県議会報告
2010年12月7日

4回定例県議会一般質問と答弁


29番県民クラブの平岩純子です。

昨日、佐々木哲哉議員がお亡くなりになりました。私たちは、会派は違いますが、1期、2期と共に歩んでまいりました。私が、議員になった時、1期目の議員には、元気のよい人が何人もいて、私は、質問の度に野次られました。そんな時、佐々木議員が、「すみませんね。気にしないでください。思いっきりやってください。」と励ましてくださいました。そのおかげで、私は、ここに立ち続けることができたのかもしれない。と昨日から想っています。あのお優しいお顔とまっすぐ伸びた背筋を思い出しています。ご冥福をお祈りいたします。

通告に従って、分割方式で質問いたします。知事及び執行部の皆さんの誠実な答弁を期待しています。また、本日は寒い中傍聴に来てくださった方もいらっしゃいます。ありがとうございます。

  

1. 教育について

はじめは、教育の問題です。私は、これまでも議場で教育長と議論してきました。私が見てきた現場の実態をお伝えし、切実な願いを訴えてきましたが、議論はかみ合わず、平行線をたどることも多くありました。私にとっては、今期最後の質問になると思います。しっかりと意思疎通を図りたいと願っています。

それでは質問に入ります。

(1)教員採用選考試験の贈収賄事件について

 ア 賠償金について

2007年、及び2008年の教員採用試験で、不正な点数操作により不合格とされ、不利益を被った人たちのうち、和解ができた50人に対する賠償金支払いのための補正予算案が、今議会で上程されています。不利益を被った方に賠償をすることは、当然のことだと思いますし、遅きに失したとも感じています。まずは、賠償金算定にあたっての基本的な考え方と具体的な算出方法についてお示しください。

教育長答弁

 本事件が、被害を受けられた方々を始め、県民の皆様の教育行政に対する信頼を根底から失墜させ、大変なご迷惑、ご心配をおかけしたことを改めてお詫び申し上げます。

(賠償金算定の基本的考え方)

 県教育委員会事務局職員の不正行為により本来合格していたにもかかわらず、

不合格とされた特定の受験者には、精神的・経済的に著しい被害を及ぼしました。

 これらの方々に対する補償については、国家賠償法の枠組みの中で、県の責任として対応することとしました。

(具体的な算出方法)

 算定に当たっては、対象者個人ごとの状況がそれぞれに異なる中で、なるべく統一性があり、ご理解いただけるような基準・考え方が必要であること、また、対象者のほとんどの方が臨時講師として勤務していたことなどを考慮しました。

 具体的には、賠償対象者が本来採用されるべき時期の、平成19年4月1日または平成20年4月1日から、実際に採用された時期までの間を賠償対象期間とし、原則として、その間に正規の教員として得られたはずの給与と、臨時講師として得た給与などの差額をベースにした逸失利益相当額に、精神的損害への賠償である「慰謝料」(基本額40万円)を加えて賠償金を算定しました。

 イ 和解について

新聞報道によりますと、該当の方々は、「気持ちの整理がつかない。」「二度とこういう事件を起こさないでもらいたい。」「一銭ももらわなくていいから、時間を返して欲しい。」等、苦しい心のうちが伝えられています。直接話し合いを行った県教育委員会の職員の方々も、期限を決められ、心理的に大変な仕事をされたのだと思いますが、50人の人たちは、本当に県教委の方針に理解を示したうえで、起こった出来事を許し、心に区切りをつけて、自分たちも前に進もうと和解に応じられたのでしょうか。教育長はこれらの声をどう受け止め、どう感じていらっしゃるのか、率直なお気持ちをお聞かせください。

教育長答弁

 賠償対象者には、個人個人本当に様々な思いがある中で、真摯に協議に応じていただき感謝しています。

 和解協議の際には、54名それぞれから、様々な気持ちをお聞きしまし、「自分たちのような気持ちをこれから教員採用試験を受ける人たちが味わうことのないようにしてもらいたい。」とのご意見も多数いただきました。

 また、金額的にも様々なご意見がありましたが、多数の対象者がいる中で、

できるだけ理解していただけるよう、ある程度統一的な考え方のもとで賠償額を算定したことも丁寧に説明しました。

 教育委員会としては、一人ひとりの思いやご意見を重く受け止め、二度とこのような事件を起こさないよう、権限と責任が明確で透明性の高い教育行政を確立するとともに、教育の質を高め、教育現場で成果を上げることにより、一日も早く本県教育の再生と信頼回復を実現しなければならないとの思いを強くしています。

