15番、県民クラブの平岩純子です。9カ月ぶりに質問の機会を与えていただきました。お忙しい中で傍聴に来てくだった皆さんありがとうございます。
今日は、3月11日。東日本大震災から2年が経ちます。2年前の3月11日の夕方、私は、大分市内の学校にいました。先生方が子どもたちを体育館に集めている最中でした。その切迫した様子から何かとんでもないことが起きたんだと感じました。そして、職員室のテレビで見た映像は、こんなことが日本で起こったのかと信じられない光景だったことを昨日のことのように覚えています。私の脳裏には、濁流にのみ込まれていく自動車、陸に打ち上げられた漁船の姿が今も焼き付いています。2年間、気仙沼、仙台、三春町、釜石と訪問しました。当時の状況をお聞きし、その時の光景を思い浮かべると、大川小学校へは足を踏み入れることができませんでした。また、防災センターでは人々の鎮魂が続いていました。
日本中からボランティアが集まり、復興が続けられています。しかし、まだ仮設住宅を出ることができない多くの方がいます。人とのふれあいもなく孤立死する人の報道がなされるたびにどうしようもない悲しみを感じます。そして東京電力福島原発事故のために故郷に帰りたくても帰れない人々の悲しみや慟哭を思う時、これから何をなすべきか、自問自答しています。それは、置き去りにされやすい弱者がいることを絶えず訴え続けていくことだと考えます。
そこで今回は、弱者に視点を当てて質問を組みました。
(質問)1.県政運営について
昨年末、政権が交代しました。「コンクリートから人へ」と弱者の視点に立った民主党の政策に期待していた私には厳しい現実でした。
安倍総理の手腕に期待する声が経済界からあがるたびに「本当に大丈夫なのか」と不安を覚えるのは私一人でしょうか。アベノミクスへの期待感は株価を上げ円安をもたらしていますが、国民が本当にその恩恵を受けることを期待できるのでしょうか。ガソリンも小麦も電気代も上がります。経済優先の政治・社会のシステムは大きな格差を生み、一度敗者となった者は、どんなに努力しても報われない社会を作り出しています。非正規雇用を調整弁のように使う社会。「単身女性の3人に1人が貧困だ」という国立社会保障・人口問題研究所の分析にもある通り、女性の貧困も深刻化しています。
国民の低収入への不満を逆手にとっての生活保護費削減も同様です。真に生活保護を必要とする人々の生活を直撃するだけではなく、病気などを抱えて生活保護に頼らざるを得ないような人たちに肩身の狭い思いをさせています。
未来に人生を紡ぐことができない人が増えている中で、弱者に目を向け、寄り添う施策が、今こそ求められているのではないでしょうか。
そこで知事に質問します。
生活保護受給者やシングルマザー、シングルファーザー、障がいを持たれている人、これにとどまらず、普通に平穏な生活を送りたいと考えても叶わない弱い立場にある人の視点に立った施策について、どのように進めようと考えていますか。
知事答弁
安倍内閣が発足し、アベノミクスという言葉ができたように、景気・経済対策に焦点が当たっているような感があります。大事なことは、議員ご指摘のように、景気・経済を良くすることで、誰でも豊かで幸せに暮らせる社会をつくるということです。
そういう気持ちで、私は「安全・活力・発展の大分県」づくりに取組んでいます。
まず、「互いに助け合い、支え合う安心・安全の大分県」づくりです。児童虐待防止や社会的な養護の場の充実を図るとともに、高齢者を地域全体で支えるための仕組みづくりや、障がい者については、就労促進など自立に向けた環境整備を図っています。また、女性の継続就業や再就職のための環境整備など、男女共同参画社会の実現に向けた取組みを進めます。増加するひとり親家庭には、経済的支援をはじめ、子育て・生活全般の相談事業や就業支援等を行っていきます。
次に「いきいきと暮らし働くことのできる活力ある大分県」づくりです。何といっても産業の底力を発揮して、雇用の場を確保することも大事です。このため、農林水産業の構造改革を進めるとともに、企業誘致や産業集積の深化、頑張る中小企業への支援を強化します。こうした取り組みで、雇用条件など就業環境の改善ができればと後押ししているところです。
「人を育て、社会資本を整え、発展する大分県」づくりも欠かせません。どんな境遇にあっても、夢に挑戦し、自己実現を図る子どもたちを支えていきます。世代間で貧困の連鎖があってはなりません。このため、公立高校の授業料無償化や私立高校の授業料に対する県単独の上乗せ助成に加えて、奨学金制度などにより、経済的負担の軽減を図っています。県が基礎・基本の定着による学力向上に力を入れているのは、こういう気持ちからです。
