日出生台での米海兵隊との直接対話

 【直接対話に至るいきさつ】

 2月21日の会見の2日前の2月19日、米海兵隊のケリー中佐と通訳のリース軍曹が、日出生台演習場の地元玖珠、九重、湯布院の3町を表敬訪問。湯布院町役場には午前11時頃姿を現し、湯布院町長との会見を終えて出てきたケリー中佐に対して、直接、ローカルNETのメンバーから、あらかじめ用意していた「公開質問状」を手渡した。この公開質問状の回答期限は「日出生台から撤収する日までに」としておき、場合によっては回答が返って来ないかもと思いながらの「直訴」。(実際、昨年末に沖縄の海兵隊広報に宛てて出した海兵隊への質問状には、いまだに返事がきていない)

 ところが、その日の午後3時に、ローカルNET事務局に、福岡防衛施設局広報より電話があり、「質問状について、米海兵隊側から直接会って回答したいと言ってきていますが・・・」「2日後の21日、日出生台演習場内で、午後1時から約30分程度で、海兵隊側3人、ローカルNET側3人、防衛施設局1人で会見。やりとりの録音、ビデオ撮影、マスコミ取材は一切ダメ」の条件で会うとのこと。

 予想外の反応に、いったん電話を切って、ローカルNETで、これにどう対応すべきかを協議。海兵隊側にとってメリットがあると判断だろうが、こちら側にとってもメリットはあるとの判断で、直接会見に応じることにした。防衛施設局に連絡を入れ、人数を当初ローカルNET側は3人とされていたものを交渉で、記録係2人を追加で参加させてもらい、ローカルNETからは計5人が米海兵隊との「対話」に参加できることになった。

 2月21日、当日は小雪が吹きあれる寒い日だったが、会見は予定通り、一時ちょうどから始まった。

 米海兵隊側はケリー中佐(以下、対話記録ではK)、通訳のリース軍曹、リーバス広報担当者の3人。ローカルNET側は、衛藤洋次(E)、佐藤晶(S)、浦田龍次(U)、記録係として2人の女性。「防衛施設局は1人」のハズが、なぜか行ってみたら、5人がテーブルに並んでいたが、これはもう不問にした。

 簡単な挨拶を交わした後、佐藤晶より、なぜ私たちが日出生台での米軍演習に反対をし、住民運動を行ってきているのかを説明。ケリー中佐は「今日は時間の余裕があるので、当初30分という予定だったが、1時間ぐらいは会見することが可能です」とのことで、早速、質問に入った。(以下のやりとりは、記録係2人によって、速記したものを、あとでみんなで補足しながら、整理したもの。ほぼ忠実にやりとりが再現できたのではないかと思う)

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1999年2月21日午後1:00〜2:00

ローカルNET側挨拶

(S)

 私たちは暮らしを一番大事にしながら、地域の安全とはなんだろうということを取り組んでいる民間団体です。今日はこのような場所を設けて頂いてたいへん感謝しています。私たちは決して対立をのぞむものではありません。いろんな対話の中から新しい改革を探そうと思っています。今日は事前にお願いした質問事項、それは住民が今一番不安に思っている内容をお答えしていただきたく、出したものです。不安を解消するために、ぜひ率直なご回答と、またケリーさんのご意見をお願いします。

(U)

防衛施設局と米軍側も録音をしているようですが、こちらも録音していいですか。

(K)

この録音は自分が指示したものではなく、広報担当が資料のため記録しているものであり、じぶんとしては顔を合わせて話し合いたいということで、できれば避けて頂きたい。ですから人数も5人に増やして対談できるようにしたものです。過去にも録音され、これが印刷となり、自分が言ったことと全然違うような記事になり、困ったことがある。

(U)・・・・・。ではスチール写真をときどき撮ってもいいですか。

(K)OK

【外出について】

(1)基本的な再確認となりますが、米軍は「責任を持って自己の部隊の秩序と規律の維持を確保し、その際、最高度の規律を確保する」と約束したことは間違いありませんか。

(1)に対する回答

(K)私は、最初の記者会見で、我々は日出生台で寛大で責任のある客であると申し上げた。海兵隊の部隊の秩序と規律の維持の責任は、その部隊の司令官にあります。従って、演習中であれ休暇中であれ、当部隊の海兵隊員の秩序と規律維持の確保は私の責任であります。もし海兵が事件もしくは問題を起こした場合は、それが演習中であれ休暇中であれ、全て私の責任です。

