改革は早急に行う必要があるという認識のもとで取り組んでいるものでございます。
それから、職員評価システムでございますけども、これにつきましては、なぜこの評価システムに取り組んでいるかということでございますが、平成14年の中央教育審議会答申におきましては、「学校教育の成否は何よりも教員のあり方にかかっている。教員がその資質能力を向上させながら、それを最大限に発揮するためには、教員一人一人の能力や実績等が適正に評価され、それが配置や処遇、研修等に適切に結びつけられることが必要である」、そういう提言もなされておりますし、また、経済財政諮問会議におきましても、その会議の「経済財政運営と構造改善に関する基本方針2002」の中におきまして、早期に新たな教員評価の導入を促進する、また、教員の一律処遇からやる気と能力に応じて処遇をするシステムに転換すると提言がされております。それを受けまして文部科学省が平成15年から平成17年の三年間、教員の評価に関する調査研究を全国の都道府県教育委員会に委嘱しまして、この評価システムの改善に関する取り組みを進めているわけでございます。その中で大分県もこの評価システムに取り組んでいるわけでございまして、私もこの職員の評価システムの導入と申しますのは必要だと、このように考えているわけでございます。
それから、30人学級につきましては、先ほどお答えいたしましたように、先生におかれましては2年生までの拡大等々をお話になりましたけども、現在、全国で見ましても1、2年まで拡大しているところにつきましては、23県が30人じゃなくて30人以上40人以下の、30人から39人の間のところを実施してございまして、30人学級というのはむしろ少数であると、このように認識いたしているところでございます。
それから、高校改革プランにつきましてのいろんな手続等につきましては、評価システム等につきましては、それぞれ法令等に基づき実施しているところでございます。
要望
私の質問の仕方がまずかったので非常に申しわけなかったかと思いますが、三分しか時間が残されていないので、要望を二点いたします。
高校改革について、今、全国でも取り組んでいます。そんな中で、岩手県、それから鹿児島県では、やっぱりトップダウンではだめだ、地元の合意が得られなければ、県民に広く理解ができなければ、これは非常にマイナスであるというところで、先延ばしをして今後さらに検討していくというような結論が出ていますので、大分県でも十分皆さんの理解が得られるまで検討を重ねていただきたいというふうに思います。
それから、評価システムについてですけれども、私ごとですが、私は学校の教員をかつてしていました。たくさんの管理職に仕え、一緒に仕事をしてきました。時には歯にきぬ着せぬ言葉でしかられましたし、指導も受けました。子供の深刻な悩みも相談に乗ってもらいました。そんなときに、校長はいつもこう言っていたんです。子供にとって本当に正しいと思うことを思う存分やっていけ、子供から決して目をそらすな、親の懐に飛び込んでいけ、子供にとって今しかないこの一瞬一瞬を絶対に大事にしろ、そうやって教育実践を積み重ねていけと言われていました。私も安心してその言葉を信じて一緒に仕事をしましたし、職員が仕事がしやすい環境をつくるのが、これが校長の役目だというところで、信頼関係の中で仕事をしてきました。その関係をつくり、守ってくださったのは県の教育行政だと信じています。
これから評価システムが入って、管理職と学校現場の教職員の間の関係が決していびつなものにならないように、ぜひ指導性を発揮していただきたいというふうに切に願っております。どうぞよろしくお願いいたします。要望です。 |