また、社会問題化している、いじめ・不登校対策を強化します。さらに、豊かな感性と創造性を育むため、県立美術館の整備など芸術文化の振興にも取組みます。
このように、引き続き、社会的弱者の視点に立って、県民誰もが安心して暮らし、夢と希望あふれる大分県づくりに全力で取り組んでまいります。
(再質問)
健全な社会を構成する上で、一人では弱い労働者が、自らの権利や人権を守るために労働組合が果たす役割は大きいと思います。しかし、残念なことにその組織率は、年々下がっています。知事の労働組合に対する期待感をお知らせください。
知事答弁
労働組合の権利や人権を守る役割は重要だと考えます。県ではこれまでも労働組合の方々に政策提言を頂いたり、労働相談に関する情報を頂いたりしてきました。これからもしっかり連携をとっていきたいと考えています。
(要望)
安倍総理が春闘前に経団連や産業界に賃上げを要求しました。そもそも賃金とは労使関係で決めるものであり、政治介入はおかしいのでは・・・と思いました。デフレ克服のためとは思いますが・・・。一部の企業が満額回答を出したと報道されていますが、それは大企業のごく一部だと思います。多くは中小・零細企業で働いています。働いている人が理不尽な扱いを受けています。正当ではない扱いで、不満を抱え、どこにも持って生き場のない思いで悶々としている人もいます。これから労働委員会や労政福祉課の果たす役割は大きくなるかもしれません。期待しています。
(質問)2.九州乳業について
次に九州乳業の再建について質問します。
2月15日、経営再建中の九州乳業が自主再建を断念し、阪神酒販グループの支援を受けることが発表されました。
大分県の酪農の歴史を振り返ってみます。1963年、大分県酪・日田酪農・豊前酪農が合併し、大分県酪農業協同組合が発足しました。酪農は、夏期に消費は増えるけれど、生産量が落ち、生乳不足となります。冬期はその反対で余剰乳が出て、生産者はメーカーとの取引で不利な立場となります。これを解消するために三つの酪農の合併が行われました。一県一酪農専門農協として、現在の大分県酪が設立され、約50年が経過しています。
その大分県酪の牛乳の処理加工と販売部門として、1964年に設立されたのが、九州乳業株式会社でした。資本金約4億8千万円、西日本一の農系プラントとしての牛乳調整工場を持つ、まさに大分県一の大会社でした。
しかし、昨今の牛乳の消費減退による乳価の低迷や減産型計画生産の後遺症、さらには飼料価格の高騰、高止まり等の影響を受け、生産者の経営は厳しい状況にあります。
大分県酪では、設立当初2417人いた組合員が、現在は155人と激減しており、生乳生産量も2003年頃には10万トン以上あったものが現在では9万トンを割り込み、8万トン台に落ち込んでいます。
そのような中、九州乳業は、2010年度から株式会社整理回収機構の支援を受け、自主再建を進めるとともに、県においても公社等外郭団体の見直し方針の中で、九州乳業に対する方針を定め、側面的支援を行ってきましたが、自助努力や現経営陣による改革にも限界があり、製品事故による取引停止や夏場の生乳不足等による営業赤字を脱却することはできず、自主再建の道を断念することになりました。
こうして、九州乳業は、飲料や食品の製造・販売を中心に全国展開する阪神酒販グループの経営支援を受けることとなりましたが、新しい体制になっても、生産・加工・販売を生産者・県酪・九州乳業の三者が一体となって行うことで、酪農の6次産業の先駆者として取り組んできた酪農関係者の思いや誇りがこれからも守られなければならないと感じています。
そこで質問します。
今回の経営譲渡による再建後も、生産者である酪農家、県酪や九州乳業で働く人たちが、これまでどおり「みどり」ブランドを維持しながら、安心して働けるために、県は今後どのような支援策を考えているのでしょうか。
知事答弁
九州乳業は、平成22年の経営危機に際し、地元企業や県酪農協からの新たな出資を受け、経営者と職員が一丸となって、コスト削減や新商品開発、更には香港への牛乳等の輸出など懸命な経営努力を行ってきました。
しかしながら、再建当初の製品事故や夏場の生乳不足などが原因で売上高が減少し、その後も赤字から脱却できず、今回、自主再建を断念したことは、非常に残念な思いです。