 ウ 協力金について

さらに、教育界全体で責任をとろうと、管理職から協力金の申し出があると、知事の提案理由説明ではありましたが、一方で異論も聞いています。踏み絵的な状況が作られているのではないかと不安に感じています。管理職の気持ちをどうお考えになるのか、お聞きしたいと思います。

教育長答弁

 賠償金を県の一般財源で支払うことについて、できる限り県民の皆様の理解を得られるよう、また、この事件を、教育界全体の問題として受け止めるとの思いを何らかの形で示したいとの趣旨のもと、教育庁の管理職員、市町村教育長、県立学校や小中学校の校長などの管理職員に任意の協力を呼びかけました。

 現在、管理職員の9割を超える皆さんから協力の申し出を頂いており、大変感謝しています。

 多くの管理職員から、教育界全体で起きた事件であるから協力するのは当然、

若い教員の救済のために積極的に協力すべきといった意見が寄せられた一方、一部には任意と言いながらも実際は強制ではないか、人事に影響があるのではないか、などの意見があったことも事実です。

 こうした中で、管理職員に対して、協力金の趣旨を丁寧に説明し、多くの管理職の方が、その趣旨を理解し賛同ただいたものと考えています。

 エ 不正な点数操作について

2年前の教員採用汚職事件は、多くの人に決して消し去ることのできない心の傷を負わせました。採用取り消しになった人のうち2人は、裁判を起こしています。採用された人の心の中にも、誰が指示をしてこのような事件になったのか。納得いかない思いが残されています。さらに、点数操作が行われた背景や、口利きの事実を明らかにしないまま月日が過ぎていることが、多くの県民に理解されない状況をつくり出しています。誰がどう指示して点数操作をさせたのか、明らかにすべきだと思います。県教育委員会の見解をお聞かせください。

教育長答弁

(事件の事実解明)

・事件の事実解明については、時間発生後、教育委員会のPTで徹底的な調査を実施しました。この調査は教育委員会が行政機関としての権限と責任のもとで行ったものであり、その結果は、すべて報告書に記載し、発表しています。

(事件の背景)

・事件の背景には、調査報告書で指摘しているように、@選考の不適切な運用 A色濃い仲間意識・身内意識、B県教委のチェック機能の欠如であると考えています。

(教育委員会としての考え)

・県教育委員会としては、二度とこのような事態が生じないよう、改善策を迅速・着実に実行し、責任と権限が明確に透明性の高い教育行政システムの確立を図ってきたところです。

・その上で、市町村教育委員会をはじめ、教職員、PTA関係者とも一体となって、学校現場で教育の成果を上げるべく、最大限努力しています。

(2)教育改革について

次に教育改革について質問します。

県教委は、汚職事件を契機に、県民の教育行政に対する失われた信頼を回復することが最も重要なことだとし、教育の場で成果を上げていくことを何よりも優先して邁進しています。もちろん、教育は、地域からも保護者からも信頼されていなければなりませんし、そうでなければ、効果もあがりません。

子どもたちは、安心して学校に通い、たくさんの友だちとふれあい、個性あふれる教職員と様々な学習を積み重ねていくなかで、時間をかけて成長していきます。心も体も大きく豊かになり、知恵を身につけ、自己実現する力が備わっていきます。

現場で行っていることも教育委員会が願っていることも同一線上にあると思うのですが、県教委の現場への要求は、あまりに結果を急ぎ過ぎているように感じます。まるで、「1年で結果を出さなければダメだ。」と命じているように映ります。

学力向上対策先進地研修で、秋田県へ行かれた先生方の報告集を読みました。

小・中の連携やきめ細かなTT指導、1時間の授業の中での完結する時間配分とそのための板書計画、学力テストの結果を、学校間競争の誘因にさせることなく、次の学習に結びつける手段として活用していることなど、報告されていました。報告書を読んで強く感じたことは、県教育委員会、市町村教育委員会、各学校が一体となった教育への情熱、さらに教育行政と保護者と教職員の信頼関係が何よりも重要だということです。「ベクトルが同じ方向を向いている」という言葉が最も印象的でした。

ア 教育行政の現状認識について

残念なことに、大分では、2年前の事件のせいではなく、現場実態を考慮しないその後の矢継ぎ早の改革のせいで、学校現場と教育行政は乖離しています。学校に伺うと管理職からさえ県教委に対する不満や憤りを伺うことが多くあります。現場の実状や願いとかけ離れていく本県の教育の実態を教育長はどう認識されているのでしょうか。

