31番県民クラブの平岩純子です。
知事そして執行部の皆さんに私の思いが届きますようにと願いながら質問いたします。どうぞよろしくお願いいたします。
師走に入り、寒い中、わざわざ傍聴に来ていただいた皆さん、ありがとうございます。
それでは、通告に従って分割方式で質問いたします。
1 民主主義社会におけるリーダーシップについて
衆議院の突然の解散で、慌ただしくなっています。「どうして今なのか。」と言うことが、多くの国民の皆さんにも理解できないのではないでしょうか。
さて、この2年間の安倍政権を振り返りながら、知事にお聞きします。
2年前の衆議院選挙の結果、自民党・公明党の連立政権が誕生しました。自民党の小選挙区の得票率は、43パーセント程度であり、全有権者に占める比率で
は24パーセント程度であるにも関わらず、小選挙区で議席数の約8割を得るという皮肉な状況が創りだされ、安倍総理に多大な権力を与えました。
これまで2年間、アベノミクスを謳い、矢継ぎ早に公約になかった特定秘密保護法などの法案を国民の反対の声を踏みにじって強行採決しました。さらに福島原
発事故が終息していない中、故郷を失った人々を置き去りにして、原発再稼働、原発輸出に向かっています。そして保守勢力からでさえも「立憲主義の破壊」と
反対されながら、集団的自衛権行使容認の閣議決定を強行しました。公約にもない、国論を二分する課題をまるで全権委任されたかのように行っていること自
体、民主主義の否定であり、民意と全くかけ離れてしまっていると私は思っています。
為政者にとって最も大切にすべきは、そこに暮らしている人々の実態を見つめ、その人たちの願いに耳を傾け、その思いを政策として実現していくことだと思い
ます。更に、少数派の声に耳を傾け、意見が違う人たちとも粘り強く議論してコンセンサスを作っていくことが「真のリーダーシップ」だと考えます。
「決められる政治」を掲げ、圧倒的な議席数を背景に、国民の懸念解消やその説明を怠り、少数の意見に耳を傾ける努力を放棄している安倍総理の政権運営手法は、民意を十分にくみ取っていないと思っています。
そこで、先日、4選出馬を表明された知事にお聞きします。
知事は、真のリーダーシップについてどのように考えているのでしょうか。また、ご自身が民意をくみ取ることについてどのように実行されてこられたのでしょうか。
知事答弁
県政を担っていくうえで心がけてきたことは、次の3点です。
一つは、県民中心ということです。
限られた行財政資源を最大限に活用するには選択と集中は欠かせません。他方、社会の成熟化や複雑化に伴い、個人の価値観も大きく変化しており、県民の多
様なニーズにこたえることも大切です。時にどの道を選択するか判断に迷うこともありますが、その際大事な判断基準は、「どうすることが県の将来を担う子ど
もたちのためになるのか」であり、つねに「より県民のため」を頭に置いています。
二つ目は、現場主義の徹底です。
職員には常日頃から現場主義を徹底し、県民の声に耳を傾けるよう意識改革を促しています。私自身も県政ふれあいトークで現場に足を運び、これまで656
か所、1万4千人を超える方々に直接話を伺っています。また、県政モニター制度などにより幅広く県民の皆さんの声をくみ取ってきました。
こうした声で、三歳未満児の保育料を減免する「にこにこ保育」や国の制度では対象とならない被災住宅を支援する住宅再建支援制度の創設など、多くの県独自の取り組みにつなげています。
三つは、時代の潮流をとらえることです。
アンテナを高く張って世の中の流れを見通すことが大事です。本格的な人口減少社会が到来する一方、経済・社会のグローバル化やICTのソーシャル化・クラウド化の進展なども見られます。
折しも、国を挙げて、まち・ひと・しごと創生の動きが始まりました。県内津々浦々に仕事をつくり、人を呼び、人が仕事を呼び込むという「人と仕事の好循環」を創出し、地域を活性化していくことが大切です。
今議会の冒頭で、来春知事選挙について、私が思いを述べさせていただきましたが、引き続き、「県民中心の「夢と希望あふれる大分県づくり」に取り組んでいきたいと考えています。
2 女性が活躍する社会づくりについて
女性の参政権が実現してからすでに68年が経過しますが、女性の活躍支援や子育て支援と議会でのセクハラ野次を含め、「ジェンダー」に派生する政治問題はまだまだつきることはありません。