今後、経営を引き継ぐ阪神酒販グループは、全従業員約200名の雇用を継続し、県民から親しまれた「みどり」ブランドも、引き続き残すこととしており、現九州乳業が事実上、存続することとなります。併せて、県産生乳もこれまで通り、引き取ると言うことで厳しい状況の中で私も一安心しています。
阪神酒販グループは、焼き肉チェーンなどの外食店舗や飲料・食品卸を活かした県産牛乳・乳製品の新たな販路拡大や新商品の開発などにより、経営再建が図られるのではないかと期待しているところです。
4月1日の新会社のスタートに向けては、県も減資に応じるとともに、債権者への協力依頼も行っています。また、新たに牛乳などの製造を受託する事業協同組合の設立を指導してまいります。
新会社が安定した経営を続けるためには、原料となる県産生乳の年間を通じた安定的な確保が大切です。
県としては、県内酪農家の生産効率の改善に向けて、乳量の多い雌牛の導入や後継牛確保に有効な雌牛産み分け精液の導入を支援します。夏場の需要期に十分な生乳が供給できるよう暑熱対策などに必要な施設整備を引き続き支援してまいります。
加えて、より多くの方々に牛乳を飲んでもらう取り組みも重要です。このため、栄養士や販売促進員による各種イベントでの啓発活動はもとより、特に、消費が落ち込む冬場には、県産牛乳キャンペーンを行う等、年間を通じての販売促進を強化します。併せて、牛乳離れが始まる高校生等を対象に牛乳料理教室などを開催し、新たな需要を掘り起こします。また、7月28日から大分で開催される北部九州総体でも県産牛乳をPRし、消費拡大を図っていきます。
県としては、新九州乳業の経営安定が、県内酪農の振興と雇用の安定に資すると考えており、県酪農協や牛乳普及推進協議会等と一体となって、原料供給や消費拡大の支援を通じ、強い販売力と経営ノウハウを持つ新会社をバックアップしてまいります。
(要望)
今回、質問をするのにずいぶん悩みました。せっかく結ばれたご縁が質問することで切れてはならないと思ったからです。
人員整理のなかで離職された方もいらっしゃいます。九州乳業を巡る状況はまだまだ厳しいものがあります。40億円の負債のうち、12億円は新会社が引き継ぐことになっています。残りの28億円は金融機関に2度目の債権放棄をお願いしています。
従業員の方は、これから賃金や退職金、手当や割り増し手当の廃止など厳しい状況が予想されます。これからも見守っていただきたいと願います。
(質問)3.性暴力被害者について
次に性暴力被害者支援について質問します。
昨年10月、大阪阪南市で開催された「第15回全国シェルターシンポジウム」に原田議員と参加しました。性暴力被害者たちを支援し続けている医師や弁護士、支援団体の方々の語られるその歴史を息をのむ思いで聞いてきました。
阪南中央病院の産婦人科医である加藤治子さんは、診療現場でDVや性暴力被害者と接する中で性暴力は単なる医療問題にとどまらず、大変な人権問題であると認識し、2004年に「はるウイメンズクリニック」を、2010年4月に24時間体制で被害者を支援する「性暴力救援センター・大阪」を開設しました。
レイプなどの性暴力に遭った被害者が必要な治療やカウンセリング、告訴の手助けなどを一か所で受けられる「ワンストップ支援センター」は昨年11月の新聞報道によれば、大阪以外にも、北海道、東京、愛知、佐賀でもすでに設置され、宮城、福島、栃木の各県が設置を検討しているとのことです。佐賀県では、行政がモデル事業として立ち上げており、福岡県でも設置に向けた検討を始めるそうです。
内閣府は、被害者の駆け込み寺となるこの「ワンストップ支援センター」を各都道府県に少なくとも1カ所設置することをめざし、昨年5月に「解説・運営の手引き」を公表しました。
しかし、国の財政的支援が乏しく、施設整備費や人件費などの財源、支援スタッフの確保等、地方自治体が担うには高いハードルがあることは事実です。それでも悲惨な性暴力被害の実態や深刻な後遺症、回復のための支援を得られず苦しみ続ける女性の存在を想う時、国の施策が予算を伴って動き出すことを待ってはいられません。
そこで質問します。
大分県での性暴力被害者の実態について、どのように把握し、支援を行ってきたのでしょうか。
また、今後、「ワンストップ支援センター」の設立を含めてどのような支援を進めていくのでしょうか。
生活環境部長答弁
(実態把握及び支援)
・性暴力被害に関する相談は、アイネスをはじめ、婦人相談所や児童相談所で臨床心理士などの専門職員を配置して行っています。また、公益社団法人大分被害者支援センターでも、被害相談のほか、医療機関や裁判所などへの同行支援などを行っています。