教育長答弁

・教育行政を進めるにあたり、学校現場、市町村教委、県教委、PTA関係者などが知恵を出し合い、相互に課題認識を共有し、同じ方向で取り組まなければ、なかなか効果は出ないと考えています。

・このため、今年度は、学校現場との意思疎通に特に力を入れており、

@ 全小中学校長に対し、県教委の意気込みや施策のねらいなどを直接説明し、

A 教育委員会や教育庁幹部が地区別に全小中学校長との意見交換を行い、現場の実態や課題、提案などを把握する。

など、新たな取組みを進めています。小中学校長からも「県教委が何を考えているのかわかるようになった」「自分たちの意見を直接聞いてもらえるようになった」などの意見を聞いています。

・こうした取り組みによって、全県的に学力向上の取組の機運が高まるなど、

認識の共有は着実に進められていると実感しています。

・教育行政を進めるにあたっては、学校現場の声を聞くことはもちろん大事であるが、常に子どもを中心に据えて、保護者や県民の願いである子どもの健やかな成長を実現することが、何よりも重要です。このため、たとえ学校現場の一部に反対があっても、断固としてやらなければならないこともあると考えています。

イ 学校現場との連携について

また、県教育行政への不信感の1つに、学力テストの推奨や学力向上ステップアップ事業のように、直接現場が行うことが十分に伝えられないうちに、マスコミ発表を優先させてきたことにもあると思います。その点についてどう考えているのかお聞かせください。

教育長答弁

・県教委が新たな施策を立案する際には、実際に実施する市町村教委や学校から意見を聞くなど、意思疎通を十分に図ってきています。

・「学校が新たな事実を報道で初めて知ることがある」とのご指摘ですが、新たな事業を構築する際には、現場の声を十分聞いており、報道を優先して対応するという考えは持っていません。

・今後とも、市町村教委と連携を密にするとともに、教職員と一体になって、教育の質を向上させ、教育現場でしっかり成果を上げるよう努めてまいります。

       

2. 男女平等社会の実現について

 次に真の男女平等社会実現のために、いくつか質問します。

(1) 男女共同参画について

国は2020年までに指導的地位に占める女性の割合を30%にするとしています。本県においても「大分県男女共同参画推進条例」が2002年に策定され、様々な取組みがなされてきました。県の男女共同参画の実現状況をどう捉えていらっしゃるのか、知事にお聞きします。

知事答弁

 本県では、平成13年に策定した「おおいた男女共同参画プラン」をその後の産業構造や就業環境など、社会経済情勢の大きな流れに対応するため、18年に改定しました。

 そのプランでは、22年度までの具体的な数値目標を定め、県民や企業、NPO等の民間団体と一体となって、男女共同参画社会の実現を目指して、さまざまな施策を推進してきたところです。

 その結果、県の審議会などに占める女性委員の割合や、放課後児童クラブの設置数などの項目については目標を達成しています。

 しかしながら、21年度に実施した「県民意識調査」では、社会全体における男女の地位の平等感について、「平等である」との回答は、14.4%にすぎず、69.4%が「男性が優遇されている」と回答しており、16年度に実施した調査結果と、ほとんど変化はありません。

 このように、本県における男女共同参画社会づくりは、まだ道半ばであると言わざるを得ません。

 このため、県では、平成23年度から27年度を計画期間とする、新たな男女共同参画プランの策定に取組んでいます。現在、民間有識者などで構成する「大分県男女共同参画審議会」に内容の検討をお願いしているところですが、委員の皆さんからは、大分県らしいプランの策定に向けて、生涯を通じた女性の健康支援、多様なライフスタイルに対応した子育てや介護の支援などの分野で積極的な意見が出されているところです。

 私は、女性の力が発揮されやすい環境づくりが「活力ある大分県」の実現に欠かせないものと考えています。

 そこで、「男は仕事、女は家庭といった固定的な性別役割分担意識のない、男女平等の大分県」「男女の人権が尊重され、尊厳をもって個人が暮らせる大分県」

「男女が共に個性と能力を発揮できる、多様性と活力に富んだ大分県」の3点を目標に、私自らが先頭に立って、県民の皆さんの意見を十分取り入れながら、男女共同参画社会の実現に、引き続き努力してまいります。