安倍総理の肝いりで「女性の活躍推進法案」が第186回通常国会で提案されました。この法案が出てきたときに「活躍」と言う表現が失礼であるという点や、
上場企業の女性役員の比率を上げるだけに終始しては、「女性間格差」をもたらすだけではないかといった意見も随分聞きました。しかし、衆議院の解散に合わ
せて、法案は廃案となってしまいました。
(1)女性自立のための環境整備について
性別役割分担意識が根強く残る日本では、女性労働は家計補助の意識が強く、M字型雇用が相変わらず続いています。寿退社、出産退社、育児退社、介護退社し
た後、再就職する場合も、その多くが非正規雇用という状況です。このような市場原理のもとでは、母子家庭における女性の労働実態は厳しく、短時間の仕事を
組み合わせてのダブルジョブ、トリプルジョブで家計を支えている状況です。このような働き方をしている女性たちには、経済的自立の道は遠く、子育てと仕事
の両立などはとても望めない状況です
願いとかけ離れた現実においては、社会的・文化的・政治的につくられたジェンダーに基づく差別の解消が必要だと思いますし、働く女性の待遇改善も求めてい
く必要があります。また、妊娠出産による不利益の解消や女性に対する暴力の根絶も実行していかなければならないと考えます。
そこで、知事にお聞きします。
女性が社会で自分の持てる力を発揮し、自立していくためには、どのような環境整備が必要だと考えられていますか。お考えをお聞かせください。
知事答弁
私はかねてより、男女が性別にかかわりなく、その個性と能力を十分に発揮し、活躍することが心豊かで活力ある大分県づくりに欠かせないと考え、「第3次おおいた男女共同参画プラン」に基づき、男女共同参画社会の実現を目指しているところです。
このような観点から、女性の自立を促進するためには、経済的基盤の充実が必要であり、女性の就労を支える環境づくりを推進します。
まずは、女性の能力が適正に評価され、活躍の場を拡大していくことが重要です。
これまで、県内企業・団体等に対し、女性の就業や女性の活躍できる職場づくりに積極的な事業者の顕彰やセミナーを実施してきましたが、まだまだ十分とは言えません。
そのため、
企業等に対し、女性の就業促進、管理職登用に向けた一層の働きかけや、活躍している女性の事例紹介等を積極的に行っていきます。一方、女性に対しては、就
業促進 のため キャリアアップを支援するとともに、登用促進のため、ロールモデルとなる女性管理職のネットワーク化の推進を引き続き図っていきます。
二つ目は、女性の就業継続に向けた支援です。中小企業の多くでは、育児休業等を取りにくいとの声もありますが、女性の継続雇用は長期的には有為な人材の
確保につながることから、ワークライフバランスの推進が重要です。育児休業制度の利用促進や柔軟な勤務時間の設定など、仕事と家庭の両立支援に向けて県内
企業等に働きかけてまいります。
三つ目は、女性が安心して働くための環境整備です。待機児童ゼロに向けた保育所整備や、病児・病後児保育、放課後児童クラブの拡充など、保育環境の整備に積極的に取り組んでいきます。
四つ目は、再就職に向けた支援です。託児サービス付きの職業訓練の拡充や求職活動中の無料託児サービスの提供、就業体験を伴う職場復帰支援にも取り組み
ます。このような環境整備に加え、「男は仕事、女は家庭」という固定的な性別役割分担意識の解消も重要です。男女共同参画週間行事や出前講座などによる意
識改革の普及・啓発に引き続き取り組みます。
また、女性が個人として尊重され、人権が守られることが何よりも大切です。 このため、女性に対する暴力の予防と根絶のための基盤 づくり、DVや性犯罪等への封策を推進します。
今後とも、女性の自立促進のため、男女共同参画社会の実現を目指してまいります。
(2)今後の女性に対する施策について
次に、私は、これまで何度も、女性政策について質問してきました。「女性だって身に着けたスキルを活かしたい。社会貢献したい。自己実現したい。と願っている人が大勢います」とお伝えしました。
商工労働部長から、「就労の継続については、雇用主へ啓発をし、仕事と家庭の両立ができる環境整備をします。キャリアアップについては、管理職への登用拡大の講座を充実させ、就職活動時の無料託児サービスを拡充していきます。」との答弁をいただいています。
そこで、商工労働部長にお聞きします。
女性が活躍できる社会の構築に向け、これまでの取り組みの成果を踏まえ、今後どのような施策を行っていくつもりなのかお聞かせください。