(被害者支援のあり方)
・性暴力は極めて重大な人権侵害であり、被害者の気持ちに寄り添った専門的な支援を、迅速に行うことが必要です。
・この支援に向けては、まずは、医療機関との連携が不可欠であり、加えて、警察、公的相談機関、民間支援団体等との密接な連携が必要です。
・県としては、各相談機関における相談技術の向上に向け、被害者心理の理解や支援者としての心構えの習得などを目的とした専門研修を実施します。また、早期の支援につながるような各相談機関の周知に努めるとともに、さらなる連携強化を図っていきます。
・ご質問の「ワンストップ支援センター」については、先行事例の情報収集に努める中、本県の実情にあった支援体制のあり方を含め研究してまいります。
(再質問)
女性がいかに自分の体と性について否定され、受け身にされてきたかを考えると悲しい。めざすのは、性暴力のない日常生活です。
被害を受けて相談するのは2割くらいの人なので実態把握は難しい。相談できない7割近くの人たちは、被害にあってしばらくして、怒りや悲しみがわき、自己喪失感を感じ始めます。大切なのは「一人じゃない」という中・長期的なケアです。しかし悲しいことに「親告罪」であるために警察に被害届を出さなければ医療費などの経済的支援は受けられません。ひどい目に遭ってさらに自分の体の処置を自分のお金を出さなければならないのです。「パープルライン」「パープルリボン」「全国フリーダイヤル」が昨年9月までに5万回のアクセスを数えたと言うことは、大分県では表に出てくる数は少ないかもしれませんが、実際は多いはず。お金がない、人もいない、場所もない状況かもしれませんが、
第3次「大分県DV対策基本計画」では、配偶者暴力相談支援センターの相談体制の充実・機能強化が明記されていますので、まずはそこでやって行って欲しいと願います。
生活部長答弁
どういう風にやっていけば良いのかを今後考えていきたいです。
(再質問)
性虐待を受ける子どもたちがいます。多くが生活を共にしている人たちからの暴力です。事実が見えないように口止めされ、避妊までされ、逃げられない環境の中で何年も続けてという状況は、その子どもの人格破壊につながります。
同じ様に母親がDV被害に遭う、その姿を見て育つ子どもたちも発達に支障をきたします。最前線で頑張っていらっしゃる方々もたくさんいますが、部長の思いをお聞かせください。
福祉保健部長答弁
性暴力を受ける子どもたちが低年齢化しています。児童相談所の果たす役割は大きいと考えます。訴える力のない子どもたちは、必ずサインを出しています。でも、それに気づく人が少ない。それを見過ごさないことが重要だと思います。学校、幼稚園、親せきの人が気づいたら知らせて欲しい。そして、市町村と連携をとりながらやっていきたい。アンテナの鋭い人が集まって、理解者を増やしながらやっていきたいです。
(質問)4.教育行政について
最後に教育課題について質問します。長くなるので2つに分けて質問します。
私は、議員になって10年目です。質問は13回行いましたが、その時間の大半を教育問題に費やしてきました。学力テストに始まり、高等学校再編整備計画、教員採用汚職事件、教職員評価システム、求償権、学校現場の多忙化と病休者の増加、現職死亡の多さ、津久見市における人事異動問題等々。
私の願いは、子どもが喜んで学校に通い、豊かな学びの中で多くの経験を積み、自己実現できること。保護者が安心して子どもたちを送り出し、地域の方々や教職員と心を通わせて学校を支援できること、そして子どもと教職員がしっかり向き合うことができることです。そのために教育行政は何をしなければならないか。また、何をしてはならないのかを訴えてきました。しかし、残念なことにどんなに訴えても、考え抜きながら自分の言葉で伝えても歴代の教育長とは意見がかみ合わないことが多かったように思います。教育行政に携わる方々と意思疎通することの難しさを感じ続けた10年間でした。
それでも言い続けていかなければならないと考えています。安倍総理の下、教育再生実行会議は、道徳の教科化、「心のノート」の復活、高校授業料の所得制限、朝鮮学校適用除外と教育現場に土足で踏み込んで来ているように感じるからです。偏狭なナショナリズムに中立であるべき教育が巻き込まれてはならないと思うからです。
(1)児童・生徒のための学校教育について ア.全国学力テストについて
