県議会報告
2014年3月11日
第1回定例県議会一般質問と答弁

☆再質問と答弁、要望については要約して書いています。
詳細は、インターネット中継で見ることができます。





 31番、県民クラブの平岩純子です。
この1年間、県民の皆さんに頂いた課題を自分の言葉でお伝えしようと思います。知事をはじめ、執行部の皆さんの丁寧なご答弁を期待しています。
 また、年度末でお忙しい中、わざわざ県議会まで足を運んでくださった皆さん、本当にありがとうございます。


1 東北大震災からの月日と福島の子どもたちへの支援について
 
 3年前の今日、東北地方をマグニチュード9の地震が襲いました。次の日には、東京電力福島原子力発電所の原発事故で、福島は汚染されてしまいました。
震災の傷跡は消えず、沿岸部では更地のままの大地が広がっています。復興の名はありますが、機能不全に陥り、3.11に倒壊したまま手つかず、放置された 町が広がり、防護服を着なければ近づけない地域があります。多くの人が仮設や避難所で不自由な生活を余儀なくされています。そんな中で、政権を奪回した安 倍総理は、日本の政治の流れを右寄りに舵を切り、福島の復興よりもオリンピック、復興よりも強い経済を求めている姿が残念でなりません。
 私は、福島に何度か行き、現地の様子を見てきました。福島の子どもたちを大分に呼び、放射能の心配のない環境の中で、限られた期間ではあるけれど思いっきり遊ばせたいと願い活動してきました。
 被災地の子どもの3割が何らかの「心の傷」を負っているとの調査結果が報道されましたが、本当の事はほとんど報道されず、意図的に「なかったこと」のよ うに忘れさせようとしているようにも見えます。福島の子どもたちに甲状腺がんが多発しています。被曝した子どもたちにとって「5年が一つのめどだ」とも言 われています。今、日本中で福島の子どもたちを支援する活動が行われていますが、本来国を挙げてやるべきことであり、行政がもっとかかわりを持つべきだと も思います。知事のお考えをお聞かせください。

(知事答弁)
 本日をもって、東日本大震災の発生から3年を迎えます。被災地においては、未だに多くの方々が仮設住宅などでの暮らしを余儀なくされていると聞いており、大変心を痛めています。
 県内では、これまで、多くの県民やNPO法人等の皆様が、被災地の多様なニーズを汲み上げ、ボランティアなど様々な形で被災地支援を行っていただいてい ることに、改めて感謝申し上げます。平岩議員におかれましても、福島県の子どもを招待する活動に参加されていると聞いております。心から敬意を表します。
 国をはじめ行政においても、とりわけ被災地やこの国の明日を担う子どもたちが、被災により夢を断たれることがないよう、できる限りの支援を行うことが必要だと思っています。
 国においては、被災した子どもたちの心のケアのためのスクールカウンセラーの追加的な派遣や学習支援などのための教職員加配などが継続的に行われていま す。また、福島県をはじめとした被災地の子どもたちがのびのびと遊ぶ機会を持てるよう、国立の青少年教育施設において「リフレッシュキャンプ」が開催され ています。
 本県においては、これまで、子どもたちをはじめ避難所で暮らす方々に保健衛生指導などを行う保健師など、1022名の職員を被災地に派遣してまいりました。福島県には、延べ22チーム69名の保健師などを派遣し、健康相談や避難所の衛生対策にあたりました。
 また、大分県社会福祉協議会においては、福島県の小学生30人を大分県に招待して、自然や人とのふれあいを楽しんでもらう取り組みを3年前から行ってい ます。さらに、県立の青少年の家では、被災地の子どもたちに大分でリフレッシュしてもらおうと、宿泊料などを免除し受け入れるようにしています。
 他方、本県には、被災地から避難されてこられた方々が、今でも107世帯、254名いらっしゃいますが、その半数は、福島県からの避難者です。県では、 被災者の相談窓口として被災者受け入れ対策室を設置し、民間団体などが行う被災者交流会や子ども向け体験活動への参加の呼びかけなどを行っています。ま た、市町村では、本県への避難者の中で、東日本大震災により経済的に就学困難となった児童生徒を対象に、学用品や給食費などの就学に係る援助が行われてい ます。
 被災地においては、今も復旧、復興に向けて懸命の努力が続けられております。県といたしましても、一日も早い復興をお祈りするとともに、これからも被災地の歩みにしっかりと寄り添って、引き続きできる限りの支援をしてまいります。

