29番、県民クラブの平岩純子です。
一般質問も3日目になり、執行部の皆さんも議員の皆さん方もお疲れかもしれません。また、暮れのお忙しい時期にわざわざ傍聴に来てくださった皆様に心よりお礼申し上げます。
私は、この8ヶ月間にいただいた課題をまた、子どもたちにとって最優先すべきは何なのかということを中心に質問させていただきます。
お会いした一人ひとりの顔を思い浮かべながら質問しますので、知事及び執行部の皆さまの丁寧な答弁をお願いいたします。

1 義務教育について
はじめは、義務教育についてです。
私が大好きだった学校を退職し議員になったのは、学校現場の実情を訴え、何とか子どもたちのための教育条件を整えなければならないと願ったからです。子どもが「あー、楽しかった。先生、また明日も来るけん。」そんな学校でなければならないと考えたからです。
議員になって4年と8ヶ月、学校の悲鳴を聞いてきました。
今、学校現場は疲れきっています。それは、次々と教育課題が持ち込まれるからです。学校評価、学校評議員会、教職員評価システム、高校再編に伴う進路指導、小中一貫教育、中高一貫教育、特別支援教育、食育、キャリア教育、ボランティア、職場体験学習、学力テスト、体力テスト、地域との連携、不審者対策、モンスターペアレントへの対策等々。
一つ一つは大切なものもあり、やらなければならないことも理解されていま
す。ですから教職員も子どもたちも一生懸命応えようとまじめに取り組んでいます。でも10年前には、存在しなかったものもたくさんあります。
そんな中で、昨年、戦後60年の教育に対する総括もなく、教育基本法は変えられ、さらに今年になって教育関連三法が数の力で可決、成立しました。今後、国の権限や管理が具体的な形になって学校現場に影響を及ぼすのではと心配しています。さらに、「学力低下」大合唱の元、いわゆる「ゆとり教育」がその原因であるかのように総括され、中教審教育課程部会は小中学校の授業時数を増やすよう転換しました。
(1)
総合的な学習の評価について
総合的な学習が本格的に実施され6年になります。それ以前から子どもたちにとって「生きる力」をつけるために本当の学力とは何なのか。と学校現場は模索してきました。試行錯誤を繰り返しながら 今、目の前にいる子どもたちに必要なこと、この地域の中でこそできることを模索してきたのです。保護者や学校を支える地域の方々と連携しながらそれぞれの学校で特色ある教育課程が組まれ、子どもたちが自ら考え、自分の言葉で表現する力がついてきているこの時に、授業時間の週1時間削減には、落胆しています。
県教育委員会として、総合的な学習の評価をどう捉えているのか教えてください。加えて新しい学習指導要領への対応についてお示しください。
教育長答弁 県内の小中学校においては、地域の自然や歴史・文化についての
学習など、各学校の創意工夫を生かした教育活動が展開されており、本年度の基礎・基本の定着状況調査においても、平均すると約7割の児童生徒が総合的な学習の時間を肯定的に受け止めています。
しかしながら、学校によっては、学習のねらいや育てたい力が明確でないこと、どのような力が身に付いたかを的確に評価していないことなど、課題もみられます。
全国的にもこのような現状がみられることから、新しい学習指導要領を検討している中央教育審議会教育課程部会では、総合的な学習の時間と各教科等のそれぞれの役割を明確にし、総合的な時間において、各教科等で身に付けた基礎的・基本的な知識や技能等を教科の枠を超えて相互に関連付け、学習や生活において生かし、それらが総合的に働くようにすること等が示されています。
県教育委員会としては、今後各学校において、総合的な時間の趣旨やねらいを踏まえた適切な学習活動が行われるよう指導してまいります。
(2) 県の学力テストについて
今、日本中で「学力テスト」ばやりです。県の「基礎・基本の定着状況調査」77億円かけての国の「全国学力・学習状況調査」市町村でも独自の調査が行われています。調査で測れるのは、特定の教科のごく一部の学力だけです。競争を煽ることや順位を知ることが目的ではないはずです。私が一番恐れていたのはテスト結果が一人歩きすることでした。不安通り他県では、テスト結果が良くなるようにと不正が行われていたことは、ご存知の通りです。