 休暇については、事前に隊員たちに充分なブリーフィングを行いました。休暇中に外出する際に必要なこと、どこに行ったら良いのか、行ってはいけないか、彼らの休暇期間においての態度に関しても十分説明した。また、外出する際には常に2人かそれ以上の海兵が常に行動をともにするように指導し、担当の犯罪捜査官を別府のホテルを拠点に配置し巡回パトロールを行い、同時に大分県や別府市の警察および福岡防衛施設局の職員も行動を共にした。今回の休暇中の隊員の態度については、内部的な問題がなかったとは言えないが、公的には「最高度の規律を守った」と認識しており、そのことについては誇りを持っています。

(U)

この地域でむすばれている地元の町と県、そして福岡防衛施設局で結ばれている協定の中で、米軍は「最高度の規律を確保する」という文面があるが、これはその通りであると言うことか。

(K)我々としては、確かに内密的な(internal)の問題がいくつかあったが、これは我々の方で捜索しているものであり、休暇期間は最高度の規律を保っていたものと思っている。休暇期間中の海兵隊員たちのふるまいと態度については誇りに思う。

(2)沖縄では、4年前の少女暴行事件をはじめとして、女子高校生に対するひき逃げ事件など、米兵による飲酒にともなう事件、事故が続いてきました。今回の日出生台での演習でも、別府市への外出時に、外出の初日(2月16日)、2日目(2月17日)と、相当量の飲酒をした海兵隊員らの目に余る姿が見受けられました。特に2月17日の夜は、深夜、別府市内の路上で、海兵隊員数名が酔って奇声を発したり、海兵隊員同志の激しい口論となり、まわりに人があつまり、一時騒然とする騒ぎがありました。また、その直後、今度は別の場所の公園のトイレで、泥酔した海兵隊員が倒れているのが見つかり、住民や防衛施設局職員など10数名があつまり、やがて到着した海兵隊員と犯罪捜査官に両肩を抱えられて、車まで運びこまれ、連れ戻されるという騒ぎも起きました(これらはこちらで撮っていたビデオ映像にも残っています)。これらの状況について、どう見ていますか?

(2)に対する回答

(K)訓練期間中・休暇中を含め、今回我々は警察および福岡防衛施設局から、何らかの事故・事件に関する報告は受けていません。従って、質問のように今回の休暇中、我々の隊員によって問題があったとは認めていません。

 ただし21才以下の隊員が飲酒をしていたという情報が内部的に入ってきていますが、この事態に対し、ただいま我々の内部で捜査官を任命し、調査中です。その情報を頂いた時点から、その容疑者は休暇が制限され、ただいま捜索中で、この調査の詳細については、まだお話しできません。隊員の休暇中の行動については、在日海兵隊の司令官から発せられる休暇計画命令に従っているものであり、我々第12連隊第3大隊はこの命令に従っており、もし彼がこれに違反するようなことがあれば我々も彼も罰せられます。したがって、もし21才以下の隊員が飲酒をしたという事実が確認された場合は、その者は我々の軍事法令で罰せられるでしょう。

 また、質問にあるような「目に余る態度」については、先ほども申し上げたように、大分県の警察、別府市の警察、福岡防衛施設局、および市民の方からそういった報告は無かった。従って、我々は隊員の態度に「目に余る態度」があったとは思っていない。

 質問には我々の隊員が激しい口論をしていたということだが、私は隊員がしていたのは単なる口げんか程度のことだったと思っている。隊員同志というのは皆兄弟のようなものであり、また私は彼等の父親のような存在だ。兄弟であれば口げんかもするだろう。つまり、私はかれらの行ったのは兄弟げんか程度のものであって、それは家族内のもめ事(internal family business)に過ぎないと認識している。しかし、もし彼等の口げんかがそれを傍で見たり聞いたりしていた一般市民の方に不快感を与えたのであれば、私は父親が息子達の兄弟の態度について謝る父親のように、彼らに謝ります。しかし結局その程度のことであり、質問にあったような「目に余る態度」や事件・問題だったとは認識していない。もし住民の方やあなた達が、そういった事件や問題であるようなことをビデオや写真や、なにか証拠として記録しているものがあれば、私達はそのコピーを是非貰いたい。私達はそれを調査するのに役立てたいと思う。

(U)今回酒に酔った海兵隊員たちは、住民達がすぐ側を通るようなところではげしく口喧嘩をしていた。もしそういった海兵隊員達と一般住民がトラブルになったら、それは公務として扱われるのかそれとも公務外として扱われるのですか?