(2) 女性管理職の登用について

警察官への女性の進出、農業・土木の技術職員への進出と女性が増えていますが、その処遇についてはどうなのでしょうか。県職員の管理職登用にあたっての方針と登用状況についてお示しください。

総務部長答弁

(基本姿勢)

・管理職の登用にあたっては、男女を問わず、適材適所の人事配置を行うこととしています。

・男女共同参画社会の実現という観点からは、政策・方針決定過程への女性の参画が極めて重要であり、女性の登用を見据えた長期的な人材育成に取り組むことが必要です。

(取組状況)

・このため、県では平成20年度に「大分県女性職員キャリア形成指新」を策定し、政策立案に参画できる企画・事業部門や予算・人事管理部門などに女性職員を積極的に配置するとともに、女性職員のキャリア形成をサポートするため、先輩女性職員が助言・指導を行うメンター制度の導入や女性職員間の情報交換などを目的としたセミナーの開催などを実施しています。

(女性管理職の登用状況)

・本年度4月1日の知事部局の女性課長級職員は25名で、昨年度より4名増加し、割合は6.0%で九州各県では上位です。

教育長答弁

(基本姿勢)

・管理職登用に当たっては、まず教育委員会事務局においては、知事部局と同様に、男女を問わず適材適所の人事配置を行うこととしています。

・次に、学校現場における管理職登用については、男女の別を設けない選考試験により行っています。

(女性管理職の登用状況)

・本年度の状況

事務局では、女性課長級以上の職員は2人(3.4%)

学校現場における校長、教頭については、小学校では、224人(36,4%、九州1位)

中学校では、22人(8、2%、九州3位)

県立学校では、13人(8、3%、九州3位)です。

警察本部長答弁

 県警察では、平成4年度から女性警察官を毎年計画的に採用しており、本年度11月末現在で91人と全警察官の約4,5%を占めています。

 警察業務の特殊性から、女性警察官の占める割合は、他の行政部門とは異なっておりますが、その職域も次第に広がってきています。

 また、今年3月の定期異動では、女性警察官2名を県警として初めて警部に登用し、日田警察署及び佐伯警察署の地域課長として指導的立場で活躍しております。

 今後とも、女性警察官の職域拡大を図るとともに、その能力、経験、実績等に応じた適正な人事処遇に努めてまいります。

(3) 女性の就労支援について

女性の就労形態についてお聞きします。学校を卒業して就職し、出産 や子育てのため、いったん仕事を辞め、それからまた再就職するというM字型雇用の問題は、30年以上前から指摘をされてきました。県では、再就職を希望する女性の「チャレンジ」を支援していますが、私は、女性が、仕事を辞めずに働き続けることを支援する施策が重要だと強く思っています。このM字型雇用についての認識とその原因、これを逆U字型、台形型にしていくためには、県は今後、何をどう取組んでいくのかお伺いします。

商工労働部長答弁

(M字型雇用の認識とその原因)

・結婚、出産、子育て期に就業を中断する女性は依然多く、本県においても、いわゆるM字型カーブの解消はできていません。この解消に向けて、女性が就業を継続できる雇用環境の整備が大切であり、企業に対する働きかけや子育てしやすい環境づくりへの取り組みが不可欠です。

(企業への働きかけ)

・そのため県としては、育児休業制度の導入など、次世代育成支援対策推進法に基づく子育て支援に取組む認証企業を増やし、女性が生涯を通して能力を十分発揮できる仕組みを整えるとともに、セミナーの開催により、労使双方の意識改革を図るなど、子育てしながら働ける職場環境づくりに取組んでいます。

(子育てしやすい環境づくり)

・また、多様な保育サービスの充実に加え、子育てに関するあらゆる悩みに24時間対応できる「いつでも子育てほっとライン」の設置、医療費や保育料などの助成による経済的負担の軽減などにも努めています。

・今後とも、女性の継続的就業の一層の促進に向けて取組んでいきます。

(4) 男性のワーク・ライフ・バランスについて

ワーク・ライフ・バランスの理想と現実には大きな隔たりがあると感じざるをえません。女性に対する施策だけではなく、仕事中心の男性の働き方も見直さなければならないと思います。男性の子育て支援策や育児休業の整備が徐々に行われていますが、もっと充実していかなければなりません。特効薬はないにしても、重点的、焦点的に取り組んでいく必要があるのではないでしょうか。見解をお伺いします。

