県議会報告
2018年第3回定例県議会 一般質問
9月12日(水)

              平岩純子(分割)

 今回は、最初の質問を短めにし、再質問で組んでいきました。再質問の内容はテープ起こしをしなければならず、ここには記載していません。詳細をお知りになりたい方は、県議会のインターネット中継をご覧ください。



2018年 第3回定例県議会一般質問  

 おはようございます。35番県民クラブの平岩純子です。
 今年の夏は、とても厳しかったと実感しています。たくさんの災害も発生しました。お亡くなりになった方に心よりお悔やみ申し上げます。また、被害に遭われた方々、避難所生活を余儀なくされている方々にお見舞い申し上げます。
 そんな厳しい暑さの中で、心が癒され、日本中に勇気と感動を与えてくれたのは、山口県周防大島で行方不明だった藤本理稀ちゃんが3日ぶりに無事発見さ れ、その理稀ちゃんを見つけたのがボランティアで捜索に加わっていた大分県日出町の尾畠春夫さんだったということ。そしてもう一つは、甲子園での秋田県立 金足農業高校の快進撃。雑草魂だったと思います。
 あの感動を胸に質問いたします。知事そして執行部の皆様の丁寧なご答弁を宜しくお願いいたします。
 また、本日はわざわざ傍聴に来てくださった皆さん、いつも本当にありがとうございます。それでは、分割方式で質問に入らせていただきます。
 

 
 1.時代の潮流について
(1)女性の活躍推進について

 
 先輩の小野県議は、ここに立つたびに「時代の潮流」と題して質問されていました。私たちは、日本の端っこに住む地方議員ですが、中央政治のありように影響されながら地方自治に携わっています。
第196通常国会は、7月22日に終了しました。政府・与党の不誠実さ
がこれほど際立った国会はこれまでなかったような気がします。
森友・加計問題や防衛省の日報隠蔽、働き方改革関連法のデータの不備など、重大な事実が次々に明らかになりましたが、安倍首相や閣僚の答弁は、ごまかしや 論点のすり替えが横行しました。その上、与党は世論が支持しない法案でも数の力で強行採決し、成立させています。政府には、丁寧な議論を重ねるという姿勢 が全くと言ってよいほど見えませんから、世の中には、今や政治に対する閉塞感、嫌悪感が充満しているように思えます。
そのような中で、福田前財務省事務次官のセクハラ行為は同じ女性として決して許されることではありません。さらに許せないのは、閣僚や麻生財務大臣による 被害者に対するセカンドレイプ発言です。麻生大臣は「福田ははめられたという意見もある。」と言いました。被害者をまるで犯罪者扱いです。そして、「セク ハラ罪という罪はない。」と言い続けました。強制わいせつ罪は、昨年の法改正から親告罪ではなくなったということもご存じなかったようです。
東京医科大が入試の際に女子の得点を一律に減らし、男子の合格者が7割以上になるように操作していたことが判明しました。
 女性医師の休職や離職が男性に比べて多いのは事実です。しかしそれは、他の多くの職場と同じく、家事や子育てをしながら働く環境が整っていないからだと思います。
 政府が、男女共同参画を進めているにもかかわらず、いまだこのような現実があることはとても悔しく残念なことです。子育てしながら働き続けることを多くの女性が当然のこととして願っている中、理想と現実のギャップも大きな課題です。
そこで、県が率先して目に見える形での道筋を描いていかなければならないと考えますが、女性が家事や子育てをしながら働き続けることができる環境づくりなど、女性の活躍推進について知事のお考えをお聞かせください。
 