(要望)
 今日が、3月11日。この3年間の福島への想いと国の原子力政策への憤りからこの件を質問の一番目にしました。チェルノブイリの事故の後、ベラルーシや ウクライナで子どもたちの体に起こったことを学ぶたびに、たまたま福島に住んでいたから病気になる、生き方がはばまれるということは、あまりにひどいこと だと思います。「保養プログラムは、成長期の子どもたちに短期間であっても効果がある」と言われています。私は、風化させない。支援し続ける。同じ過ちを 繰り返さない。ことを願い、これからも活動していきますので。県での支援もどうぞよろしくお願いいたします。

2 女性の就労について
 
 次に女性に対する施策について質問します。
 国は、2020年までにあらゆる分野における指導的地位の女性の割合を30%にすると言われていますが、大きな変化もなく男性中心に世の中は回っているように私の眼には映ります。議会で協議するときも男性管理職の方ばかりと11年間お話してきました。
 昨年、国は「女性手帳」「抱っこし放題の3年育休」という政策案を出しましたが「女性の体を国が管理するのか。」「非現実的すぎる。」と多くの女性たち の反撃にあい構想は影をひそめました。女性の就労や起業の大きな壁である、出産、育児、家事、介護などのアンペイドワークを社会全体で負担しようとする考 えはなかなか広がりません。一部の女性は男性並みの総合職に。そうではない女性の多くは、若者のそれと同じように使い捨て労働力として調整弁のように働い ています。女性の6割が非正規雇用、これが女性労働の実態です。今議会では「女性の就労総合支援事業」「女性の再就職チャレンジ支援事業」が上程されてい ますが、どんなことを願っているのでしょうか、その事業によって女性の労働の実態がどう変化し、女性自立につながっていくこと考えているのでしょうか。お 聞かせください。

(商工労働部長答弁)
・女性の活躍の推進と就労促進は、活力ある大分県の実現のため重要です。このため、女性の就労の継続、キャリアアップ、就労促進の環境を整備する事業を行っています。
・まず、就労の継続については「女性の就労総合支援事業」で、企業に対して、継続雇用の重要性をセミナーなどにより啓発し、仕事と家庭を両立させ働き続け られる環境を整備します。キャリアアップについては、この事業により、管理職への登用拡大のための講座を拡充するなどの応援をします。就労促進について は、この事業により、就職活動時の無料の託児サービスを拡充し、子育て中の女性が安心して就職活動ができる環境を整えます。
・また、「女性の再就職チャレンジ支援事業」により、職業訓練中の保育料助成や託児付訓練などを行っています。
・これらの事業により、家庭と両立した就労の継続や管理職への登用が進むとともに、子育て中の女性の就職活動時の選択の幅が広がり、女性が活き活きと活躍できる社会を目指します。

(再質問)
私は、これまで何度か女性の就労について質問してきました。この10年間に変わったのは、「男は仕事、女は家庭」と表だって言う人が少なくなったことと、若い男性の家事・育児時間が少しだけ増えてきたことではないでしょうか。
女性たちが就業し続けたいと願うその職場は変化したのでしょうか。
育児休業は、取りやすくなったのでしょうか。結婚や出産で仕事を辞めなくて良くなったのでしょうか。

(商工労働部長答弁)
 実態面として、どう変わったかと言うデータはないのですが、ワークライフバランスの重要性や男性も育児や介護をしていくことの大切さを訴えていきます。 ワークライフバランスのとれた会社は、成長していきます。今の状況が決して良いとは思っていません。これからもみんなで協力してやっていきます。

(要望)
 男女雇用機会均等法ができた、80年代とは違い、働きながら出産や子育てするのは、当たり前になっています。しかし、現実は寿退社が妊娠解雇や育児休業切りに変化しているだけでは。
 女性も経済的にも自立したいと望んでいると思います。身に着けたスキルや経験で社会貢献したいと思っています。望んでいるのは、産休、育休明けの就業と 保育ではないでしょうか。残念なことに出産離職率は、30パーセント。働く女性を苦しめる3大ハラスメント(マタハラ、パワハラ、セクハラ)が26パーセ ントだと報告されています。
制度の理解と周知をすること 男性の働き方を見直すことが大切です。