商工労働部長答弁
・女性が活躍できる社会の構築は、活力大分県実現のため重要な政策課題です。このため、就労の継続、キャリアアップ、就労促進などの環境整備に取り組んでいます。
・
まず、就労の継続については、仕事と子育ての両立を図るため、ワークライフバランスを推進するセミナーを開催しています。キャリアアップでは、女性管理職
が交流を深め、
共有できるよう交流会を今年度3回実施しました。就労促進については、就職活動時の無料の託児サービスを、大分市に加え、別府及び中津市でも実施し、
202名が利用しています。
・また、安心して職業訓練が受講できるよう訓練期間中の保育料助成などを行い、25年度実績では、92名が利用し78名が就職しました。
・さらに、今年度から開始した企業での就業体験を通じて、子育て中の女性の仕事復帰を後押しする事業では、10月末現在、就業体験が終了した54名のうち35名が就職しています。
・今後も、女性が自らの能力を発揮するとともに、子育て中の女性が安心して就労できる社会の実現を目指し、関係各部と連携しながら、環境整備のさらなる充実を図ります。
次に、性暴力被害者支援とDV被害者支援について福祉保健部長に2点お聞きします。
(3)性暴力被害者支援について
昨年3月の定例会で、レイプなどの性暴力にあった被害者が必要な治療やカウンセリング、告訴の手助けなどを一カ所で受けられる「ワンストップ支援センター」の設立を含めてどのような支援を進めていくのかをお聞きしました。
福祉保健部長は、支援の必要性に理解を示しながら「先行事例の情報収集に努め、本県の実情に合った支援体制の在り方を含め研究してまいります。」と答弁されています。そこで、
研究の結果を踏まえ、本県にあった支援体制をどう確立するのかお知らせください。
生活環境部長答弁
・性犯罪・性暴力被害者の多くは、心身にダメージを受けている中、誰にも相談できず一人で問題を抱え悩み、 また、 必要な治療、カウンセリング、告訴の手助け等の支援を受けようとしても、それぞれの機関で説明しなければならず、大きな負担となっています。
・県では、警察、医師会、公的相談機関、民間支援団体等からなる検討会を立ち上げ、支援のあり方について、これまで、他府県における先行事例も参考にしながら、性犯罪・性暴力被害者支援に関係する各機関の現状把握やその課題を抽出しているところです。
・被害者に寄りそった支援を行うためには、被害者からゆっくり話を聴く、必要な支援、機関の紹介、関係機関への同行支援など、一貫した支援を提供することが必要です。
・県としては、 関係機関と協議を重ねながら、性犯罪・性暴力被害者へのワンストップ化に向け、支援のための指針の策定や相談体制の充実、相談しやすい場所の確保などの課題を整理しているところです。
(4)DV被害者支援について
DV被害者の相談件数は、毎年増え続けていますが、その保護や救済は、「関係者のご努力で少しずつ充実してきた。」と実感しています。そして、これから力
を入れていかなければならなのは、DV被害者が自立していくための支援ではないかと考えます。すなわち、緊急的な一時保護の後、社会に適応できるようにな
るまでの間、利用者に寄り添い、継続的な心のケアや就労支援、生活支援などのサポートを受けながら生活する場、被害者の自立支援の場として「ステップハウ
ス」が必要だと思います。長崎県では、「住民生活に光をそそぐ交付金」を使って、一時保護所を退所した被害者の中長期的自立支援を行っています。
具体的には、NPOと協働して県の空き校舎などを使い「ステップハウス」を運営し、「長崎モデル」として成果を収めています。
そこで、本県にも同様の対策はできないのかお考えをお聞きかせください。
生活環境部長答弁
・様々な問題を抱えるDV被害者が自立し、生活を再建するためには、生活面及び精神面の両面から支援を行うことが必要です。
・このため県では、生活面でのサポートとして、母子生活支援施設や 、公営住宅への優先入居、住宅家賃の助成などの支援を行っています。
・また、精神的サポートとしては、一時保護施設退所後の被害者の孤立防止などを図るために、民間団体と連携して、被害者相互の交流や情報交換の場を定期的に設けるとともに、婦人相談所では、民間住宅等に単身や母子で入居した被害者に対して訪問支援を行っています。
・議員ご提案の「長崎モデルのステップハウス」のように、民間団体と連携しながら、自立支援を行うものも一つの方法と考えています。