 (知事答弁)
 女性の活躍推進について
 
 女性が自らの存在に誇りを持ち、職場・家庭・地域などあらゆる場面において生き生きと活躍していただく事は、活力ある大分県づくりにおいて大変重要なことであります。
 県では、これまで4次にわたって「おおいた男女共同参画プラン」を策定し、女性の活躍を推進してまいりました。
 これまでの取組みにより、25歳から44歳の女性就業率は、平成29年の調査では、全国平均を上回る78.6パーセントで、5年前より6.9ポイント上昇し、M字型カーブの改善も図られています。
 その一方で、同調査では過去1年間に離職した女性の9.2パーセントが、出産・育児によるもので、全国で2番目に高い割合となっており、継続して就業できる環境整備が課題となっています。
 そこで、ご質問の女性が家事や子育てをしながら働き続ける環境づくりには4つの観点が大事だと考え、取り組みを進めています。
 県では、企業に着実な育児休業の取得促進や保育手当の創設などを内容とする「女性活躍推進宣言」をしてもらい、その実現に向け積極的に取り組んでいます。
 待機児童解消に向け、保育所の定員増などに取り組んできた結果、今年度の待機児童数は、昨年度の505人から13人と大きく減少し、全国8位に改善されました。引き続き、放課後児童クラブの拡充、病児保育施設の充実など、子育て環境の整備に努めてまいります。
 3つ目は、男性の子育てなどへの参画です。
 男性が子育て、家事、介護などに参画するためには、ワーク・ライフ・バランスの推進や上司の理解が必要です。長時間労働の削減や、「おおいたイクボス共同宣言」などを通じて、男性主体の参画を推進します。
 4つ目は、働きたい女性への支援です。
 昨年度の県の調査では、現在、就業していない女性の7割が働き続けたいと回答しています。そのため再就職に向けたセミナーや合同企業説明会を開催しています。
 また、在宅ワークを推進するため、スキル養成講座に加え、今年度は企業とのマッチング交流会も開催します。さらには、女性の創業へのチャレンジも応援しています。
 
 
(2)防災対策について
 
 全国的に毎年のように大規模災害が発生しています。
 本県では、一昨年の熊本・大分地震、昨年の豊後大野市綿田地区の地すべり、九州北部豪雨、台風18号による被害、今年4月の中津市・耶馬渓町の斜面崩壊と予期せぬ災害が毎年起こっています。
西日本豪雨では、記録的な大雨が続いたことで、各地で土砂崩れや河川の氾濫が相次ぎ、大きな被害が出ました。亡くなった方が200人を超え、平成に入って 最悪の災害となっています。河川が氾濫し、濁流が町を飲み込む映像を見ながら、東日本大震災時のことがフラッシュバックしました。
住民への避難勧告や被災地での警察・消防・自衛隊との連携、避難所生活を支える市町村との連携など命に直結する課題です。
西日本豪雨の際、本県では幸いにも被害が小さくてすみましたが、この豪雨災害を教訓として、ハード、ソフト両面で県の防災対策をどのように再構築していくのか知事のお考えをお聞かせください。
 
 (知事答弁)
 防災対策について
 
 本年7月、西日本を中心とした観測史上類を見ない豪雨により、河川氾濫や土砂崩壊などが各地で多発し、多くの尊い命と財産が奪われる未曽有の災害となりました。
 今回の豪雨災害を教訓として、これまでの取り組みを検証し、ハード・ソフト両面からしっかり対策を講じなければなりません。
 こうした状況を踏まえ、本県においても、直ちに、堤などの緊急点検を実施しました。今後、対策を要する施設については、補強や改築を着実に進めて行きます。さらに、治水対策の高いダムの整備や河川改修などをスピード感を持って進めることが大切です。
 しかしながら、近年、数十年に一度と言われる大災害が毎年のように発生し、必要な施策が追い付いていない現状です。
 このため、全国知事会では、これまでの施策を検証した上で、抜本的な治水・土砂災害対策を迅速かつ強力に推進するよう、国に対して緊急提言を行ったところです。
 次にソフト面では、なんといっても住民避難の問題です。避難勧告などが出されても住民の主体的な避難行動へとなかなか繋がっていない現状が明らかになっています。
 引き続き粘り強く、県民一人ひとりが適切な行動をとることができるように平時から防災知識の普及を図るとともに、災害時には県民が判断し行動できる情報の迅速・正確な発信につとめます。
 また、今回の豪雨犠牲者の7割が60歳以上の高齢者であり、災害弱者の課題も浮き彫りになりました。
 高齢者など支援が必要な方には、早目の避難開始を市町村と連携して呼びかけてまいります。
 さらに、速やかな避難行動につながるよう、県防災アドバイザーを活用し、地域の状況に即した自主防災組織による避難訓練や、住民による地域の防災マップ作製などのワークショップを通じて、地域における共同の取り組みを推進してまいります。
 防災・減災対策にゴールはありません。確実な救助救援活動のため、県内外の警察、消防、自衛隊の円滑な受け入れ体制の構築も図り、市町村とも連携し、災害に強く、県民が安心して暮らせる大分県づくりを進めてまいります。
 