3 しいたけの振興について

 
 次に、農業問題でしいたけについて質問します。議会でもこれまで何度も質問されました。大分県が誇るしいたけは販売価格の下落などで生産者は厳しい状況に置かれています。
家庭でのしいたけ利用が年々低くなり、若者のしいたけ離れ、福島原発の影響で風評被害にも苦しんでいるのがしいたけ生産者ではないかと思います。
2月24日に豊後大野市のしいたけ農家の方にお話を伺いました。「中国産乾しいたけ問題後、価格が極端に下がった。生産者も減った」「その後、価格は持ち 直したが、震災の後、消費がなくなった。(OSKのしいたけも放射能が含まれていると思われている)」「東北の生産者には、東電の補助があるが、仲買人に よってブレンドされた大分のしいたけには価格が下がっても補助はない」「生産者にはこの安さではやっていけない。さらに、先月の雪害の後、やめる人が出て いる」など、苦労や心配されている一端をお聞きしました。
 そこで、質問します。しいたけ離れはどうして起こるのでしょうか。生産者を勇気づけ意欲的なしいたけ農家を残すための方策はどうあれば良いのでしょう か。販売方法としてOSKが全国に向けて「大分のキノコですよ」とアピールし、独自の直販体制を強化するなど、さらなる販売拡大が必要ではないでしょう か、お尋ねします。

(農林水産部長答弁)
(しいたけ離れ)
・原発事故の影響で、関東などの学校給食では使用自粛が続いていますが、しいたけ離れは、近年の外食化やレトルト食品の普及など食生活の変化による家庭消費の落ち込みも大きな原因の一つと考えています。
(今後の課題)
・家庭での消費回復を図るため、調理学校や主要都市の料理研究家から広くアイデアを募り、家庭で調理しやすいレシピや加工品の開発に取り組みます。一方 で、生産者の意欲減退を防ぎ、経営安定を図ることも重要です。このため、新たに種駒や原木購入費、林内作業車などのリース費用に助成します。
・販路拡大については、26年度から新設する県職員マーケターやトップセールスを通じて、大分県産しいたけを使用していない関東、関西の有名料理店や学校給食会などへの販促活動を強化します。
・さらに、世界農業遺産の地域認証しいたけの生産拡大や有機JASの取得により、有利販売やEUへの輸出につなげていくなど、市町村や県椎茸農協関係団体と一体となり消費拡大や生産振興に全力で取り組みます。

(要望)
   私は、しいたけを料理によく使うんですが、会派で話し合うとあまり家庭で使わないようです。ましてや水に戻してまで使わないことが多いと感じます。でも、 子どもたちは、給食でしいたけを口にしているんですよね。一歩踏み込めば消費拡大につながっていくのではとも思います。
 問題は、どうしたら普及が広がるかと言うことです。生産者の方々は自分たちもがんばるから「OSKも頑張ってくれ!」と強く期待していると感じます。
現在、4割が直販で6割が仲買人により取引されていますが、トレーサビリティーしても、混ぜ込まれるので、品種に関係なく価格が下がると言われていました。補助ではなく、直販体制を強化してください。

4.県立美術館開館について
 
 次に来春開館予定の県立美術館について伺います。
 建物の骨組みが見えてきました。工事も急ピッチで進められているようです。私の中では、完成に対する期待が少しずつ高まってきましたが、多くの県民の方の周知や期待感には、温度差があると思われます。
 新美術館は、「出会いのミュージアム」と位置づけられ、知事は、「県民のサロンとして利用していただきたい」と言われています。開館したら、大分のコレ クションと国内外の作品とのコラボや大分の自然や歴史を背景に様々な企画もなされることでしょう。年代の違う様々な人が集う場所としての位置づけもされて いるようです。
私の中では、美術館は、心を豊かにしてくれる場所だと位置づけています。ワクワクしながら出かけて行き、そこで本物の絵画や彫塑に出会い、感動する。改め て自分の生き方やものの考え方、人生についても一人振り返ることができる場所なのかもしれません。そこで出会った作品は、慌ただしい生活に潤いを与えてく れるかもしれません。
 美術館の目玉は、やはり作品です。そこにどんな作品が待っていてくれるのかと言うことです。
 そこで質問です。開館後の作品展はどんなものになるのでしょうか。また、ここ数年、県民の財産として作品の購入はなされていませんが、大分に行ったらあれが観られるといった作品の購入予定はないのでしょうか。お尋ねします。