・本県では、被害者の家族構成や趣味など多様なニーズを踏まえ、居住を希望する地域や住宅などで生活が再建できるよう、長崎県にはない住宅家賃への助成を
行うとともに、民間団体を含めて関係機関が連携して、DV被害者の自立支援に向けて、住宅支援や心身の回復などに被害者が抱える課題にきめ細かに対応する
こととしています。
3 教育課題について
私は、議員になって一般質問の半分は教育課題についてでした。
教育の本質について教育長と語り合いたかったのですが、残念なことに歴代の教育長とは、なかなか意見がかみ合わず、教育現場の実態と子どもたちの現実をつぶさに見てきた私にとっては、残念な結果になっています。
さて、最近の教育を巡る厳しい現実を整理してみます。
第一次安倍政権は、教育基本法を変え、「愛国心」を盛り込みました。それを進めるために道徳が全教科の基本とされ、学校現場には新たな管理職として主幹教諭が置かれ、10年ごとの教員免許更新制度が義務付けられました。
第二次安倍政権は、「心のノート」を「私たちの道徳」として復活させ、全国学力テストは、抽出調査から悉皆調査になりました。改革が進んでいないとし
て、教育再生実行本部を設置し、教育再生実行会議、中央教育審議会を経て、教育全般について国による支配の体制を作り出しています。
さらに教育委員会制度を解体し、「教育の政治的中立性」の原則を崩し、首長が直接教育に介入できる制度へ転換しようとしています。
社会科の教科書検定基準が変えられ、近現代史の歴史的事実に関して、政府見解の尊重をもとめる方針が打ち出されました。また、全国学力テストの点数結果の公開が進められています。
この一連の流れを見る時、戦争への反省から戦後築いてきた民主的な教育が、真っ向から否定されていると感じるのは、私一人ではないと思います。
(1)教育施策の検証について
大分県の教育も2008年の教員採用汚職事件を境に管理教育が強化され、国の施策に忠実に従順に展開されています。
「道徳の教科化で、多様な価値観を持つ子どもが育つのだろうか。学力テストの学校名公表は序列化を作り出し、子どもたちを競争させていく結果になっている
のでは。」と不安でなりません。私は、こんな状況の中で成長していかなければならない子どもたちに対して申し訳ない気持ちでいっぱいです。
県教育委員会のこれまでの施策をみると、一方的に国の施策を押し付けており、中央で決めたことをすべての地域で同じように実施しようとしていると思いま
す。「学校現場の生の声を聞いているのでしょうか。」「今、子どもたちは何よりも自分らしさを発揮しながら学校生活を楽しむということができているでしょ
うか。」
学校も子どもも保護者も教職員も、言うまでもなく地域の中に存在し、地域の一員です。そこで、大切なことは、それぞれの地域で教育が作られていかなければならないということだと思います。
そこで、これらを踏まえて質問します。
地域の独自性などを考慮した教育ができているのかについて、県教育委員会において検証が必要だと考えますが、教育長のお考えをお聞きします。
教育長答弁
・地域の特性を生かした教育を行うことは、郷土を大切に思う心情を育てたり、先人の業績を知って自分の生き方を考えさせたりする上で大切です。日田市の
「咸宜園教育」 、中津市の「まちなみ歴史探検」
、自杵市の「臼杵っこ検定」など、各市町村、学校において、地域の特色ある教育が多様に行われていると認識しています。
・一方、特に義務教育段階においては、全県的に一定の教育水準を確保し、県内どこにいても同じ水準の教育を受けることができる機会を県民に保障する必要があります。
・全国学力調査や体力調査の結果などを踏まえると、県内の各地域、学校で子どもたちの力に格差が生じており、県教育委員会としては、市町村教育委員会と緊
密に連携しながら、質の高い学校教育をあらゆる学校で保障し、全ての子どもたちに自己実現の基盤となる基礎的な力をしっかり身に付けさせることが必要と考
えています。
(2)人材育成方針等の見直しについて
次に人材育成方針等の見直しについて質問します。
本年3月の定例会で、人事異動の基本的な考え方をお聞きしました。その中で、「若年期の広域人事異動では、教員として幅広い視野と能力の伸長を図るため、
採用から早い時期に異なる環境で、多様な経験を積めるような異動を行うことと大量退職を迎えている中、新たに採用される教員の人材育成が、大分県の将来を
担う子どもたちのために必要不可欠」と答弁されています。