(3)障がい者の雇用について
 
 中央省庁が雇用する障がい者数を水増ししていた問題、そして今回の県教委が障がい者手帳を持たない県内の教職員66人を自己申告に基づいて雇用率に算入 していたことは、わが会派の代表質問で守永県議が苦言を呈したところです。国のガイドラインに反して、手帳や医師の診断書などの確認を怠り、少なくとも過 去5年間、法定雇用率を下回っていたことは、企業を指導する立場にある県としてあまりに残念なことです。発表の後、多くの県民の方から「何ということだ。 水増しではなく、ごまかしではないか。」「人権の問題だ」と私もお叱りを受けています。
 教育委員会において、自己申告のみで雇用率に算入をしていたことは、昨年までの厚生労働省通知には、原則としての文言があり、計算の仕方が厳しくなって いたことへの認識がなく、意図的であったとは考えていませんが、結果として障がいを持つ人の雇用の機会を奪っていたこととなりました。
 
 ア.県教委の障がい者雇用について
 
 障がい者雇用は、数値を上げることが目的ではありませんが、今後どのようにして改善されていき、その時に困難となることはどんなことが想定されるのか、お考えをお聞かせください。
 
(教育長答弁)
 学校現場での障がい者雇用について
 
・児童生徒にとって、障がい者を含め様々な人と触れ合い、多様な在り方や考え方を相互に認め、尊重する気持ちを醸成することは大切なことです。
・本県では、障がい者の社会参加を推進するため、九州各県に先立ち、平成14年度から「障がい者特別選考」を導入していますが、受験者が一番多かった年度でも4名にとどまっています。
・1次試験においては、教員としての基本的知識などの修得状況を判断するために、障がいの有無に関係なく、合格ラインをクリアして頂く必要があります。
・今年度は2名の募集に3名が応募し、1名は1次試験に合格したものの、別の進路を選択したということで、2次試験を辞退されました。
・受験者数の拡大に向け、大学や関係団体などを通じて「障がい者特別選考」の周知徹底を図っていきます。
 
 
 イ.学校現場での障がい者雇用について
 
 教職員の採用試験では、障がい者の枠が設けられていますが、それは毎年増えている状況ではありません。けれども「生きる力」を育む場で障がいを持つ先生 が近くにいることにより、児童・生徒に様々な価値観や考え方をを与えることができるのではないでしょうか。さらに障がいを持つ人も持たない人も共に支え 合って働く姿から多くのことを学ぶことができる学校現場となるよう、逆に今回のことを生かしていくことができればと望んでいますがお考えをお聞かせくださ い。
 
 (教育長答弁)
 教育委員会の障がい者雇用について
 
・教員については、採用試験において、毎年度、障がい者特別選考を実施していますが、受験者数は数名程度であり、近年連続して合格者はおらず、結果的にこの10年間採用が計画通りに進んでいません。
・また、事務系でも行財政改革で民間委託を積極的に進めてきた中で、いかに業務を切り出していくかという、難しい課題もあります。
・障がい者雇用については、様々な障がいに応じ、職場環境やサポート体制の整備はもとより、仕事をどのようなやり方で進めるか具体的に考え、本人の能力が最大限に発揮できるような工夫も必要です。
・法定雇用率を直ちに達成する具体案は見いだせていません。知事部局や他県の取り組みも参考にしながら、対応策について検討していきます。
 