(企画振興部長答弁)
・開館後の作品展については、指定管理者である大分県芸術文化スポーツ振興財団が新見館長を中心に準備を行っているところです。
4回程度の展示替えを行い、これまで以上に県民の皆さんに所蔵作品を紹介していきます。
・企画展については、県立美術館で独自に企画する展覧会を中心に、年4,5本程度を開催することとしています。特に、開幕企画展は、「大分のアートが世界 のアートに出会う」をコンセプトに、国内および海外の美術館と作品の借用交渉などを進めています。その後も、大分ならではのユニークな展覧会を開催してい く予定です。
・開館に向けた広報は、財団と連携し、県民の皆さんをはじめ県外の方々にも開館を楽しみにしてもらえるように、講演会や美術館関連の展示などのイベントを開催するとともに、様々な機会を利用したPRなどを効果的に実施していきます。
・なお、新たな作品の購入は、3階の屋外展示スペースなどにインスタレーションとして設置を計画しているものを除き、現在のところ予定はありません。

(再質問)
 美術館の役割として、収蔵品のコレクション展と年5回の企画展が行われると考えていました。その中で大分スタイルを打ち出し・芸術文化の中心・子どもた ちの情操教育・芸術を通して地域活性化・観光の目玉にするとお聞きしています。そして、年間50万人の来館を予定しているとのことですが、大分県民の皆さ んは、美術に造詣が深い方もいますが、地方都市でこれまでそんな機会に恵まれず、そうではない方もいらっしゃいます。そこまで高まっていない県民意識の ギャップをどう埋めていくのかしらといつも考えていましたが。

(企画振興部長答弁)
  まずは、良いものを県民の方々に見てもらう。いろいろな機会を通じてものすごく詳しい方から、これからの人、いろんな人のニーズにこれからも応えていきたいと考えています。

(要望)
 欲張らないでやっていっていただきたいと願います。さらに美術館は、やはり
作品で勝負するところだと思います。お茶を飲んだり県産品を買いに行ったり
することだけが目的ではないと思います。今回、南海コレクション購入の補正予
算が出されていますが、これが通れば、ピカソがシャガールがマリーローランサ
ンが中川一政が大分県の財産になると思うとワクワクします。
どんなに素晴らしい企画展をしても、県民の心の財産にはなりますが、県民の
財産にはなりません。今後、どんな作品との出会いがあるかわかりません。その時は、熟慮しながらも勇気をもって県民の財産を購入していただきたいと願っています。

5.教育について
 
 次に教育課題について3点質問します。
 県の進める「教育改革」が本当に児童・生徒のためになっているのか。保護者や教育関係者の理解を得て、ともに進められているのかと、いつも疑問に思いな がらこれまで意見を伝えてきました。さらに「教育委員会制度の見直し」「教科書採択」「道徳の教科化」など国の教育への介入が激しくなり、教育の政治的中 立は守られるのかと憂慮しています。
臨時教職員の置かれている状況について
 1点目は、臨時・非常勤として採用されている教職員についてです。
 日本の非正規雇用は、労働者全体の3分の1を超えていますが、学校現場も例外ではなく、非正規雇用である臨時教職員は年々増え続けています。大分県では 1000人を超えている状況です。女性労働と同じように教員定数の「安全弁」としてあるいは人件費を抑制する手段として数多く配置されています。
 採用形態は様々で、皆さん、年度によって働き方が違い、それにより賃金も異なり不安定な生活を余儀なくされています。殆どの臨時教職員が正規教職員と同 じ仕事をしていますが、その賃金は低く抑えられています。休暇などの権利でも十分な保障はされていません。また、管理職が一人一人の雇用形態などを理解し ているとはいえず、理不尽な思いをすることも数多いとお聞きしています。
 県教委は、臨時教職員の雇用や生活実態をどう捉えているのでしょうか。他県では、退職金を支給する県もあると聞きますが、学校現場を正規職員と同じよう に支えている臨時教職員の賃金や手当、不均等な待遇を改善してくことが必要だと考えますが、いかがでしょうか。また、多くの臨時教職員が採用試験をめざし ています。学校が多忙化していることは、周知の事実ですが、仕事と採用試験をめざしての学習の両立は困難な状況になっています。採用されて即戦力となる講 師経験を他県では、採用試験で考慮しているところもあります。大分県でもぜひその方向性を探っていただきたいと願いますが、お考えをお聞かせください。

(教育長答弁)
(臨時講師の待遇など)
・臨時講師などの多くは、正規職員と同様に給料表が適用され、期末勤勉手当なども支給されるなど、一般行政における臨時職員に比べ手厚い待遇となっています。
・また、その生活実態に応じて、通勤手当や住居手当、扶養手当も支給されています。
・臨時講師などの給与は、他県との均衡で決定し、これまで改善しており、全体としては九州各県に比べて遜色ないものと考えています。
(研修)
・正規職員と同様、臨時講師は児童生徒への授業を行っており、指導力向上のため、1,2,3年目、5年目、10年目など経験年数に応じた研修を、昨年度から体系的に実施しています。
 