商工労働部長答弁

・女性が仕事と家庭の両立を実現するためには、男性の積極的な子育て参画が不可欠であることからも男性のワーク・ライフ・バランスを推進することが重要です。

・そのため、今年度からは、県内企業への周知啓発に向けて、経営戦略として男性の育休制度などを導入した企業経営者を講師としたセミナーを開催するとともに、男性の子育て参画に積極的に取り組む企業5社をモデル企業として指定して男性の育休取得などの取組事業を創出し、県内へ幅広く普及していきます。

・また、父親同士の交流研修会「おおいたパパくらぶ」や「パパの子育て応援セミナー」の開催など、地域での子育てネットワークづくりにも取り組んでいきます。

・男性のワーク・ライフ・バランスについては、男女共同参画の実現に向けた重要な取組みの一つであると認識しており、男性の子育て参画のさらなる推進に努めてまいります。

(5) ワーク・ライフ・バランス教育について

大事なことは、これから生きていく人たち、特に若い人たちの意識改革だとも思います。そのためには、教育の場で、特に男の子の教育が大切です。男性のワーク・ライフ・バランス、ともに仕事をし、ともに家庭責任を持つということに対する教育の必要性についてお考えをお聞かせ下さい。

教育長答弁

・男女共同参画社会の実現のためには、一人ひとりが、男女相互の理解と協力についての意識をしっかりと持ち、職場や家庭、地域等において、男女が共に責任を果たしていくことが重要です。

・そのためには、学校の教育活動全体を通じて、人権の尊重、男女の平等、男女の相互理解と協力の重要性、家庭生活の大切さなどについて、児童生徒の発達段階に応じ、指導していくことが重要です。

・小学校では、男女が協力して生活することの大切さ、中学校では、男女がお互いの個性を理解し尊重すること、高等学校では、男女が協力して家庭や社会を形成することの重要性などについて、家庭科や社会科、道徳、特別活動などで指導を行っています。

・今後とも、保護者や地域等の協力を得ながら、男女共同参画についての意識を高める指導を充実してまいります。

(6) DV被害者支援について

最後に男女共同参画をはばむ最大のものは、女性に対する暴力、DVです。DVは犯罪であるという認識は広がり、県における支援システムも充実してきました。先日、大分大学の平塚教授にお会いしました。「日本のDV法は、被害者と加害者を引き離し、保護することに重点が置かれてきました。支援のためのネットワークの充実はこれからも行われなければなりませんが、被害者の自立に向けたプログラムも求められています。」と教えていただきました。

   大分県にはシェルターは僅かしかありません。そして、県や市の補助を受けて、民間団体が運営しています。先般成立した国の補正予算には、1000億円の「住民生活に光を注ぐ交付金」が含まれており、DV被害者支援に当てられるとお聞きしています。今後、ますます必要性が増してくると思われるDV被害者支援について、どのように対応していくのか知事にお伺いします。

知事答弁

DVは、男女共同参画の実現を妨げる大きな要因となっており、被害者の心に深い傷を残すなど、個人の尊厳を害し、犯罪となる行為を含む重要な人権侵害であり、決して許されるものではありません。

本県では、配偶者暴力相談支援センターとして平成14年度に婦人相談をさらに21年度には消費生活・男女共同参画プラザ「アイネス」を指定し、警察本部などの相談窓口とも連携しながら、DV被害者からの相談に対応しています。

 両センターの相談件数は、平成14年度の258件から21年度には417件に増加し、今年度は上半期だけで316件に上がっています。

 このため、県では、平成17年度に策定した「大分県DV対策基本計画」を21年に改定し、@迅速な通報・相談しやすい体制づくり、A安全で安心できる保護体制づくり、B被害者の自立を支援する体制づくり、C暴力根絶のための社会づくり、D推進体制の整備の5つの基本目標を掲げ、様々な取組みを行っています。

 特に、被害者の自立を支援する体制作りとして、被害者への心理的支援や、生活基盤確立のための支援などを重点目標と定め、取組んでいます。

 しかし、今後はDV被害者が心身ともに立ち直り、幸せに安定した生活が送れるよう、相談から自立まで切れ目のない、連続した支援が重要だと考えます。

 そこで、今回、国の交付金を活用し、九州では初めての取組として、一時保護施設を退所したDV被害者に対し、自立するための住宅の家賃や、就職活動のために乳幼児を託児所などに預ける費用の助成を行うこととしました。加えて、被害者が精神的に孤立しないよう気軽に立ち寄り、交流できる「サポートルーム」を開設することとしています。