(K)海兵隊員の期間中の行動は、演習期間中であれ休暇中であれ、すべて公務です。ただし海兵隊員と日本の一般市民との間に起こった事件や問題については、2国間政府の間で法律にのっとって扱われる問題であり、それがどのように処理されるかについては、私の一存で答えられることではない。それに、私は「もし〜が起きたら」ということについては一切答えられないし、私は既に事実として起こった事について対応するのが任務である。ご存じのとおり、沖縄での海兵隊による事件の中には、必ずしも全て当方あるいは当国のやりかたで処理されるばかりではなく、中には日本の側で罰せられた事実もある。そういった事から考えれば、こういった事件・問題は、2国間政府の間で話されるべきことであると考えている。

(3)今回、米海兵隊員らの外出時に、隊員らに対して、規律維持のためにどのような指示を出しましたか。また隊員らへの配布文書があればください。

(3)に対する回答

(K)私は、事前に海兵隊全員に休暇に関するブリーフィングを何回も行った。そのブリーフィングに於いて私が隊員達に対して出した指示については内容を話すことはできるが、休暇に関する命令文書については軍の公文書にあたるので、アメリカ市民にも見せられないものであり、皆さんにもお見せすることはできない。

 自分の部下の司令官たちは、さらにそのしたの部下に、自分が言ったことに対してもっという権利がある。ですから、自分が出した命令を拡大するような命令を彼らがなんと言ったか自分にはわからない。

 ここにあるものが実際に自分が書いた休暇に関する命令文書ですが、内容は、休暇中に出かける場所と時間、行っても良い場所と行ってはいけない場所を指示、命令文書の中には、兵がどこにいるか把握するようにとの文書もある。メディアに対しても、知っていることは答え、知らないことは知らないと言うように言ってある。また、外出に際する私服はどういったものがよいか、別府市内のバスについて、公衆電話のかけ方、店に入って食事を注文する簡単な日本語、値段の聞き方などなどについて、細かく何度もブリーフィングを重ねた。また、外出日程の初日頃には地元の住民グループが(反対)運動をしているという情報もあったので、その場所は避けるように、という事も指示した。

(4)今回の飲酒した海兵隊員らによるトラブルは、すぐ間近を車が行き交ったり、一般観光客も通る路上で起きたもので、もし住民や防衛施設局職員らが回りに集まらずに、そのまま事態が進行していれば、憂慮すべき事件や、事故に発展しかねないものでした。今後、同様の事態が沖縄や他の本土移転地などで発生することのないように、どのような対処策を考えていますか。

(4)に対する回答

(K)先ほど述べた事に重複すると思うので、カットさせて頂きます。

(5)今後はこのような飲酒した米兵らによるトラブルはないと約束できますか。

(5)に対する回答

(K)先ほど述べた通り、トラブルや事件は確認されていない。私が認識しているのは内部問題としてみている事だけである。私が約束できることは、私のような海兵隊の指導的立場にいる者は、最高度の規律をもって隊員の秩序を維持してきており、それは223年間海兵隊が続けてきたとおりに秩序を確保していく。これからもブリーフなどで確かめ、違反すれば罰せられる。 

(U)内部的な問題があると言われましたが、その内部的な問題をあなたがたは重要視していますか?

(K)内部的な問題として、海兵隊員が軍の命令に従わなかったとしたら、それはあくまで軍内部の問題としては重大なことであると考える。しかし、問題が外部的なものとして明らかになった場合には、それは私のレベルで答えられる範囲の事ではない。

(6)沖縄でも同様の規律維持に努めてきましたか。また今後もつとめますか。

(6)に対する回答

もちろん、私は海兵隊が沖縄で最高度の規律を持って秩序を維持してきたことに誇りをもっている。これからも同様に軍の命令に従って最高度の規律を守り続けることを確信している。

【地位協定について】

(7)日本では、「米軍人が犯罪を犯しても、身柄が米軍側にある場合には、起訴するまで容疑者を拘束できない」とか「米軍に対し、日本の国内法が適用されない」などの米軍側に不当に有利な内容になっていて、地位協定の見直し、改善を求める声が日本国内にありますが、これについてどう思いますか。