 教育について
 (1)子どもの豊かな学びについて

 
 学習指導要領では、法規定の上にたって、子どもたちが「できるようになること」をめざした学習が強調されています。そこには、子どもの今の生活実態をど う捉えるのか、子どもたちにとって学ぶとは何なのか、なぜ学ぶのかといったことを問う余裕はありません。とにかく「身に付けることができるように指導す る」ことが求められる公教育の在り方に、私は不安を募らせてきました。そして、2008年、教員採用汚職事件が発覚しました。忘れることができない事件で す。事件後すぐに教職員を排除してPTが立ち上がり、僅か1か月で報告書が提出され、教育現場で失われた信頼を回復することが求められました。加えて県教 委主導のもと教育現場に矢継ぎ早に教育改革が断行されました。10年の歳月の中で、学校教育はすっかり変わってしまいました。大分合同新聞では、今年6月 に「背信の衝撃」と題して、2週間にわたり特集記事が組まれていました。その中で県内の現役教員100人にアンケートを実施しています。約8割が「この 10年で大分の教育は変わった。」「以前より窮屈になった。」「目に見える形で成果を出したい気持ちはわかるが、教員は多少なりとも疑問を感じている。」 「現場はむしろ悪くなっている。」と冷ややかな声が載っていました。
 学校現場は、息詰まる状況の中でも、学力向上・体力向上で前進あるのみです。そこに豊かな学びが存在しているとお考えですか。
 ここで一度立ち止まり、この10年の施策を検証することで、子どもの豊かな学びとは何なのかということを再構築することが今必要だと考えますが、教育長のお気持ちをお聞かせください。
 
(教育長答弁)
 子どもの豊かな学びについて
 
・教育に関する考え方は人によりさまざまであり、豊かな学びの考え方も一様ではありません。
・すべての子どもたちに未来を切り拓く力と意欲を身に付けさせることをめざすという一点においては、異論はないのではないでしょうか。
・大分県教育委員会としては、そのためのハード・ソフトの両面から教育環境の充実に努めており、現在も特別支援学校・高等特別支援学校新設などに取り組んでいます。
・また、学校を取り巻く環境が絶えず変化する中、個々の教員の努力だけでなく、学校が組織として機能するよう、SC・SSWなどの外部人材の配置とともにチーム学校や芯の通った学校組織の取り組みを進めてきました。
・継続は力なりといいますが、10年が経過してもなお、この流れを続けていくことが大事だと感じています。
・教育に携わる者が子どもたちのために何ができるかを考え続け実行することが、子どもたちがいずれかの時に豊かな学びがあったと実感してもらえることに繋がるのではないかと考えています。
 
 
(2)特別支援学校について 
 
 第3次特別支援教育推進計画が進められています。これまであまりお金をかけてこなかった特別支援教育に目が向けられていることに、関係者の期待は高まっています。
 段階的に進められていると思いますが、施設整備に関する今後のスケジュールや、現在、整備する上でどのような課題を抱えているのか教えてください。
 
(教育長答弁)
 特別支援教育について
 
・再編整備は、平成30年度から5年間を期間とする、第三次特別支援教育推進計画に基づき段階的に進めて行きます。
・計画の前半は、喫緊の課題である大分市内の教室不足解消のために知的障がい特別支援学校と、約6000人の保護者などから設置要望のあった高等特別支援学校を新設する計画です。その後、別府市内の特別支援学校の再編整備に着手する予定です。
・加えて、計画では、安全安心な給食を提供できる環境の整備も課題として認識しています。
・もう学校・ろう学校の寄宿舎は今年度中に実施設計を行い、併行してろう学校新校舎の基本設計も行います。  
・設計にあたっては、両校から課題などを集約し、両校の管理職や教務主任など学校代表者と教育庁関係者によるプロジェクトチームの中で熱心に協議を重ねており、出来るものについては設計に盛り込んでいきます。
・三次計画において初めから本格的な再編整備に取り組むことから、子どもたちにとってより良い環境となるよう努めて行きます。
 