全国学力テストの結果は、全体として都道府県別の差は少ないと分析されています。しかし、11月1日「おおいた教育の日」の開会式で知事は、「誠にお恥ずかしいことでございますけれど、大分県は本当に振るわない学力でございました。」と挨拶されました。この発言は、多くの教育関係者に衝撃を与えました。私は、教育条件整備をすべき知事が教育内容まで言及することはあってはならないのではないかと思っています。
県の学力テストは5年目を迎えました。毎年、結果の分析がなされ、目標値をクリアした学校名が公表されていますが、もう県教委は県内の状況を把握できたのではないでしょうか。結果から分かることは、子どもたちの置かれている生活の格差が浮き彫りになっているということです。県教委は結果の公表により他校の指導方法を学びあえるとの見解ですが、学校名が公表されたからといってその学校の指導方法を教えてくださいという学校は皆無だと思います。県の学力テストは、その役目を終えたと考えますが見解をお示しください。
教育長答弁 児童生徒一人一人の基礎的・基本的な学習内容の定着状況を明らかにし、個に応じた指導方法の改善を図ることなどをねらいとして、15年度から小学校5年生及び中学校2年生を対象とした学力調査を実施してきました。
しかし、今年度実施された「全国学力・学習状況調査」では、特に小学校において県全体の平均正答率が全国値を下回っていること、また、県内の地域間に差異が見られることなど厳しい結果となりました。
小学校は中学校、高等学校につなげていく学力の基盤を培う時期であり、この時に基礎・基本をしっかりと身に付けさせることが極めて重要であります。
県教育委員会はもとより、教育に携わるすべての者がこうした現状を真摯に受け止め、危機意識を持って早急に学力向上対策に取り組んでまいらなければならないと考えています。 したがいまして、今後も、調査結果の経年比較等を通して、定着状況を客観的に把握することにより、児童生徒の学力向上を図る必要があることから、本調査を引き続き実施したいと考えています。
(3) 教職員の人的補充について
これまで述べました厳しい状況の中で、今学校では、一人でも二人でも人が欲しいというのが実情です。学校長が学校経営プランに専念できる、教職員が子どもたちと向き合い、心の通う実践ができるそんな学校の本来の姿に戻らなければならないと切望しています。そこで小学校の30人以下学級の下限の撤廃、他学年への拡大や複式学級の解消、教育困難校への支援も含めて来年度に向けどのような人的補充がなされるのかお示しください。
教育長答弁 これまでも、過疎地域の教育振興を図るため、複式学級の解消を目的とした全国トップレベルの教員配置を行ってきました。また、いじめ・不登校などに対しては、生徒指導や学習指導、進路指導を行う上で特別な支援を必要とする学校へ教員を配置し、児童生徒にきめ細かな指導ができるように教育環境の整備も行ってきました。さらに、基本的生活習慣や学習習慣の早期定着を目的として、小学校1・2学年に30人学級編成を導入してきたところです。
今後とも教員一人一人が子どもと向き合う時間の拡充や全県的教育水準の維持向上に向け、適正な教職員の配置に努めてまいります。
2 特別支援教育について
次に特別支援教育について質問します。
「先生、いつあの小学校に帰してくれるん?」養護学校で1年生を担任した時に子どもから言われたことばに突き動かされ障がいがある子どもも共に地域の中で暮らせることができるようにと願い、実践をしてきましたが、その道は険しくまだ半ばです。
10月に大分県特別支援教育推進検討委員会より、「大分県の特別支援教育の方向」が県教委に提出されました。これを受け、本年度中に実施計画を策定し、2009年度より具体的な実施に取りかかる予定だと伺っています。その方向性は、従来の特殊教育の枠の拡大ではなく、支援が必要な子どもたちすべてを対象に共生社会実現のためにすすめられると認識しています。