私は、市町村教委の教育長にお会いし、様々な意見を伺ってきました。人材育成については、広域人事も必要であると理解してきました。若年層の人たちの多様な経験も大切なことだとわかります。
ただ、現状をみると人材育成方針等に基づき、「新採用概ね10年3人事地域」が一律に運用されています。採用される人が、大学を出たばかりの23歳、24
歳とは限りません。中には、39歳で採用される方もいます。そのため、年齢が上がるほど、家庭への配慮などが必要となります。また、学校現場には20代、
30代、40代、50代の教職員がバランスよく配置される状況が大切です。
しかし、現行の人材育成方針等では、それらが配慮された内容になっていないと思います。そこで、該当者の生活と学校運営を配慮したものとするために人材育成方針等の見直しについてお聞きします。
「新採用概ね10年3人事地域」の運用にお
いて、臨時講師や他県の学校での勤務経験を考慮すべきではないでしょうか。現行の人材育成方針等は、3年が経ち、見直しが必要と考えますが、いつごろ見直
しが行われるのかスケジュール的なことを教えてください。また、該当する若年層の人たちは様々な状況を抱えていると聞いていますので、該当者の実態調査を
どの様に行っているのかお伝えください。
教育長答弁
・教員の広域人事や新たに採用される教員の人事異動を通じた人材育成については、議員ご指摘の通り極めて重要なことであります。
・新規採用者の中には、既に相当な実務経験を有している教員がいるため、ライフステージに応じた人事異動の観点から、採用前の臨時講師としての長年の経験や他県における教員歴や採用後の勤務成績などを考慮した人事を検討したいと考えています。
・人材育成方針の見直しについては、芯の通った学校組織活用推進プランの実施の中で、来年度中に行いたいと考えています。
・若年層教員の状況については、職員調書や学校長の意見等により、健康状況、家族の状況等を把握するとともに、県教委職員が学校を訪問し、若手教員の声を直接聞いています。
4 子どもの貧困対策について
厚生労働省の発表では、「子どもの貧困率」は、2012年に16.3パーセントと過去最悪を更新し、6人から7人に一人の子どもが貧困状態にあると言わ
れています。特に「ひとり親」世帯の貧困率は、54.6パーセントに上っています。その大半が母子家庭であり、平均的所得が243万円程度であることが主
な要因です。
学校では、給食以外に満足な食事が与えられていない子どもや医療費を負担できずに病院にいけない子どもなども報告されており、放置すれば、子どもの生命にかかわることや格差の拡大など、子どもが将来に希望を持てない社会となりかねない状況です。
このような中、国は1月に施行した「子どもの貧困対策法」に基づき、8月29日、「子供の貧困対策に関する大綱」を閣議決定し、その中で25の指標を設
定するとともに、その改善に向けて取り組むものとしています。当面の重点施策のうち、教育支援では、学校を子どもの貧困対策のプラットホームと位置づけ、
スクールソーシャルワーカーを現在の1500人から2019年度までに1万人に増員することや学校と児童相談所などの関連機関との連携強化、無利子の奨学
金支給対象者拡大などに取り組むこととしています。
(1)教育支援の取組について
本県においても、貧困によって子どもたちがその可能性を奪われることがないよう、あらゆる施策を総動員して支援を行っていく必要があると考えます。
そこで、子どもの貧困の現状を踏まえ、
今後どのように子どもの教育支援に取り組んでいくつもりか教育長にお聞きします。
教育長答弁
・すべての子どもが生まれ育った環境に左右されることなく健やかに育つことのできる環境を整備することは重要だと考えます。
・教育の支援としては、家庭環境や住んでいる地域にかかわらず、子どもの学力が保障されることが重要であり、県教育委員会では、習熟度によるきめ細やかな
指導や日標
達成に向けた組織的な取組の推進などにより全ての学校において学力向上を図るとともに、学校・家庭・地域の協働による放課後等を活用した補充学習などの推
進に取り組んでいます。
・また、就学支援として、小中学校では、市町村が低所得世帯を対象に学用品や給食、修学旅行の費用などの支援に取り組むとともに、高校では奨学金や入学支度金の貸与に加えて、今年度、返済の必要がない給付型奨学金制度を新設しました。
