10月27日、福岡防衛施設局は、日出生台演習場周辺の移転補償対象家屋145戸と住宅防音工事の対象家屋836戸を発表。「強制ではなく、あくまで希望者のみ」というものの、この措置は「結果として日出生台周辺地域の過疎化に拍車をかけ、地域をつぶすもの」と、住民から国の頭越しの発表に対する怒りの声と地域の将来に対する不安の声が噴き出ました。
■「これまでは、新たに畑を拡大して作物を植えたいときには、 隣の人に頼んで安く借りることができたが、これからは人に貸すよりは国に売る方が金になるからと、今までのようには土地を借りられなくなるかもしれない」
■「わしらは生まれ育った日出生台が好きなんじゃ。
本当に好き好んで出ていきたいもんは誰もおりゃせん」
■「演習場周辺からわしらがおらんなってしまえば、苦情を言う者も反対する者もいなくなって好都合なんじゃろう」
■「米軍が一年に10日間だけ来て演習をするちいう問題と
思っちょったら、いつのまにか自分の暮らす地域がのうなるち言う問題になっちょる」
■「これを機会に、逆に住みいい日出生台をつくるんじゃ」
米軍演習を強行決定したとき、国は「国の責任でやらせていただく」と言ったはずです。であれば、国は、米軍の演習のために住民を立ち退かせていくというようなやり方ではなく、過疎の地域に暮らす住民がより暮らしやすくなり、多くの人がさらにそこに住みたくなるような方向の措置をとるべきではないでしょうか。
■疑問の残る移転補償区域の設定
この移転補償と防音工事の範囲を決定するにあたって、福岡防衛施設局は「今年2月の米軍訓練時などに、演習場周辺の30ケ所で砲撃音を測定。騒音の強度や頻度などをもとに、飛行場周辺での補償と同じ基準で区域を設定した」と説明しています。
しかし、実際に発表された移転補償、住宅防音工事の範囲は、現在の東西に長い演習場を丸く南北に拡げる形です。砲撃音をもとに範囲を設定したという説明どおりなら、発射地点と着弾地を中心にしてひょうたん型になるのが自然なはず。
このような不自然な範囲設定に地元住民からは、米軍演習にこじつけて演習場の拡張や、最近増えているヘリコプターによる実弾射撃訓練などの演習の強化を狙っているのではないかとの不安の声が起きています。
これについて、国側は「演習場の拡大はない。国が買い上げた土地は緩衝地帯とする」と説明していますが、緩衝地帯とされた国の土地は、地目は演習場でなくても、演習場機能を補完する役割、機能を持つものになることに違いはありません。