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環境省編 平成10年版環境白書の概要より抜粋

平成11年版 環境白書

21世紀の持続的発展に向けた環境メッセージ

 地球温暖化 オゾン層の破壊  酸性雨  光化学オキシダント  窒素酸化物

 浮遊粒子状物質等  二酸化硫黄  一酸化炭素  騒音・振動・悪臭・ヒートアイランド・光害

 

地球温暖化


 −− 現 状 −−  

 地球温暖化の問題とは、人為的影響による温室効果ガスの濃度の上昇により地表の温度が上昇し、気候、生態系等に多大な影響を及ぼすものである。温室効果ガスの温室効果への寄与度は、CO2が64%を占めており、CO2の発生源対策が急務である。温暖化の徴候は、平均気温の上昇、海面水位の上昇という形で現れている。今後も、気象、生態系等に様々な影響を及ぼすおそれがあり、危惧されている。
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オゾン層の破壊
 オゾン層破壊の問題とは、クロロフルオロカーボン(CFC、いわゆるフロンの一種)等のオゾン層破壊物質が成層圏に達し、そこで分解されて生じる塩素原子や臭素原子によりオゾン層が破壊され、オゾン層に吸収されていた有害な紫外線の地上への到達量が増加することによって、人の健康や生態系に悪影響を及ぼす問題である。

−− 現 状 −−  

オゾン層破壊の問題とは、クロロフルオロカーボン等が成層圏で分解されて生じる塩素原子等によりオゾン層が破壊され、有害な紫外線の地上への到達量が増加し、人の健康や生態系に悪影響を及ぼすものである。南極上空では、毎年南極の春にあたる時期に成層圏のオゾンが著しく少なくなる「オゾンホール」と呼ばれる現象が起きている。1997年も、最大規模であった過去5年と同程度のオゾンホールが確認された。しかし、南極においてはCFC等の大気中濃度の増加率の低下が始まっており、CFC等に由来する対流圏中塩素等の濃度は1995年に減少傾向に転じたことが確認されている。
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酸性雨
 酸性雨とは、硫黄酸化物(SOx)や窒素酸化物(NOx)などの大気汚染物質が大気中で硫酸塩や硝酸塩に変化し、これを取り込んで生じると考えられる酸性の強い雨、霧、雪などの湿性沈着と、ガスやエアロゾルの形態で沈着する乾性沈着の両者をあわせたものである。


−− 現 状 −−  

 酸性雨は、硫黄酸化物や窒素酸化物等の大気汚染物質を取り込んで生じる酸性度の高い雨や雪等のことで、湖沼、河川等が酸性化し魚類に影響を与えたり、土壌が酸性化して森林に影響を与えたり、文化財への沈着がその崩壊を招くことが懸念されている。第3次酸性雨対策調査の中間取りまとめによれば、我が国でも、森林や湖沼等の被害が報告されている欧米並の酸性雨が観測されており、酸性雨が今後も降り続けば将来影響が現れる可能性もある。
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光化学オキシダント
 光化学オキシダントは、工場や自動車から排出される窒素酸化物および炭化水素類を主体とする一次汚染物質が、太陽光線の照射を受けて光化学反応を起こすことにより二次的に生成されるオゾン等のことを指し、強い酸化力を持っている。光化学オキシダントは、いわゆる光化学スモッグの原因となり、高濃度では粘膜への刺激や呼吸器への影響を及ぼすとともに、農作物等への影響も報告されている。また、オゾンは二酸化炭素よりもはるかに強力な温室効果を持つ。
 環境基準(人の健康を保護するうえで維持されることが望ましい基準)は「1時間値が
0.06ppm以下であること」と設定されている。 

−− 現 状 −−

 平成8年の注意報(1時間値が0.12ppm以上で、気象条件から見てその状態が継続すると認められる時)発令延日数は平成7年の139日から99日へと減少している。地域別では首都圏地域及び近畿圏地域に注意報の発令が集中している。
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窒素酸化物(NOx
 一酸化窒素(NO)・二酸化窒素(NO2)などの窒素酸化物(NOx)は、主に化石燃料の燃焼に伴って発生し、その発生源としては工場のボイラーなどの固定発生源や自動車などの移動発生源がある。NOxは、酸性雨や光化学大気汚染の原因物質となるばかりでなく、二酸化窒素は高濃度で呼吸器に好ましくない影響を与える。
 二酸化窒素の環境基準は「1時間値の1日平均値が0.04ppmから0.06ppmまでのゾーン内またはそれ以下であること」となっている。