長い間、子どもたちや保護者が願ってきた鶴見養護学校への高等部設置、長時間通学解消の視点から空白地域への分教室設置、スクールバスの増便の方向、生徒数の増加が著しい宇佐養護学校への対応として中津市内への分校設置は評価されるものだと思います。しかし、問題点も感じます。1点目は、少子化を原因とした再編になっていないかということです。例えば、もう学校の保健理療科、ろう学校の産業工芸科、被服科の廃止が検討されるようです。大きな再編が行われるその学校の関係者は残念な事に検討委員会のメンバーに入っていませんでした。的確な現場の状況把握は不可欠ですが、報告書の中に当事者や保護者、現場の声は反映されているのでしょうか。2点目は、特別支援学校はすでにセンター的役割を担い実働しています。コーディネーターは自分の勤務する学校の子どもの支援も行っています。さらに対象に幼稚園、高等学校が加わりました。研修も含めさらなる充実のためにどのような具体策がとられるのでしょうか。3点目は、報告では、特別支援学校の再編が多く示され、幼・小・中・高の置かれている現状と課題は書かれていますが課題に対する具体策が見えません。文科省は、特別支援教育は障がいのある幼児児童生徒への教育にとどまらず、障がいの有無やその他の個々の違いを認識しつつ様々な人々が生き生きと活躍できる共生社会の形成の基礎となるとの理念も示していますが、どうやってとことん学び合い、支え合い、教え合う学校をそれぞれ創り出していくのか具体的な形で示すべきだと思います。特別支援教育の充実は、すべての学校でのきめ細かな取り組みがなければはかれないと思っています。これらの問題についてどのように取り組まれるのか見解をお示しください。
教育長答弁 まず、今回提出された報告書は、視覚障がい、聴覚障がい、知的障がい等に関する有識者や保護者、学校関係者等により構成された検討委員会において、県内19会場での説明会やパブリックコメント等を通じていただいた様々なご意見を集約しながら、十分審議した上で作成されたものです。
特に、盲学校と聾学校の高等部の学科改編については、生徒の企業就労をめざした職業教育の充実の観点から実施するものであり、むしろ学校の活性化を図ろうとするものです。
次に、特別支援学校においては、近隣の小・中学校等からの支援の要請が増加しているため、17年度から、特別支援学校11校にコーディネーターとしての教員を配置し、支援を行うとともに、コーディネーターの専門性の向上を図るための研修を実施しており、今後も、これらの取り組みを推進してまいります。
また、小・中学校等に対しては、特別支援学校に設置している、医師、臨床心理士等からなる専門家チームが指導・助言を行うなど、支援体制の充実を図ることで、それぞれの学校において、障がいのある子どもたちが自立し、社会参加できるよう必要な支援を行ってまいります。
このような取り組みに加え、障がいのある児童生徒と障がいのない児童生徒との交流および共同学習を積極的に進め、相互理解を促進しながら、共生社会の実現に努めてまいります。
3 子どもの健康について
次に子どもの健康について質問します。
子どもの歯の健康について論議が盛んになっています。「子どもの健康のためにむし歯を予防したい」と多くの方がご尽力くださっていることに感謝しています。「むし歯を減らす為にフッ素が有効であり、積極的に使うべきだ」と言うご意見や「フッ素が有効だと言うけれど、薬を使えば大丈夫と教えるより、子どもにむし歯ができる生活をしていることに気づかせ、予防するにはどうすればよいかを考えさせ、生活改善していくという生きる力をつけるべきだ」と言うご意見など様々な考えがあると伺っています。私もむし歯予防について学習しているところです。
フッ素についても学習を続けています。フッ素が遺伝子に影響を及ぼさないとは証明されていない事を考えると、むし歯を減らすためとはいえ感受性の強い子どもにフッ素洗口を行うべきではないと思っています。フッ素の環境基準値は0.8ppmで、フッ素洗口に使うフッ素は数百ppmだと知って、誤って飲み込んだ時の子どもたちの体が大変心配です。学校では、薬に頼った健康づくりを進めるべきではないと考えています。
