鶏口牛後 十八史略

秦は諸侯を、武力を背景に威し、領土の割譲を求めていた。洛陽
の人に蘇秦という者がいた。秦の恵王のところに遊説したが、用
いられなかった。
そこで燕の文侯のところへ赴き、趙と南北に同盟させようとして、
説いた。燕は蘇秦に遊説資金を与え、それで趙に行かせた。

粛侯にこう説いた、「諸侯の兵力を合わせれば、それは秦の兵力
の十倍に値します。力を合わせて、西方の秦を攻撃すれば、秦は
必ず敗北するでしょう。大王の為に愚考しますところ、六ヶ国が
南北に同盟し、秦を排斥するよりよい方法はありません。」

そこで、粛侯は蘇秦に遊説資金を与えて諸侯と同盟を結ばせよう
とした。蘇秦は世間によく言われていることわざを使って、この
ように諸侯に説いた、

「小さな組織のトップになっても、大きな組織に従属してはなら
ない。」かくして、南北六国の同盟が成立した。 




Isogawa Takuji 2004