教員採用試験について
(採用試験における優遇措置)
・教員採用選考試験については、平成20年の事件を踏まえ、試験制度の様々な改革・改善に取り組み、公正・公平・透明性を確保してきました。
・地方公務員法上の問題や、試験の公正性・公平性の確保の観点から、臨時講師などの経験による優遇措置は考えていません。
・なお、現行制度でも、模擬授業など専門性を判断する試験を実施しており、日ごろの教育実践も生かすことが可能であると考えています。

(要望)
 これまで、臨時講師に対して、努力していただいていることには感謝していま
すが、例えば、年休は15日で繰り越しができないことや3月30日で切れる社
会保障、賃金も初めは九州トップレベルですが、25年経ったら最低レベルに
なるなど課題はたくさんあります。課題解決のために私たちも考えをお伝えし
ていきますので、宜しくお願いいたします。

教職員の人事異動について
 次に県教育委員会が、教職員の人事異動方針で打ち出している「新採用概ね10年3人事地域」ついてです。第3回定例会で県民クラブの酒井県議が第4回定 例会で深津県議が質問しています。お二人ともこの人事異動方針が学校現場の実態に即していないことや該当者の負担があまりにも大きいことを指摘していま す。それに対して全県的な教育水準の維持向上と教職員の意識改革、人材育成の必要性を理由として答弁されています。答弁の中で「市町村教育委員会からは、 広域人事異動について特段の問題指摘はない。」「全県エリアで大分県教育向上のために努めることは当然であり、これまで以上に取り組んでもらいたいと要請 されている」と答弁しています。教員出身が多く、地域の実情を知り尽くしている市町村教育委員会がそんな考えを持つだろうかと不思議でなりません。
 私は、広域人事異動に反対しているのではありません。地域の教職員配置に偏りがあってはならないということも理解できます。しかし、教職員は、様々な地 域を経験するから成長できるのではなく、目の前の子ども保護者や同僚先輩との関わりの中で成長していきます。毎年、人事異動方針が変更され、結果として透 明性も公平性もない実態となり学校現場は混乱しています。該当者は不安で落ち着かない状況に置かれ、理不尽な思いに苦しんでいます。こんな状況は一刻も早 く是正すべきだと考えますがお考えをお示しください。

(教育長答弁)
(人事異動の基本的な考え方)
・本県では、出身地や勤務年数に偏重した人事が長らく行われてきたところであり、教職員ごとに異なる意欲・能力を反映した人材育成を人事異動を通じて行うことは困難でした。
・教職員人事は、子どもの挑戦や自己実現を支える学校教育に向けて日々の研鑽を怠らず努力を続け、困難な課題に挑戦している教職員が認められるものでなけ ればなりません。このため、平成22年度に新たな人事評価制度を導入し、その結果を人事に活用するため、平成23年度に人事異動方針などを全面的に見直し たところです。
 
(若年期の広域人事異動)
・更に、平成24年度には、人材育成方針に基づき、教員としての幅広い視野と能力の伸長を図るため、採用から早い時期に異なる環境で多様な経験を積めるような異動を行うこととしました。
・大量退職を迎えている中、新たに採用される若年期の教員の人材育成は、大分県の将来を担う子どもたちのためにも必要不可欠です。
・今後とも、大分県全体の学校力向上などを図るため、市町村教育委員会の意見を聞きながら、人事異動方針に従って人事異動を行っていきます。
 
(再質問)
 県教委は、該当者の意見をどのように吸い上げているのでしょうか。例えば、臼杵市では、異動で入ってきた人にアンケートをとっているそうですが。
 また、地域の学校と深い関わりのある市町村議会から、県教委に意見書が出ているようです。この話を聞いて、バランスが悪いなと感じました。この意見書を どう受け止められていますか。「さらに民主教育を考える県民会議」から3万5千筆あまりの署名も出されていますがその扱いはどうされていますか。
 
(教育長答弁)
 一般的に、夏ごろから各学校を回って、現場のいろんな声を聞いています。
 意見書は、日出、別府、杵築から出ています。ある意味、地域ごとに捉え方が多少違っていると感じています。市町村教育委員会からは、不満は聞いていません。
 署名については、提出の時にお話を伺って、そういう考えもあるなと思いました。さらにいろんな場で理解を深めて行きたいと考えています。
 