(3)聴覚障がい・視覚障がい児教育について
 
 昭和23年3月まで、聴覚障がい児と視覚障がい児は同じ学校で学んでいましたが、それ以降、現在まで別々の学校が設置され、それぞれの歴史を刻んできま した。今回、異なる障がいを持つ児童・生徒が同じ場所で学ぶことになるため、配慮も必要だと思います。現場の意見をどのように反映し、異なる障がいにど のように配慮していくのかお聞かせください。
 
(教育長答弁)
 聴覚障がい児と視覚障がい児の教育について
 
・もう学校とろう学校は、同一敷地内に設置しますが、障がいの特性から別運営とし、もう導鈴や聴覚障がい者の情報保障のための視覚支援用モニターなど最新の設備を設けた学校を設置します。
・両校は、それぞれ県内唯一の専門教育を行う学校であることから、聴力測定室などを整備し、外来者への教育相談を充実させます。
・理科室、音楽室などの特別教室や体育館などは共用施設とし、視覚障がい、聴覚しょうがい両方の障がいに対応できるよう整備します。また、使用する時間帯を調整するなど、両校幼児児童生徒が安心して学ぶことができるよう運営します。
・再編については、昨年度中に両校及びその保護者・関係者・地域の方々に説明を行い、理解を進めています。
・今後とも、子どもたちや保護者、学校関係者の意見を踏まえながら、よりよい環境をつくっていきます。
 
(4)特別支援学校の自校給食について
 
 今回は、大分市・別府市の特別支援学校の計画ですが、県下には今回該当しない支援学校が8校あります。施設の老朽化が顕著な状況も見受けられますし、給 食が自校給食でない学校もあり、保護者は、せめて自校給食にしてほしいと強い願いを持っています。その願いをどう受け止めていらっしゃるかお聞かせくださ い。
 
(教育長答弁)
 特別支援学校の自校給食について
 
・障がいのある児童生徒が給食を通じて、望ましい食習慣や自ら健康を管理する力を身に付けることは、将来自立し社会参加するための基盤として重要です。
・これまでも、保護者からの食育の充実を訴える意見を踏まえ、栄養教諭などがバランスよく食べることや噛むことの大切さを学ぶ紙芝居やクイズなど、授業を工夫し、児童生徒の食の大切さへの理解を深めています。
・今年度から、学校栄養職員から教諭への切替えに加え、中核的な役割を担う栄養教諭の採用選考試験を始めました。
・また、自校方式でない5校には、障がいの状況に配慮した、きざみ食やペースト食などの提供ができるよう、再調理員を配置しており、今年度から特別支援学校の要請に応じ、摂食指導の専門家も派遣しています。
・センター方式でも、満足度の高い学校もあることから、それを参考に市町村に改善を要請するとともに、自校方式を含めた影響の仕方について研究していきます。
 
 
 3.児童養護について 
 
 2018年3月2日、東京で、5歳になる女の子が、継父から虐待を受けて亡くなると言う悲惨な事件が起こりました。
 大阪で幼い姉弟が、母親が頻繁に家を空けている間に餓死していたという事件は8年前のことです。それ以前にもそれ以後も自己主張できず、反抗もできず、 自分を守る術を持たない幼い子どもたちのあまりにむごい事件が起こるたびに私は、胸をえぐられるような気持ちになってきました。日本では、年間80人近く の子どもが虐待死しているそうです。
 事件が報じられるたびに、虐待の連鎖や格差社会や親を孤立させてしまう社会の問題を考えてきましたが、子どもが置かれている状況は切羽詰まっています。
 