・今後とも、家庭の経済状況にかかわらず全ての児童生徒が質の高い教育を受けられるよう、関係部局と連携して取組を進めていきたいと考えています。
(2)養育費における支援策について
母子世帯における貧困を解消するために、養育費などによる収入を確保していくことが必要になりますが、県の調査では、母子家庭で養育費を受け取っていな
い世帯は65パーセントに上ると聞いています。兵庫県明石市では、養育費を確保するため離婚時などにおける夫婦間協議に対する支援として、関係機関と連携
した「子ども養育支援ネットワーク」を設置し、「明石モデル」として、相談体制の充実、参考書式の配布、関係機関との連携を柱にした支援を4月から実施し
ています。
そこで、本県でも「明石モデル」のような支援策が考えられないか福祉保健部長にお聞きします。
福祉保健部長答弁
・養育費は、ひとり親家庭にとって大切な収入源 であるとともに、別居している親とのつながりも感じることができ、子どもの健やかな成長のためにも、その確保は重要と認識しています。
・このため、これまでも、県の母子・父子福祉センターにおいて、弁護士による無料法律相談を年15回行っているほか、養育費相談会の開催や、市の母子・父子自立支援員を対象とする研修会を実施しています。
・ご指摘の明石市においては、離婚届を取りに来られた方に養育費などに関する合意書の様式を一緒に配布しているほか、相談窓口に常勤の弁護士を配置するなどの取組が行われています。
・県としては、こうした取組について、先般、各市にも紹介したところです。
・今後とも、明石市の取組なども参考にしな がら、養育費の確保などひとり親家庭への支援に努めます。
5 大分都市圏域における交通対策について
本年3月の定例会における代表質問で玉田県議が地域公共交通の再生と活性化について質問しています。旧郡部の小規模集落における地域公共交通の維持再生、
活性化は人口減少社会を見据えた地域づくりを進めていくうえでとても重要な問題です。しかし、大分市内においても野津原・賀来・佐賀関地域など、地域に
よっては、今後、同様の問題が生じてくるのではないかと心配しています。
このような中、県は、昨年秋に大分市及びその周辺市町村を対象として、パーソントリップ調査を実施し、9月にその結果を公表しました。調査結果を見る
と、移動手段としては自動車が67.5パーセントと最も多く、30年前の前回調査から25ポイントも上昇しており、自動車依存度が著しく増加している実態
があります。今後、子どもや高齢者など、自動車に頼れない交通弱者に対する交通手段の確保が必要となってくるものと思っています。
「誰でも自由に移動できることは、基本的な人権の一つ。」という考えがある中で、今後、策定する総合都市交通計画は、交通弱者をはじめとした公共交通機関の利用者の視点に立ったものとする必要があると考えます。
そこで、企画振興部長にお聞きします。
(1)交通弱者の配慮した計画について
今後は、これまで以上に交通弱者の配慮が必要となることなどを踏まえ、公共交通の利便性向上を主体とした計画とすべきではないかと考えますが、
どのような方針で計画を策定していくのでしょうかお聞かせください。
土木建築部長答弁
・総合都市交通計画は、公共交通利便性向上や自動車交通の円滑化とハードの施策を効果的に組み合わせながら今年度中に策定します。
・その中で、公共交通については高齢者や学生など交通弱者の移動を支えるため、生活に密接するバス路線の確保に加え、鉄道とバスのスムーズな乗継や大分駅南北を循環するバスの導入などを盛り込むこととしています。
・また、増大する自動車交通については、渋滞緩和に向けた幹線道路の拡幅やバイパス整備等の施策を検討しています。
(2)都市空間の創出について
また、一方で来春オープンする大分駅ビルや県立美術館、さらには中央通りの車線減少など、市内中心部においては、人の流れやまちづくりとも連携がとれたものにする必要があることから、
車より人を中心とした都市空間を創り出すべきと考えますが、その点について見解を聞かせください。
土木建築部長答弁
・ 来春には、県立美術館など魅力ある施設が 開設するとともに、東九州自動車道の県内区間も全線開通することから、人だけでは なく「車の量や流れ」も大きく変化することが想定されます。
・したがって、県都大分市の活気あるまちづくりのためには、こうした状況をしっかりと捉え、人と車のバランスの取れた都市空 間の形成を目指すことが大切と考えています。