(要望)
 私たちも、大分県下の市町村教育長さんとお話して、いろいろな考えを持たれていることに気づきます。教育委員会の言われるように「異論はない」という実 態ではありませんでした。ここでそのご意見を縷々述べる時間はありませんので、そのことをお伝えする時間を作ってください。人材育成方針も3年が経ちまし たので、変更すべき点もあると思います。私も人材育成方針について考えがありますので、是非、時間を作ってください。教育長とゆっくりお話ししたいと願っ ています。

フッ化物洗口について
県議会では、前回「大分県歯と口腔の健康づくり推進条例」を制定しました。条例づくりの中で最も時間をかけ、学習し討議したのはフッ化物についてでした。 県議会では、条例の逐条解説をつけ、フッ化物洗口については、子どもの個々の体質を考慮する必要があることから、その期待される効果や懸念される内容を、 保護者や本人にきちんと知らせ、インフォームドコンセントをしっかり行うこと、歯の健康を保つためには、フッ化物洗口だけではなく、食育やブラッシングが 大切だと位置づけました。
 今議会では、「小・中学校フッ化物洗口推進事業」が予算化されています。フッ化物洗口について理解を広げようということでしょうか。具体的な方策についてお伺いします。
 
(教育長答弁)
(フッ化物洗口について)
・「大分県歯と口腔の健康づくり推進条例」では、県民の歯と口腔の健康づくりを図るための基本施策として、フッ化物洗口などのむし歯予防対策を推進することとしています。
・今年度、全市町を訪問し、首長・教育長にむし歯の減少を目指す取り組みについて説明したところ、フッ化物洗口については、保護者・教員などへの十分な説明をしてほしいという意見が多くありました。
・そこで、フッ化物洗口について、具体的方法、期待される効果、安全性などへの理解が進むよう、研修や啓発を行うこととしています。
(具体的方策)
・具体的には、県歯科医師会、薬剤師会及び郡市PTA連合会と連携し、保護者を対象とした研修講座を開催します。また、啓発用DVDや保護者・教員向けリーフレットを作成し、フッ化物洗口に関する情報提供を行うこととしています。
・なお、学校でのフッ化物洗口の実施に当たっては、必要に応じて、専門的な指導助言を行うこととしています。
 
(再質問)
 県教委体育保健課の職員が学校歯科医研修会の講習会でこう言っているんです。
「目標として、今後3年間で、すべての市町村でたとえ1校であってもいいから、
フッ化物洗口が行われるという状態を作り上げていきたいと思っています。」
「昨年12月に『大分県歯と口腔の健康づくり推進条例』も選定されました。まさに、学校において、フッ化物洗口を実施する環境、お膳立ては準備万端整っていると言ったことになるのではないかなと考えております。」
等と言って回っていますが、県教委の方針がそうだと思っていいんですね。
 
(教育長答弁)
 内容が、どこが問題なのかちょっとわからないのですが、むし歯予防については、食育 歯みがき フッ化物洗口ですが、その中で、フッ化物がなかなか取組めていないので、その様な発言になったものかと思います。
 
(要望)
 その場にいない人間がこのような発言をして失礼かもしれませんが、5年間かけて「子どもむし歯予防研究会」で出した結論は、食育 ブラッシング フッ化物洗口だったはずです。
 私たちが作った条例も決して「フッ化物洗口推進条例」ではありませんでしたからそのことをここで確認しておきます。
 
 
 教育長さんたちと話し合うために回っていて、こう言われるんです。「ちょっと県教委が強行的だ。」と「自分たちの考えを伝えたいけれど人事や研修や加配 でペナルティーを科せられるのではと感じる。」「決してそうは言わないけれど、そんな雰囲気をぷんぷん感じる。」そうなんです。「上意下達」だとも言われ ます。
 そこが問題だと感じます。前議会で油布県議も言われていました。「委員会とPTA、学校現場、組合そして子どもたちの声を聞きながらお互いの立場を理解して進めて頂きたい。」と。そのことを強く要望しておきます。