ななえクリニックの内野博行先生は「むし歯予防について学び教えることは、自ら考える力を養うことだ」と言われています。この考えに強く共感しています。先生は「口に入れた糖分を細菌が分解して酸ができ、歯が溶けるというのがむし歯のできるメカニズムであり、予防のためには@歯と歯の間に入りやすい糖分の取り方に注意する。(例えば砂糖入りのジュースをやめてお茶にする)Aどのくらいの間隔で糖分を口の中に入れるか注意する(例えばおやつをだらだらと与えない)B目に見えない糖分に注意する(例えば料理に使う砂糖やみりんの量を考える)」と提案されています。「自然の甘味を取り戻す食生活をはじめよう。3〜4歳の子どものむし歯が急増する『おつき合いむし歯』の環境を社会が作っていることに気づこう。例えば、みんなが集まる場所に甘いものを持ち寄ったり、銀行やガソリンスタンドなどのサービス品がキャンディーであったり、スーパーのレジの所に甘いものを並べていたり、家庭でどんなに砂糖を減らそうと配慮しても子どもは一歩外に出れば甘い誘惑にさらされている。だから、消費者が声を上げていかなければ改善されない」と言われています。
むし歯予防を含め、子どもが健康に育つためには、何よりも学校と家庭が連携して子どもたちに情報を主体的に判断、処理する能力(メディアリテラシー)をつけ、物の買い方、我慢することの大切さを考えさせるなどの消費者教育をしっかり行うことが必要だと考えます。ついては、フッ素洗口も含め、子どもの健康を守るための取り組みについて教育委員会としての見解をお示しください。
教育長答弁 文部科学省の18年度学校保健統計調査によりますと、12歳児一人平均むし歯数は、全国平均が1.7本に対し、大分県が2.8本となっております。
このため、むし歯予防の必要性が指摘されておりますが、具体的な予防方法のひとつであるフッ化物洗口については、様々なご意見があることも承知しております。
そのため、県教育委員会では現場の校長・養護教諭、歯科医師、大学関係者等で構成する研究会を来年早々に発足させ、学校の実態や専門的見地から、フッ化物洗口も含め、本件の学校におけるむし歯予防の方法などについて研究してまいりたいと考えております。
併せて来年度から、モデル地域を指定し、低年齢化している歯周疾患についての保護者への啓発など、学校、家庭、地域が連携して歯・口の健康づくりに取り組むことを検討しております。
また、多様化する児童生徒の健康課題に対しましては、専門的な判断や組織的な取り組みがますます重要になってくることから、それぞれの学校において学校医や学校歯科医などの協力のもと、総合的に児童生徒の健康管理について話し合う学校保健委員会の整備充実に努めるよう指導してまいります。
4 情緒障がい児短期治療施設について
次に医療的治療が必要な子どもの支援について質問します。
私は、中央児童相談所の一時保護者所や二豊学園に時々お邪魔します。厳しい環境から逃れ、安心してご飯が食べられる、眠ることができる、大人を信頼してもいいのかもと気づき無邪気さを取り戻そうとしている子どもたちと職員の方の関わりを見ることで励まされます。高度な専門性を要求されながら職員の方々は、燃え尽きなければいいけれどと思えるほど懸命に子どもたちを支え続けています。県では、二豊学園の寮改築や一時保護所の改修、職員の増員などに取り組んでいただいたことに感謝しています。一時保護所に伺った時に「LEC」という言葉を時々耳にしていました。「LECにお世話になる」「LECに連れて行った」最初は、何だかわかりませんでした。一時保護所に保護された子どもたちの中には、医療的保護が必要な子どももいます。ここでは十分な保護や加療ができない。また、他の子どもたちにあまりにも影響を及ぼす。そのため熊本県の「こどもLECセンター」や香川県の「若竹学園」にお世話になっているという状況を知りました。そこは、情緒障害児短期治療施設です。不登校や、被虐待などの情緒的な問題や心に深い傷を負った児童生徒を収容しています。10月に会派で「こどもLECセンター」に調査に行ってきました。
財政面では厳しいようでしたが、子ども一人に対して心理療法士や保育士の資格を持つ職員がペアになって支えていました。