昨年まで抽出調査だった全国学力テストが、全学校で実施されるとも報じられています。
今、学校は学力向上大合唱の中で、子どもも教員も追い立てられています。そこで、教育長にお聞きします。
一体誰のために何を目的として全国学力テストは行なわれるのでしょうか。
教育長答弁
(学力調査の目的)
・全国学力・学習状況調査の目的は、義務教育の機会均等とその水準の維持向上の観点から、全国的な児童生徒の学力や学習状況を把握・分析することとしています。
・また、教育施策の成果と課題を検証し、その改善を図るとともに、そのような取組みを通じて、教育に関する継続的な検証改善サイクルを確立します。
・さらに、学校における児童生徒への教育指導の充実や学習状況の改善に役立てることにあります。
・本県としても、この調査結果を有効に活用することで、取り組むべき課題が明確となり、その解決に向けた組織的な取組みにより、子どもとしっかり向き合ったわかる授業が行われ、全ての子どものためになると考えています。また、基礎的な知識や技能の習得とともに、これを活用して課題解決に必要な思考力や判断力、表現力などを身につけさせることが可能になります。
(再質問)
福岡県で学力テストの過去の問題集を繰り返し解かせているという報道がありました。文部科学省は本末転倒とコメントしていますが、教育長の過去問についての感想は。
教育長答弁
学力テストではかる内容は、基礎的知識がどれだけか。それを活用して表現力や思考力がどれくらいついているかです。
学力テストの問題は、非常によく精選されて出来ていると思います。それを解くということは意義があることだと考えます。過去問を練習することが学力テストの結果を良くするために行われているとは考えません。
(再質問)
点数が上がったら人は育つのでしょうか。教育長のお考えは。
教育長答弁
人が育つのにはいろんな面が必要です。それは学力であり、心であり、体力であり。その学年で、めざすものがあり、到達点があります。それをはかるのが学力テストです。学力の面に関して、そういう意味で子どもの努力や先生の指導が表れるのですから、点数が上がったら人が育つと考えます。
イ.自尊感情の育成について
子どものいじめによる自死、体罰による自死は、私たち大人につきつけられた逃げることが許されない大きな問題です。そのことで悩み続けていた時に、敷戸の事件が起きました。ゲーム感覚での行動が死を招いた事故であったかもしれません。被害者も加害者も未成年であるために事件の背景や事実関係は明らかにはされていませんし、軽々に語ることはできません。
改めて子どもたちに自尊感情を持たせることの大切さがいかに重要かを考えます。私は、性教育をする時にいつも言っていました。「自分の体を大事にしよう。同じ様に他の人の体も自分と同じように大切にしよう」と。
そこで質問です。
教育行政は、学校で自尊感情を育てるためにどのような取り組みを支援してきたのでしょうか。
教育長答弁
・自尊感情を育てるためには、達成感や成就感を得る経験を積むことや、温かい人間関係の中で認められ、所属感が満たされることが大切です。
・そのため学校では、各教科・道徳・特別活動等を実施しています。
・県教育委員会では、授業の中でどの児童生徒も「わかった」「できた」という満足感や達成感を持つことができるよう、一時間完結型授業や個に応じた指導等の授業改善・授業づくりを支援しています。また、教員に対しても、児童生徒が互いの違いを認め合い、学び合う人間関係を醸成するための研修を実施しています。
・今後とも児童生徒の自尊感情を含めた豊かな心を育てていきたいと思います。
(要望)
教育とは、教えることだけではなく、育むことです。教員と子どもの信頼関係があって初めて育てるということが成り立ちます。信頼関係はその人間を知り、認めていかなければできません。
人が二人いれば、そこには力関係が生じます。二人、三人、四人と増えていけば、人間の業のようなもので「攻撃性」が出てきます。それを起こさせないようにするのが、子ども同士の仲間作りです。そしてそれを支えるのが、教師集団の仲間意識です。これがきちんとできた時に「いじめ」をさせない状況がつくられると考えます。
しかし、今は残念なことに、教職員はゆとりがなく仕事をしています。子どもたちも追い立てられています。もっと教員に子どもとしっかり向き合う時間を確保してください。
(2)高校改革推進計画について
ア.森高校と玖珠農業高校の統合について
高等学校の再編整備計画はいろいろな学校、地域でほころび始めています。例をあげて質問します。