6.支援を必要としている子どもたちについて
 児童養護施設の課題について
 最後に児童養護施設と情緒障害児短期治療施設の在り方について質問します。
 折に触れ、二豊学園、一時保護所、児童養護施設にお邪魔し、子どもたちの様子や職員の方々からお話を伺ってきました。県の関係機関は、知事の英断の元、 手厚く職員を当てて頂き感謝しています。その機関が深く関わっている児童養護施設は、他県に比べて、大分県は充実している部分が多いと感じます。施設は、 大舎制から小舎制へと移行している最中のところもあります。社会の変化の中で、親はいても養育されることができない子どもたちの抱える問題は、さらに複雑 化しています。そんな中で、施設の小規模化、地域分散化への課題や高齢化していく里親さんがあまりに深刻な子どもの抱える課題や言動に苦しむという実態も 多く出てきています。
 今年の児童養護施設職員合同研修会では、そんな課題も発表されていました。3K職場で、精神的にも厳しい労働環境で長く働き続けられない状況。夜の体制 はもっと深刻ですし、家族再統合の難しさもあります。やる気のある若い職員はいますが、それは、別府大分に集中してしまいます。バーンアウトする人も多い 中で、スーパーバイザーや中間層の人材が施設には必要です。
 そんな課題をどうクリアーし、児童養護施設を支えていくのか県の見解をお示しください。

(知事答弁)
(児童養護施設について)
 現在、本県では、親からの虐待や経済的理由などにより、494人の子どもたちが、親元を離れ児童養護施設や里親の元で生活しています。そのうち、約7割 に当たる335人が児童養護施設で生活していますが、子どもたちの中には、継続して不適切な養育環境にあったことで心に深い傷を負うなどにより、養育に難 しさを感じる子どもも多くいます。
 一昨年、大分市にある児童養護施設「森の木」を訪問しましたが、職員の皆さんの日々の頑張りを目の当たりにし、本当に頭が下がるとともに、児童養護施設 が抱える課題にしっかりと取り組まなければならないと考えています。こうしたことから、施設が抱える課題としては、大きく二つあると思います。
 一つは、子どもへの支援です。親からの虐待などにより心理面に大きな課題のある子どもの養育には、一人一人に寄り添い、きめ細かなケアを粘り強く続けて いくことが必要です。このため、県では、児童養護施設の小規模化や地域分散化を促進し、子どもがより家庭的な雰囲気のもと、地域の中で育つことができる環 境づくりに取り組んでいます。
 また、子どもの心のケアを充実するため、心理療法を担当する職員の加配を行っており、カウンセリングを通じ、不安感を取り除くことで心の傷の回復を図っています。
 このほか、子どもが早期に家庭に戻れるよう、実の親との調整を行う家庭支援専門相談員を各施設に配置するなどにより、子どもへの支援の充実に努めているところです。
 もう一つの課題は、職員への支援です。入所している子どもは、過去の虐待による心の傷や不安感から、時として暴力や自傷行為といった顕著な問題行動を起 こすことがあります。このような問題行動に対応する職員の負担は大変大きく、中には、議員ご指摘のとおりバーンアウトする方もおられます。このため、県で は、職員は一人で問題を抱え込むことのないよう、適切な助言・指導やメンタルヘルスに関する支援を行う基幹的職員を養成し、各施設に配置しています。
 また、施設の小規模化により、職員のローテーションが難しくなったり、職員個人の負担が重くなるという実態があることから、小規模ケアを実施する施設に、専任の児童指導員と管理宿直職員を加配しています。
 児童養護施設は、社会的養護において中心となる施設であり、これまでも大きな役割を果たしてきました。虐待など様々な背景を抱える子どもたちが心身ともに健やかに育っていけるよう、県としてもその取り組みを引き続き支援してまいります。
 
(福祉保健部長答弁)
児童養護施設の職員について
(ショートステイの内容)
・ショートステイ事業は、親が病気などの際に、子どもを最長7日間まで預かる事業で、県内9つの児童養護施設のうち8つで市町からの委託を受け実施されており、虐待未然防止を含め、子育て支援に一定の役割を果たしています。
(ショートステイにかかる職員配置)
・ショートステイにかかる経費については、施設の運営費の中で、ショートステイ受け入れにかかる人件費分も含めて手当されているほか、子どもが実際に預け られた場合、2歳以上の子どもは1日あたり5500円、2歳未満の子どもは10700円が施設に支払われることとなっています。
(施設に対する支援)
・このほか、県としては、施設での子どもに対する支援を充実するため、施設職員に対する研修や、小規模ケア実施に伴う児童指導員などの加配を行ってきたところであり、今後とも、支援の充実に努めてまいりたいと思います。
 
二豊学園について
(二豊学園の現状と県の見解)
・二豊学園では、児童福祉法に基づき、不良性のある児童など生活指導を要する児童に対して、必要な指導を行い、その自立を支援しています。
・老朽化に伴う平成20年の寮舎改築により、定員24名から32名に拡大し、中学校卒業後の生徒も、必要に応じて受け入れすることができるようにしたところです。
・これまでのところ、高校進学または就職する子どもは、地理的な関係もあり、ほとんどが中学卒業までに二豊学園を退園していますが、今年度、中学卒業後の子どもを半年間受け入れた実例もあります。
・このため、直ちに高校生などへの専用の寮を設置することは考えていませんが、いずれにしても、こうした義務教育を終えた子どもたちへの支援は重要であると考えており、県としては、児童アフターケアセンターの設置などにより、その自立支援に力を入れているところです。
 