「大分県から現在、5名が来ている。そのほか2名が家庭と養護施設へ帰っていった。大分の一時保護所の職員も良く来てくれ、子どもに対する方針を考えてくれる。」と施設長から感謝の言葉を頂きました。今は、大分の子どもを受け入れてもらっていますが、熊本にも待機児童が3名いるとのことでした。このような施設は全国に31あります。九州では、福岡、長崎、鹿児島、熊本の4県にあるのみですが、国は、2010年までに同様の施設を全国に作るよう指導しています。大分県としてどのような方向性を持って情緒障害児短期治療施設を整備していくかをお示しください。
福祉保健部長答弁 この施設では、虐待を受けた子どもなど情緒障がいを有する児童を、短期間入所させ、または保護者の下から通わせて、専門的な心理的治療を行っています。
県内には、この施設が設置されていないことから、これまで、対象児童を県外の施設に措置してきましたが、最近、県外施設の入所率も高まり、措置が難しい状況になっています。このためやむを得ず県内の児童養護施設などへ措置していますが、当該施設へのケアが十分ではなく、他の子どもたちへの影響も心配されています。
厚生労働省が策定した「子ども・子育て応援プラン」にも、平成21年度までに全都道府県での設置をめざす旨盛り込まれていることから、今後取り組むべき課題のひとつであると認識しており、必要な調査・研究を行ってまいりたいと考えています。
5 DV被害者支援について
次にDV被害者支援の方向性について提案も含めて質問します。
男女共同参画社会の実現は、最重要課題です。しかし、その実態は依然として厳しく、ジェンダーに縛られた社会の中で「女性軽視」「所有意識」「固定的な性別役割分担意識」により多くの女性たちが人権をないがしろにされ、今なお苦しんでいます。
2001年DV防止法成立、2003年の改正を経て、DVは犯罪であるというメッセージが届き始めました。多くの女性たちが生きるために、そして人間としての尊厳を取り戻すために暴力から身を遠ざけようと意思表示を始めました。行政や警察やNPOの根気強い支援の成果だと思います。DV被害者救済の第1段階は長い年月をかけて今日まで進んできました。これからは第2段階です。それは、いかに質的向上を図っていくかということです。そこで11月に会派で佐賀県立女性センター(アバンセ)に調査に出かけました。
アバンセでは6人体制で9時から21時まで相談を受けています。指定管理者制度を導入していることは不安材料だと思いましたが、施設面、支援者の人数、予算面でも充実していると感じました。年間相談件数は1000件を超えています。何よりもDV被害総合対策を行い支援機関の連携に力を注いでいることが羨ましく思えました。これからはカウンセリングだけではなく、「動き回る相談所」が必要になってきます。さらに支援のためには、警察、病院、生活保護課、調停や保護命令のために裁判所など様々な機関との連携が必要です。いろいろな事案が生じた時の交渉能力や説明責任も求められます。そこで婦人相談所は一時保護という福祉的役割を担い、アイネスに総合支援センターを設置し、総合調整できる専門的知識を持った人を入れれば、これまでそれぞればらばらに行っていた支援がより充実でき、多くの女性が救われると考えます。
男女間の暴力は、男女共同参画を阻む最大要因であり、DV問題の解決が基本だと考えます。被害者が二次的被害にあわずに、相談、保護、自立における一貫かつ継続した総合支援が求められていますが県の見解をお示しください。
知事答弁 男女共同参画社会の実現を妨げるものの一つとしてDV(ドメスティック・バイオレンス)があります。DVは、個人の尊厳を害する、犯罪となる行為も含む重大な人権侵害であり、決して許されるものではありません。
このため、県では、平成16年度のDV防止法の改正を受け、「大分県DV対策基本計画」を策定し、配偶者からの暴力のない社会の実現を目指し、被害者支援や暴力防止に向けた啓発活動など様々な取り組みを行っています。
