V-FETアンプの製作

V-FET搭載アンプ TA-4650を持っていたのですが、独特な世界というか、ソフトで綺麗な音ですけど、迫力が無いアンプでした。これが壊れてしまったときに外しておいた、2SK60,2SJ18を使ってアンプを作りたいと思っていました。物量投入すればきっと良い音になるかもと思って、P社のM-22の中身無し中古を入手しましたので、これに組み込むことにしました。シャーシ加工は苦手なんで、メーカー製アンプの外側だけ利用中身入れ替えというパターンです。

巨大なヒートシンクと、大容量コンデンサ、左右独立トランス、アルミダイキャストシャーシという贅沢な作りです。重量22kgこれを自作なんて私には無理です。

中身は、前オーナーが全部外していましたので、部品がどういうふうについていたのか分かりませんが、とりあえず、AC電源とGNDの配線は、すませました。

回路を組み込むには、スペースに余裕がありすぎますが、半固定抵抗を外から回せるように、基板の部品配置を考慮しておく必要がありますね。

旧式TO-3用のソケットの手持ちが2コしか無いので、ソケットなしで取り付け予定です。ショートが心配です。

アンプの回路は、ALL FET 終段無帰還、上下対称PP構成とします。V-FET PPで出力はA級15Wくらいかな。

初段をFET差動+定電流Diodeで組んだ回路を試作してみたのですが、電源ON時にスパイクが出て、スピーカがボコっと、フルスイングして危険でしたので、やはり、お金がかかるのを覚悟して、FETをいっぱい使う構成にしました。上下をコンプリペアで組むと、スイッチ投入時のショックノイズがほとんど出ないことは、過去に作ったアンプで確認しています。

V-FETの負バイアスは、LEDの順電圧降下で-10V程度が出るように現物合わせで調整する予定です。

ドライバ段の電源は、シリーズレギュレータで、基準電圧のツェナーダイオードのノイズ取りコンデンサの容量を小さくして、電源ONから早く立ち上がるようにしています。

V-FETは、三極管と同じで、バイアスがかからないと大電流が流れてしまいますのでバイアスを電源ONから早く立ち上げるようにします。でも昔、ギターアンプとしてV-FETアンプを作ったときは、あまり気にならなかった記憶がありますけど。

整流ダイオードは、ショットキーDiを若松で入手しました。

回路図は、DesignWorks(Mac用)で書いています。

 

アースラインをつなぐのを忘れたせいなのか、通電をしたとたんにV-FETを4ペア全部こわしてしまいましたので、予備の2ペアのうち、1ペアを使って、片chのみで、再度通電チェックしてみました。

こんどは、なにも問題ないようですので、オフセット調整をしてからスピーカにつないでみました。ちゃんと音が出ていますが、歪みっぽいですね。バイアスを深めにして、アイドリング時に100mAしか流していないですから、こんなもんかも?

あとは、もう一方のドライバ基板の初段FETとMOSFET,ドライバ電源のツェナーDi、定電流Diがショート破壊していましたので、再度部品を注文して交換ということになります。

壊れた部品を交換して、とりあえず、シングルPPで、アイドリングを1A程度流すように調整して組み上げました。

終段無帰還なので、出力オフセットが気になりますが、暖まると安定するようです。

また、電源ハムが気になりましたので、アースラインの送り配線をやめて、一点アースに配線をやり直しました。かなりハムノイズは低減しましたが、まだスピーカに耳を近付けると気になります。試しに10000μFのコンデンサを並列につないでみると、ちょっと低減しましたので、容量が抜けているのでしょうかね。でもこの電解コンと同じ寸法のものは、もう入手できないでしょうから、とりあえず気にしないことにします...

 

裏蓋をしめて、試聴してみます。バイアスを作っている青色LEDがいい感じで光っています。

製作前に予想したとおりの音のアンプに仕上がりました。終段無帰還なので高音域と低音域がよく出て、楽器が生々しくベースの音程がとれるくらいクリアーな音なのですが、V-FETなので聴きやすく疲れないつややかな音も同居しています。ソフトディストーションでクリップが耳につきにくいのでしょう。まさしく、ヒータの無い三極管の音という印象です。MOS-FETでも良い音は出るのですが若干ウルサイ感じがします。 V-FETはそれが無く細やかな感じですね。ただ、MOS-FETにくらべると、やや非力な音になります。Aクラスですし、小音量で聴くにはよい感じです。

(2004/04/30)

秋月のTEST CDを買ったので、周波数特性のチェックをしてみました。

CDプレーヤからプリアンプを経由してパワーアンプ出力特性をみています。スピーカはつないだままですので、適当に低いレベルでみています。

スピーカのインピーダンスカーブが見えてしまってる感じです。DFが低いのですね。

でも、20Hz〜20kHzは、1dB以内に収まっています。特に問題なさそうです。

低域は、4Hzくらいから落ち始めています。

秋月のTEST CDのスピーカの過渡応答波形です。

上がパワーアンプ出力で、下がスピーカ出力です。マイクで拾って,カセットデンスケTC-D5で増幅しています。

スピーカって、バースト応答がひどいですね。がっかりしてしまいます。

でも、アンプの特性って、大抵フラットで測定しても差が出てこなくて、非常につまらないので、こういう差が出てくる測定は、おもしろいものかもしれません。

(2004/07/11)

徳島オフのときに、UMETEC氏より測定してもらった周波数特性グラフです。

100kHzぐらいから素直に減衰していってます。また、左右差がありました。

DFは、5〜6程度でした。

 

他のトランジスタアンプと聴きくらべる機会があって、高域の荒さが気になりました。

原因を探して、コンデンサの追加やら、抵抗の交換や、MOSFETをTrに交換などをしてみましたが、どうにもなおらず、初段のK389BL/J109BLを K170GR/J74GRに交換したところ、音が柔らかくふつうな感じになりました。どうしてこういう風に音が激変するのか、よくわかりませんが、このDual素子は高域になにかキャラクターがあるのでしょうか?初段FETの品種で音が変わるなんて考えてもみませんでした。盲点でした...

(2006/12/13)


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