TA-N902の修理と改造

1. 構想

ひょんなことで、壊れたTA-N902をいただきました。一応動作する DENON POA-1500との交換です。

1chあたりトランジスタ5パラで、疑似A級130W+130Wというカタログスペックです。

アンプ部は壊れているようですが、電源部は生きているようです。

しかし、さすがにエスプリブランドです。立派な外観です。重くてがっしりとしています。


2. 修理と改造

天板を外してみました。EIコアのトランスが2コと大きな電解コンが見えます。ツインモノラルの構成です。

右chのパワートランジスタが壊れているようです。ヒューズも飛んでいます。

裏板の入力基板(電圧増幅部)を外してみます。見事にハンダクラックがありました。

全体の7割程度がこんな感じに割れています。配線とかで手ハンダしている部分とハンダ槽で流した基板部分は

ハンダのツヤに大きく差がありましたね。まあ、こんな状態では動作しませんよね。

これを全ピン再ハンダして、この基板は出力が正常に出るようになりました。

バイポーラTrは、入手が難しそうですし、音色が気に入りませんので、パワー部はMOSFETを使用して修理したいと思います。

シンプルな0dBアンプで出力段を構成してみました。

トランジスタとMOSFETで足の並びが違うので、パターンをカットしてジャンパー線でつなぎます。

最初は、それに気が付かずに MOSFETのドレインとソースが逆になってしまって、10Aの電源ヒューズを飛ばしてしまいました。真中の足がソースだったのですね。幸い、壊れた素子は無かったようです。

基板カットとジャンパー線処理がひととおり終わり、通電してみます。今度は無事に電源オン出来ました。

天板をあけて調整していると、トランスのうなり音が気になりましたし、発熱もそこそこありました。

アイドリング電流は、エミッタ抵抗間が50mVとプリント基板にシルク表示がありましたので、

アイドリングは380mA(5パラ合計)程度のようですので、その通りに設定しました。

これだけでも、380mA × 116V× 2ch = 88.16W がアイドリング時に発熱となってしまいます。

冷えた状態から、すっかり暖まって電流が安定するまで、数時間かかるようです。

 

音の印象は、元のバイポーラTrは、耳が詰まったような感じがあったのですが、MOSFETではそれが

薄らいで、爽やかな感じです。改造成功ですかね。引き締まった実在感のある低音が、並のアンプじゃないなと

感じさせてくれます。静かで上品という印象です、余裕がたっぷりあるからこういう鳴り方なのでしょうか。

それは、大量に投入された物量の結果でしょうから、当然なのでしょうかね。


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