 今後とも、民間支援団体や関係機関などと連携し、「大分県DV対策基本計画」を着実に実行することにより、配偶者からの暴力のない社会の実現に向けて、努力してまいります。

3. 運転免許試験場跡地について

 次に県の運転免許試験場跡地について質問します。

私は、賀来に住んでいます。よく賀来南にある県の運転免許試験場跡地の横を車で通ります。行財政改革の中で売却が予定されていましたが、なかなか見通しが立たないまま、跡地には、草が伸び、荒れていく様を心配しながら見ていました。地域の方からは「県はここをどうするつもりなのだろうか。」「老人の使える施設を造ってほしい。」「今、検討されている、県立美術館を建てるのならここが良いのでは。」などの声も聞いていました。

報道により、県教委は、グラウンドが手狭で困っている大分西高校と大分豊府中学・高校の共用グラウンドにする方向で検討していると知りました。サッカー部や野球部、テニス部の生徒には、何よりの朗報だと思います。

今回、追加上程された補正予算には、グラウンドの整備に係るものが計上されていて、実現したことをとても喜んでいます。一刻も早く生徒たちが利用できるようにしていただきたいと思いますが、供用までの具体的な日程等についてお知らせください。

さらに、跡地の取り付け道路は、とても狭い県道です。たくさんの中高生が自転車や徒歩で通行することになります。交通安全を図るため、道路の拡幅も必要ではないかと思いますが、お考えをお聞かせください。

教育長答弁

・今議会でご承認を頂いたなら、すぐに現在残っている旧試験場の建物の解体工事や試験コースのアスファルトはぎ取りなどの設計に着手し、来年5月下旬から8月ごろにかけて、すべての上物を撤去する予定です。

・その後、グラウンドの整備に取り掛かり、最終的には24年3月に工事を完了し、4月に供用開始を見込んでいます。

・なお、事業実施に当たっては、事前に地域住民の皆様に説明会を行う予定です。

・グラウンドは両校の校舎から少し離れている(西高約5.2?)(豊府約3.7?)ため、移動に伴う生徒の安全確保が重要と考えています。

・当面は、移動手段や移動ルールの検討・安全点検を行い、生徒への交通安全指導を徹底するとともに、ご指摘のように、隣接道路には狭い部分もあるため、グラウンド進入口の位置を工夫するなど、事故防止に万全を期したいと考えています。

・供用開始後においても、利用の実態を踏まえたうえで、必要であれば道路管理者などの関係者と協議を行っていきたいと考えています。

 

4. 国道442号宗方市間について

 最後に国道442号について質問します。

 国道442号宗方〜市間は、かつては、国道210号として、位置づけられていました。1996年にいわゆる「ホワイトロード」が開通し、国道210号に変更され、旧210号の宗方・市間は、国道442号に指定替えされたため、生活道路的な扱いとなり、整備の優先度は低くなりました。

 しかし、現在も大型車を含めた交通量は非常に多く、幹線道路のような渋滞が続いています。また、中学生・高校生の通学路としての役割も大きく、朝夕は、市内の高校に自転車通学する生徒が多く通ります。しかし、自歩道があまりに狭いため、歩行者と自転車の離合が困難で、とても危険な状態になっています。

 さらに、周囲の大型団地では、高齢化が進み、「電動車いす」を使用する高齢者が増えていますが、今の状態では、通行は不可能です。

 歩行者や自転車・電動車いすでの通行者が、安心して通れるような生活者の視点に立った、道路の整備・拡幅が必要だと考えます。

 県は、この地域の道路状況、問題点についてどのように把握し、それを受け、どのような対策を取るおつもりでしょうか。今後の整備方針をお示しください。

土木建築部長答弁

(現状)

・宗方地区における国道442号は、生活道路であると同時に大分市における幹線道路網の一部として機能する道路です。

・当該区間では、周辺の宅地開発による人口増や、稙田地区の商業開発などにより、交通量が増加するなか、歩行者・自転車の通行空間の確保や渋滞解消などの課題が生じています。

(今後の整備方針)

・対策としては、松が丘団地入り口交差点から、萌葱台団地入り口交差点までの約1,7kmの区間について21年度より道路改良の検討を進めていますが、拡幅を行う場合に生じる沿道の土地利用への影響が大きく、多大な事業費を要するなど課題が多いことから、慎重な検討が必要と考えています。

・本区間の整備方針については、沿道のまちづくりを含めた論議が不可欠であり、地域の方々や大分市とも協力しながら課題を整理していきたいと考えています。


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