被害者支援に関する取り組みですが、被害者にとっては、解決の糸口を見出すための相談だけでなく、深刻な被害に遭いながら他に身を隠す場所がない場合の一時保護、新たな生活に向けた自立支援などDV被害の様々な場面において総合的にサポートを受けることのできる機関が必要であります。このため、婦人相談所を「配偶者暴力支援センター」に指定し、被害者支援のための中核施設として位置づけ、心理療法士などの専門職員を配置し、相談、カウンセリング、一時保護、自立支援のための情報提供を行うなど、DV被害者の一貫したかつ継続した支援を行っているところです。
DV被害は、家庭内の暴力であることから、表面に出にくいといった事情があり、相談窓口を幅広く設けておくことが必要です。県では、配偶者暴力相談支援センターに加え、アイネス、精神保健福祉センターに相談窓口を設けるとともに、保健所においても相談に応じるなど、被害者の支援を行っております。
この他、DV被害者支援には、市町村、裁判所、警察署、法務局、NPOなど多くの機関が関わっており、それぞれの支援をより効果あるものとするために、支援機関相互の連携を緊密にする必要があります。このため、県では、関係機関によるネットワーク会議を設置し、連携強化を図るとともに、支援体制を充実させるため、専門研修などを開催し、支援に携わる職員の資質向上に努めています。
今後とも、配偶者暴力相談支援センターを中心に、支援機関相互のネットワークの充実、強化を図るなど「大分県DV対策基本計画」を着実に実行することにより、配偶者からの暴力のない社会作りに向けて一層の努力をしてまいりたいと考えています。
6 交通ルールの遵守について
次に交通ルール遵守について質問します。
私は、車の免許を取得して17年になりますが運転は得意ではありません。必要に迫られて運転しています。ハンドルを握る時、いつも自分に言い聞かせていることは「加害者になってはいけない」ということです。大分県の人は、車の運転が荒い。とよく言われます。他県の人との比較は容易にはできませんが、信号が黄色になっても次々に交差点に進入する車の多さにいつも冷や冷やさせられます。自分では止まろうと思っていてもすぐ後ろに車が迫っていて、止まれば追突されそうになり、そのまま走らなければならないケースが多くあります。大分県では、黄色はつっこめ、赤は注意して進めの傾向が見られます。県警の調査によりますと、昨年の信号機のある交差点及び交差点付近での事故件数は、1824件であり交通事故件数の約1/4を占めます。横断歩道を渡る子どもやお年寄りが事故に巻き込まれるケースもたくさんあります。加えて、救急車がサイレンを鳴らして出動している時でさえ、道を譲る車が少ないことにも心を痛めています。国体をめざして道路整備も行われていますが、こんな状況で他県のお客さんをおもてなしできるのかと不安でしょうがありません。時々、朝夕におまわりさんが立っている時には不思議と交通ルールが守られていて抑止力があることがわかります。県警に交通ルール遵守に向けた取り組みを強く望んでいますが、見解を伺います。
県警本部長答弁 県警察では、現在、交通ルールの遵守を図るため
・ 信号無視
・ 横断歩行者妨害
・ 一時不停止
等の交差点関連違反を中心に、7つの指定重点違反を定め、交通取締りを実施するとともに、主要交差点などにおける街頭監視活動を強化しているところであります。
また、交通マナーの向上を図るため、関係機関・団体と協働して、「人もくるまも早目の合図」運動を展開しています。
さらに、県民総ぐるみで、来年開催される国体に向けて、年明けの1月1日から「ようこそ大分 交通マナーで示す おもてなし」をスローガンに、信号遵守や、譲り合いの実践などを実施項目とした、「交通マナーアップ運動」を推進することにしております。
今後とも、これらの取り組みを積極的に推進し、交通ルールの遵守とマナーアップを図ってまいります。
7 県の林業施策について
