ザルツマン試薬の発色の仕組み

 まず,トリエタノールアミン (CH2CH2OH)3N を含ま せたろ紙に二酸化窒素が触れると,二酸化窒素は下のような反応によって,トリエ タノールアミン亜硝酸塩,トリエタノールアミン硝酸塩としてろ紙に取り込まれま す。

トリエタノールアミン

 次に,二酸化窒素を取り込んだカプセルにザルツマン試薬を加えると,ザルツ マン試薬の主成分の一つであるスルファニル酸 H2N-C6H4-SO3H

と生じたトリエタノールアミン亜硝酸塩が下のように反応し,ジアゾ化が起 こります(p-スルホベンゼンジアゾニウムイオンの生成)。

ジアゾ化

 生成した物質は,ザルツマン試薬のもう一つの主成分であるN-(1-ナフチル)エ チレンジアミン塩酸塩 C10H7-NHCH2CH2N H2 と下式のように反応します(カップリングによる4-エチレン ジアミン-1-(p-スルホフェニルアゾ) ナフタレンの生成)。できた生成物は アゾ染料と総称される色素の一種で,この物質が赤紫色の正体です。

カップリング

作成 石崎さん(99/07/19)