(1)児童虐待などの他県との連携について
 
 先の東京の事件では、継父と実母、その間に生まれた弟と香川に住んでいた女の子は、通報により一時保護所に2度保護されています。継父は、2度書類送検 されていますが逮捕されてはいません。その後、一家は東京に転居し、香川の児童相談所から品川の児童相談所に連絡が入り、ケースワーカーは自宅を訪問して いますが、直接女の子に会うことはできませんでした。
 虐待を疑われる子どもが他県に出て行った時の本県での扱いや、同じように他県から大分に入ってくる子どもの情報交換についてどのようにされているのか教えてください。
 
(福祉保健部長答弁)
 児童虐待などの他県との連携について
 
・児童虐待のあった世帯が他県へ転出し、あるいは転入する場合、児童の安全を確保するためには、児童相談所間の確実な引継ぎ不可欠です。
・本県では、県外へ転出する場合、児童相談所の担当者が必ず転居先を訪問するとともに、管轄の児童相談所や市町村職員へのケース記録に基づく情報提供など、支援がとぎれないよう確実に引継ぎを行っています。
・県内に転入する場合には、県外の児童相談所担当者の 訪問のほか文書・電話による引継ぎもあることから、いずれの場合も速やかに本県児相職員が家庭を訪問し、直接子どもの安全を確認しています。特に虐待リス クが高いケースは、直ちに警察に情報提供し、面接を拒否するような事案では、同行訪問をしています。
・さらに、引き継いだすべての子どもの情報は、市町村の要保護児童対策地域協議会の共同管理台帳に確実に載せ、毎月開催される実務者会議で情報共有を徹底し、関係機関の緊密な連携による支援をつなげています。
 
(2)ケースワーカーのケアについて
 
 現在児童相談所のケースワーカーの方は、様々な事案のケースをたくさん抱えていると思います。リスクの高いケースがあるでしょう。親子関係修復のため に、保護者との関りも重要です。様々な親がいる中で、神経をすり減らし、昼夜をいとわず仕事をされているのは深刻な問題です。そんな方々の精神的・肉体的 支援はどのようにされているのでしょうか。
 
(福祉保健部長答弁)
 ケースワーカーのケアについて
 
・業務負担が大きい職員の健康管理については、月45時間以上の長時間勤務者を中心に、産業医が所蔵長または職員本人に面談しており、児童相談所のケースワーカーについては、29年度にはのべ32人を対象に必要な助言・指導を行っています。
・ケースワーカーが夜間に対応を求められるケースもありますが、このような対外的業務を行った職員については翌朝の出勤時間を遅らせています。
・業務執行面でも、昨年4月から児童相談所に非常勤の弁護士を配置するなど組織的な体制強化を図り、ケースワーカー個人の負担軽減を図っています。
 
(3)一時保護所について
 
 県直営の一時保護所は大分市にある中央児童相談所の1か所だけです。県北や県南からも夜中に子どもが緊急入所するケースも多いと聞きます。児童相談所の一時保護施設をせめて他地域にもう1か所作るべきだと思いますが、考えをお聞かせください。
 
(福祉保健部長答弁)
 一時保護所について
 
・増加傾向にある児童虐待に適切に対応し、子どもの命を守るためには、迅速かつ安全に一時保護を行うことが重要です。
・平成29年度に一時保護した児童は413人で、うち 中央児童相談所の一時保護所は、児童指導員、保育士のほか教員、保健師、児童心理士などの専門職34人を配置し、24時間365日の受け入れ体制などを確 保し、緊急保護のほか被虐待児や非行児の行動観察など専門性の高い業務を担っています。
・一方、児童や家庭の状況に応じ、乳児であれば乳児院、通学が必要な児童であれば児童養護施設や里親、医療が必要な児童であれば医療機関へ一時保護を委託しています。
・このように、児童相談所の一時保護所は、一定の規模が必要であり、また、高速道路網も整備された現在、中央児童相談所において全県をカバーできていると考えています。
 
 

 
 


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