最後に出前県議会でいただいた課題の中から林業問題について質問します。詳しい報告書が配布されていますので簡潔に述べます。地球環境を守るCO2削減にも林業が担う役割は大きいのですが、現実には儲からない、危険である、共済費が高いなど従事者が年々減少している実態は、これまでも多くの議員から語られてきました。日田についで林業が盛んな佐伯でも深刻な課題が3点出されました。第1に狩猟期間を延長しているが鹿の被害が甚大である。捕獲しても生まれてくる鹿の数の方がはるかに多い。植林しても翌年には鹿に食べられてしまっている。そこで夜間、地域限定、期間限定で十分事故のない方法を講じた上で狩猟をしてほしい。労務費を含めた防護ネットの助成を100%にしてほしい。第2に他県業者は乱伐するだけで後のことは考えない。重機が入り山は荒れ果てている。自然環境に配慮してある程度規制をしてほしい。第3に林野庁や県の依頼で10億円かけて大型製材工場を造り、年5万5千立米を製材しているが佐伯からは3万立米しか調達できない。宮崎まで買いに行くが大変な運賃がかかる。林野庁の山も県有林も大きな会社が全部持って行ってしまう。同じ値段であれば地元を育成してほしいと伺いました。また、鹿だけでなく猪や猿による農作物に対する深刻な被害を県内各地で聞きます。野生動物がどうして里に下りてくるのかと言った根本的な解決も求められています。鳥獣被害防止、温暖化防止、儲かる林業への取組など課題の解決に向けた県の今後の総合的な林業施策について伺います。
知事答弁 県議会では、去る11月9日に、佐伯市において出前県議会を開催し、直接県民と意見交換する機会を設けられたと聞いております。私も、ふれあいトークで現場の声をお聞きし、可能な限り、政策として練り上げるように努めているところであります。
お尋ねの森林・林業施策については、昨年12月に策定した「大分の森林(もり)づくりの目指す方向」に基づき、森林が持つ3つの機能に沿って取り組んでおります。
1つ目は「水をはぐくみ災害を防ぐもりづくり」です。健全な森作りにとって間伐は欠かせない作業ですが、加えて、近年では、地球温暖化防止のための森林吸収源対策としても重要な意味を持ってまいりました。京都議定書では、我が国の森林には、3.8%の二酸化炭素の吸収が求められており、本県では、平成24年までに84000haの森林整備が必要になることから、その目標達成に向け、間伐を主体に全力をあげ取り組んでまいります。
また、林地荒廃を招く無秩序な伐採や再造林の放棄については、私も大変心配しているところであります。これを未然に防止すること、更には森林機能を回復させることが重要であり、県では、法令遵守の徹底や森林施業のガイドラインとなる森林計画による新たな規制強化と併せて、跡地への植林の推進に取り組んでまいります。
もりづくりの目指す方向の2つ目は、「持続的経営可能なもりづくり」であります。
持続可能な経営を考える場合、原木の安定供給体制の構築、効率的な加工体制の整備、そして、販路の拡大が重要であります。
まず、原木の安定供給体制については、施業の集約化のために林地を団地化し、効率的な路網の整備と高性能林業機械の導入を図ることにより、低コストで安定的な供給体制の構築を進めてまいります。
次に、効率的な加工体制については、国の補助制度を活用し、製材工場の規模拡大や乾燥施設の導入に取り組むなど、低コストで高品質な製材品を安定的に供給できる体制を整備してまいります。
また、販路の拡大については、大分方式乾燥材を主体に県外の大手プレカット工場などに共同出荷するとともに、建材商社と連携した販売促進活動に取り組んでまいります。
もりづくりの目指す方向の3つ目は「遊び学ぶもりづくり」であります。県民の皆様が身近にふれあえる森林の整備や、企業ボランティアによるもりづくりなどをすすめてまいります。
また、年間被害額が約4億円に達する鳥獣被害対策については、従来からの防護柵などへの助成や捕獲報償金に加え、今年度から狩猟期間の延長、シカの捕獲頭数制限の撤廃など狩猟規制の大幅な緩和に取り組んでおります。その結果、今年度上半期の佐伯市のシカの捕獲頭数は823頭に上り、前年同期の約2倍となっています。今後はさらに振興局単位に設置した有害鳥獣対策プロジェクトチームによる指導を強化し、地域にあった被害対策を進めてまいります。
今後とも、地域での主体的な取り組みと連携しながら、こうした施策を総合的に推進することにより、健全な森林の整備と、それを支える力強い林業・木材産業の振興に努めてまいります。
|