(7)に対する回答

自分は砲兵大隊の司令官であり、これについては、その立場よりはるか上の話であり、政府の間で対応されるべきことであり、私のレベルで答えられる問題ではない。

【情報公開について】

(8)防衛施設局が自治体やマスコミ、住民に対して情報を公開してこないために、海兵隊自身への不信感もつのりつつあります。砲撃スケジュールや、発射弾数を公開することによる不都合というものが何かありますか。

(8)に対する回答

 私達が福岡防衛施設局と結んだ関係については感心している。我々はこれからも福岡防衛施設局を通して情報をやりとりするつもりである。あなた方も今後も同じく福岡防衛施設局を通して質問などを寄せて欲しい。そうすれば、答えられることには全て答えるつもりだ。ただし、自分たちの訓練思想からも、そして、国の政府間で結ばれた協定にしたがって、我々はこの訓練期間中、聞かれた質問の多くには答えることができませんでした。たとえば、射撃時間や砲撃スケジュール、発射弾数について、事前に情報を公開することは訓練のflexibility(融通性)を阻害することになるので、事前公開はできない。事前に情報をだすと、訓練行動を束縛することにつながる。情報を事前に公開しないことは、あなた方にとって情報が充分でないということは理解できるが、我々は訓練のflexibility(融通性)を守ることの方が必要であり、それを阻害して訓練行動を縛ることは兵士たちにとっても困ることである。彼らの動きを縛ることは、ここでもどこの移転演習場でもしない。したがって事前の情報公開はできない。この点で我々の都合とあなた方の要求とが一致しない事は認める。それはまるで細い線のようなものであり、その細い線によって繋がっている部分で我々はやり取りをしているという状態だと思う。

(S)私達に充分な情報が伝えられないことが、かえって不安感を募らせることにつながる。むしろ公開できないという情報をあえて公開することによって、住民の不安感を払拭することができれば、それは海兵隊のためにもなるのではないか。

(K)それも自分よりはるか高いところの問題であり、応答することはできない。自分にとっても、公表できる情報と公表できない情報とを選び分けることは、大変むつかしいことである。公表できる情報の範囲は軍や国によって決められており、私のレベルで取り扱えることではないし、そういった判断は私の大隊長としての任務の中にはない。大隊長である自分の任務はここで訓練をすることである。

(S)では、結局国と国との問題ということになれば、やっぱり我々は自分達の国に対して情報公開を求めてゆくしかないのですかねぇ?

(K)我々に内部的な問題として処理していかなくてはならない問題があるのと同じように、あなた方にもあなたの国の中で解決してゆかねばならない内部問題があるのだと思います。日本は米国と同じように自由の国であるから、個人の意見は言うべきだと思っている。私はあなた方の意見の内容に同意はできないが、しかしあなた方が自分の意見を言う権利については理解を示す。

(9)来年もこのような反対の住民と直接会って意見交換する場をもってもらえますか。

(10)また、他の移転地や沖縄でも、このような、ある意味で米軍に対して批判的な意見を持つ住民との直接対話の場を持っていただけますか。

(9)および(10)に対する回答

 訓練計画に支障がない範囲であれば、その可能性は探るつもりである。そのような(意見交換する場をもってもらいたいという)要望は、今後も福岡防衛施設局を通して要請してもらえれば、可能な限りそういった場をもつつもりである。ただし、私の任務で答えられる事の範囲は、ここでの海兵隊の訓練と休暇に関することだけである。それは、矢臼別や王城寺原でも同じであり、それぞれの演習場での訓練と休暇についての事であれば同じ様に情報を出してきた。

 また、私はこのように顔と顔を合わせて話しをすることによってお互いの理解を高めるべきだと考えている。こういった話し合いができる機会を大変認めている。我々の訓練の中で隠すべきことは一切ないので、答えられることについては、全て可能な限り答えるつもりである。

 我々はここでの訓練によってプロフェッショナルで強い軍隊になることを目指している。我々がここで強くなることが侵略に対する阻止力となり、それが平和を守る事になる。それはあなた方の目指す「平和」を求める為にもなる。