昨年の第3回定例会で酒井議員が質問されていますが、森高校と玖珠農業高校は、2年後の2015年に一括統合されることとなっています。校地は玖珠農と決められています。新設校の整備の内容や時期等が明らかにならないために同窓会や教職員から学習環境を不安視する強い声があがっています。
新設高校の校舎で、高等学校教育に必要とされる教室の配置やグラウンドの広さ、施設はしっかりと確保できるのでしょうか。
現在、森高校並びに玖珠農業高校で学ぶ生徒の学習環境が、新設高校において保証されるとは思えません。いかがでしょうか。
教育長答弁 (新設高校の計画)
・教室の配置については、現玖珠農業高校の既存校舎を大規模改造することで普通教室や選択教室等の確保は可能です。
・グラウンドやその他の施設については、教育課程や部活動の実施を踏まえ、必要な施設を検討し、整備することとなります。
(整備の考え方)
・整備に当たっては、単なる改修に止まることなく、新設校の生徒が学習や部活動において、これまで以上に充実した環境で高校生活が送れるよう努めて行きます・
(要望と再質問)
玖珠農と森校については、これまでも質問が出されました。どうしてこんなに不安や不満があるのかと言えば、はじめは、2キャンパス制でした。昨年7月に校地は玖珠農に変更されました。その後。日田林工の土木科廃止が地域の声も聞かずに突然発表されました。そのような中で地域の人たちの不安は増幅されてきています。
県の財政が厳しい中で、本当にこれまでの学習環境が保障される教室ができるのだろうか。施設はそろわないのではないか。森校の65パーセントしかないグラウンドで大丈夫だろうか。玖珠農のせっかく作った生物工学室、バイオ実験室、機械分析室、食品化学実験室を壊して区切って使うのだろうか。と不安がっています。
教育長、一度現地に行ってくださいませんか。両校を見て、第2グラウンドも見て、子どもたちが夜どんな状態で部活を終えて帰るのかも見ていただきたいです。その上で、2市(玖珠。九重)の地域説明会をしていただけないでしょうか。
教育長答弁
これまで何度か行きましたが、第2グラウンドまでは見ていませんので、改めて伺いたい。いずれにしても、農業科の学習がこれまでよりも後退するようなことにはならないようにします。
イ.県立高校の志願者について
2月28日に大分県立高等学校第一次入学者選抜最終志願状況が発表されました。各学校の志願状況を見て、ショックを受けました。
全県一区の影響は、今年も中津市、別府市、大分市へ集中する形となっています。特に大分市への集中は極端で、序列化がさらに進んでいます。その反動で周辺部では、定員割れを起こしている学校が目立ちます。全県一区が導入される時、多くの人が懸念していたことが現実としてここ数年起こっています。この現象は県教委にとっては、問題とはならない想定内のことだったのでしょうか。お聞かせ下さい。
教育長答弁
(進学区域の廃止)
・学校選択の自由を保障し、自分にあった高校を主体的に選択できるよう、平成20年度入試から普通科高校の通学区域制度を撤廃するとともに、生徒から選ばれる魅力ある学校づくりを進めています。
(大分・由布市への集中)
・進学区域廃止後、由布市を含む大分地区県立学校の普通科に他の地区から志願してくる生徒数は、廃止前の平成19年度と比較して70人程度増加し、定員に占める割合は、6パーセント台で推移しています。このことは、生徒が主体的に学校選択した結果であると捉えており、廃止前の区域外入学枠が10パーセントあったことから、想定を超えるものとは考えていません。
・なお、この大分地区の志願者率が高い理由は、大分市内には私立高校が多数存在していること等から、地区内の卒業生に対する県立高校の定員の割合が約66パーセントとなっており、県平均の73パーセントと比べて低いことが影響しています。
(要望)
私は、学校に伺うことが多いのですが、必ずいろいろな不満をお聞きします。小学校でも中学校でも高等学校でも特別支援学校でもあります。それを教育行政に返していくということをやってきました。話し合えば、すぐに理解できるものが、どうしてこんなに話が複雑になってしまったのかしら・・・と感じます。それは、教育行政と学校の現場とが、コミュニケーションできていないからではないでしょうか。話し合えば問題にならないことがトラブルになっています。教育行政と学校現場との連携をしっかり図っていくためにも話し合いをしていただきたいと願います。
|