−− 現 状 −−

 我が国の大気汚染状況は、二酸化硫黄、一酸化炭素については近年良好な状況が続いているが、二酸化窒素、浮遊粒子状物質については大都市地域を中心に環境基準の達成状況は低水準で推移している。また、ダイオキシン類のように意図せずに生成され大気中に排出される有害化学物質については、平成8年に改正された大気汚染防止法に基づき対策が推進されている。
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浮遊粒子状物質等

  浮遊粒子状物質
 浮遊粒子状物質(SPM)とは、大気中に浮遊する粒子状の物質(浮遊粉じん、エアロゾルなど)のうち粒径が10μm以下のものをいう。SPMは、微少なため大気中に長時間滞留し、肺や気管などに沈着して高濃度で呼吸器に影響を及ぼす。発生源は、工場などから排出されるばいじんやディーゼル車の排気ガスに含まれる粒子状物質などの人為的発生源によるものと、土壌の巻き上げなどの自然発生源によるものとがある。
 環境基準は「1時間値の1日平均値が0.10mg/立法メートルであり、かつ、1時間値が0.20mg/立法メートル以下であること」と設定されている。


−− 現 状 −−

 環境基準の達成率は、一般局では63.5%、自排局では35.2%と、依然として低い水準で推移しており、特に、関東地域における達成状況が芳しくない。

   降下ばいじん
 物の破砕や選別、堆積に伴い飛散する大気中のすす・粉じんなどの粒子状物質のうち比較的粒が大きく沈降しやすい粒子は、降下ばいじんと呼ばれる。


−− 現 状 −−

 平成7年度における状況については、長期間継続して測定を実施している16測定点における年平均値は3.8t/平方km/月(平成6年度3.5)となっている。

 スパイクタイヤ粉じん
 昭和50年代の初めからスパイクタイヤが積雪寒冷地域で急速に普及したのをきっかけとして、スパイクタイヤの使用により発生した粉じんが不快感や衣類・洗濯物の汚れをもたらすだけでなく、人の健康への影響も懸念されたため、大きな社会問題となった。

−− 現 状 −−

 使用禁止地域の指定も進み、スパイクタイヤに係わる降下ばいじん量については著しい改善を見せている。
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二酸化硫黄
 二酸化硫黄(SO2)は、硫黄分を含む石油や石炭を燃焼させることにより生じ、四日市ぜんそくなどの公害病の原因物質として知られているほか、酸性雨の原因物質ともなる。
 二酸化硫黄の環境基準は「1時間値の1日平均値が0.04ppm以下であり、かつ、1時間値が0.1 ppm以下であること」となっている。

−− 現 状 −−

 低硫黄原油の輸入、重油の脱硫、排煙脱硫装置の設置等の積極的な対策の結果、昭和42年度のピーク値0.060ppmから年々減少し、平成7年度には0.008ppmと著しい改善を見せている。
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一酸化炭素
 大気中の一酸化炭素(CO)は、燃料等の不完全燃焼によって生じるもので、主に自動車が発生源となっている。COは血液中のヘモグロビンと結合して酸素を運搬する機能を阻害するなど人の健康に影響を与えるほか、温室効果のあるメタンガスの寿命を長くする。
 環境基準(人の健康を保護するうえで維持されることが望ましい基準)は
「1時間値の1日平均値が10ppm以下であり、かつ、1時間値の8時間平均値が20ppm以下であること」と設定されている。

−− 現 状 −−

 環境基準は一般局・自排局ともに近年全局で達成している。
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騒音・振動・悪臭・ヒートアイランド・光害等

−− 現 状 −−

 騒音・振動・悪臭は、主に人の感覚に関わる問題であるため、生活環境を保全する上での重要な課題となっている。それぞれの苦情件数は全体的に年々減少傾向にあるものの、各種公害苦情件数の中では大きな比重を占めており、発生源も多様化している。騒音に対する苦情は公害苦情件数の中で最も多く、特に工場・事業場に関するものが多い。悪臭については、サービス業や個人住宅等都市・生活型苦情件数の割合が増加傾向にある。
 この他に、首都圏などの大都市では、地面の大部分がアスファルト等に覆われているため、水分の蒸発による温度の低下がなく、夜間に気温が下がらない「ヒートアイランド」と呼ばれる現象や、必要以上の照明により、夜間星が見えにくくなったり生態系への影響が懸念される「光害」と呼ばれる現象が起きている。

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kankyo@oct-net.ne.jp

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