(E)私はこの地元小野原地区の住民です。私はここで家族・友人と暮らしています。私たちはこの3年間、ここで静かで穏やかな暮らしをしたいと思って頑張ってきました。

(K)我々がここで行った訓練は、日本の自衛隊がここでやっている演習と非常に似ているものだと思う。我々がここで訓練を行うことは、2国間政府の間できめられたことであり、それぞれの演習地にあわせて訓練計画が決められた。ここが海兵隊の演習場として選ばれていたのは、自分が沖縄に来る前に決められていたことだ。我々の訓練による音や火などのインパクト(影響)は、自衛隊よりも小さいものだと思う。

 われわれの訓練は非常に安全で、非常に正確なものである。事前に内部で訓練に関して2重3重のチェックを行って安全性と正確性を確かめており、着弾地についても非常に正確に着弾するようにしている。実射については、12日までに全ての実射訓練は終わった。しかし訓練期間中に不発弾が1発あった。13日には3回の爆音がしたのをあなた方も聞いていると思うが、それは実射音ではなく、その不発弾を処理するための音だった。また、この不発弾を処理するために13日以降に演習場内に入った時、(以前から自衛隊が落としていた)6発の弾が落ちていたので、我々はそれを処理した。つまり結果として、前よりも我々がこの演習場にやってきてからの方が、むしろ安全な状態になったと言える。

 あなたが家族と一緒にここで幸せな暮らしをしたいと望んでいるのと同じ様に、私も幼い4人の子供を持つ父親である。そういう意味では、平和を求める気持ちは同じだと思う。あなた方が平和を求める気持ちと、私が子供達のために父として平和を求めるのとは同じ気持ちだと思う。ただしその平和の求め方があなたたちとは違うのだ。それは2国間の文化的な違いもあるのかもしれない。

 皆さんは海兵隊の事をよくご存知でないから、海兵隊たちを恐れているのだろうが、海兵隊も一人の人間で同じ平和を求めている。我々は今回別府でホームビジットを行ったが、とてもよい結果があったと思っている。海兵もあなた達と同じ人間であり、父でもあり、母でもあり、兄でもあり、姉でもあり、みんな平和を願っており、一人だって戦争に行きたいものはいない。こうやって会って良かったと思う。あなた方もホームビジットによって一人の海兵隊を受け入れ、彼等にもっと話しかけ、いろんな事を聞いて、お互いに話し合って、もっと海兵隊の事を知ってもらいたい。そうすれば海兵隊に対する誤解もとけると思っている。

(U)もし、仮に私達ローカルNETが海兵隊のホームビジットを受け入れたいと希望したら、私達のところに海兵隊を出してくれますか?

(K)このようなお互いの理解を高めるための話し合いを目的としているならば、私は兵士をあなた方のところに伺わせるだろう。また、そういった話し合いをするためならば、私自身が行ってもよいと思っている。

(U)では、海兵隊何人かのグループと、我々住民達が複数のグループ同志で対話するというような機会をつくる事もできますか?

(K)何事も可能性がないことはない。訓練スケジュールに支障がなければ、そういった場を設けることも可能性はないとはいえない。

(S)私達も、このように顔と顔を合わせて話し合いをすることがとても大切なことだと思っています。そういう意味ではこういう機会を作って下さるケリー中佐で良かったと思っています。

(K)私でなくても、海兵隊の司令官であるならば誰でも同じようにこのような席を当然設けるはずである。

(U)先ほど、あなた方の訓練規模は日本の自衛隊の訓練よりも小さいと言われましたが?

(K)私が言ったのは、訓練の規模といっても音や火炎の強さなどが小さいという意味ではない。我々は音の大きさや火炎の強さなどを測定していないし、また自衛隊がどの程度の音や火を出しているのかも知らないので、比べる事はできない。私が言ったのは、我々が使っているりゅう弾砲の弾が、自衛隊が使っているものよりも小さい弾を使っているという事だ。

(U)それでは、今後(来年)も同じ大きさの弾をつかうのですか?

(K)ここしばらく(数年)は、同じ大きさのりゅう弾砲弾をつかう予定だ。しかし海兵隊が新しい大きさの弾を作ったら、今後それを使うことになると思う。

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ここで時間が午後2時になり、防衛施設局職員が間に割って入って会見を制止。会見終了となった。

 後で考えると、ケリー中佐ら海兵隊側の雰囲気ではまだ時間的余裕があったようで、ここでケリー中佐に直接、会見の延長を要請すれば、十分に延長可能であったのではないかと感じている。