情緒障害児短期治療施設について
 今議会で施設整備費が上程されている「情緒障害児短期治療施設」について質問します。2007年に質問した時に、「今後、調査研究をしていきます。」と 答弁をいただいていました。私は、7年待ちましたが、情緒に問題を持つ子どもたちを支えてこられた、児童養護施設や児相の関係者の方々は、40年待ち続け たのがこの施設ではないでしょうか。何としても良いものにしていかなければなりません。子どもたちに「情短施設で頑張って、また帰っておいで。」と安心し て送り出していける施設でなければなりません。そこで質問です。情短施設は家庭と里親さんと児童養護施設と行政がしっかりと手を取り合わなければならない 所だと思います。当面の課題は、そこで働く職員の研修と学校教育を導入していきますので、大分市教育委員会との綿密な協議が重要だと思います。それに向け て、何が必要であり、どこに力点を置いて開設準備をされているのかをお知らせください。
 
(福祉保健部長答弁)
(支援の必要性)
・当該施設は、心理的・精神的な課題のある児童に対し、医療の観点から専門的なケアを実施する、県内初の施設となることから、開設に当たっては、議員ご指摘の施設職員や併設する小・中学校の教員の専門性の向上が不可欠だと認識しています。
(職員の研修)
・このため、施設職員が開設前に、他県の情緒障害児短期治療施設などで、研修を受けることができるよう研修に必要な経費などを運営費に上乗せすることとしています。
・また、教員についても、専門性を高めるために必要な研修を実施することとしています。
(大分市教育委員会との連携)
・併せて、情緒障害児短期理療施設の設置に向けては、これまでも、開設する小・中学校の整備について、大分市教育委員会と連携してきたところですが、引き続き、入所する児童への適切な学習の機会を保障するため緊密な連携を図っていきたいと思います。
 
(要望)
 子育て支援課の方も児相の方も養護施設の関係者の方も、私以上にいろいろなことが分かっていらして、思いは同じだと思います。
 2月に児童養護施設の研修会があって、参加しました。レポート発表やグループ討議の中で厳しい現実が語られました。子どもたちの様々な問題行動が、環境 から生じる愛着障害なのか、発達障害なのかとても難しい現実です。それでも愚痴の言い合いではなく、その会の中で、みんな口には出さないのですが「どう だ、うちの子可愛いだろう」と言っているようで、この気持ちがみんなに共通しているものだと感じました。
 昔は、施設内で虐待やネグレクトがありました。それは、みんなが善人ではないからです。国立武蔵学院の星野先生がこういわれていました。「それは、子ど もの処遇、職員の待遇、施設運営、理事会機能不全から起こるのです。」「虐待支配から子どもたちが解放されると徐々に今までの不満や不信感を露骨に訴え、 問題行動が吹き出すのです。」と。このことで、今、施設は苦労しているのだと思います。
 これから、小規模化、地域分散化していく施設運営が安定化していくように行政がしっかりと支えてください。
 情短施設は、定員が30名で、すでに24名の児童が対象となっているとお聞きしています。医師、看護師、心理の先生、指導の先生の中に学校教育が入りま す。教員は、必ずしも情緒に障害のある子どもの理解が十分ではないかもしれません。そんな中に子どもたちが入っていきます。環境が変わり、人も変わり、お 友達も変わる。子どもたちは、戸惑うと思います。最初から、多くの事を望まず、子どもたちが事故なく過ごせるように、信頼関係が気づけて子どもの居場所が できる施設になって欲しいと強く願っています。

 最後に、私事で恐縮ですが、母が亡くなりまして、今日午後から葬儀があります。
こんな状況の人間が、議会に来ても良いのだ ろうかと随分悩みました。実は、この1年間、私にいろんなことを伝えてくださった方々の願いや思いを中心に質問を構成してきました。議会事務局の方や財政 課の方々にもアドバイスをいただきながら質問原稿を仕上げましたので、どうしてもここでお伝えしなければならないと考えました。母が生きていたら「うん、 行っておいで」と言っただろうなあとも思いましたので、質問いたしました。早口で申し訳なく思っています。ご清聴ありがとうございました。


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