番外編  私の昔話(その5)  私の初恋の話  R2.9.26(土)アップ

       

 
遭難碑90年忌慰霊祭・・終戦記念日に思う・・と固い話が続いてしまった。
 ちょっと疲れました・・(苦笑)

 疲れついでにペットの話・・
 我が家には犬2匹、猫3匹のペットがいる・・
 家内と一緒に世話をしているが結構大変なのです・・
 毎日3度の食事・・ウンチ、オシッコの始末・・
 全部室内飼いなので部屋の室温管理(エアコン)・・
 猫の1匹を除いて、あとは全部、超後期高齢なので、暑過ぎても、寒過ぎてもダメなのです・・。
 時々、生きているかどうか見てあげないといけない・・(苦笑)
 時々の散歩は私の役割・・
 そんな事で、昼間は何だかんだと気が休まらない・・。
 でも、夜は静かになり、それぞれの表情、しぐさ、行動を見ていると可愛さが戻る・・。
 皆、個性が違うし、長い間生きてきたし、それぞれの人生、いや犬生、猫生が思い出され愛しく感じる。
 そんなペット達は、家族団欒しながら、家族皆に潤いを与えてくれる。


 今回の番外編は柔らかい話をします・・
 私の初恋の話です・・(苦笑)
 今この歳になって自分の初恋の話をするのも変な気がするが我慢して聞いて下さい・・(苦笑)。
 いつも言いますが、私のあの世に持っていく大事なものですから・・(苦笑)


 
 
   
この写真は私の故郷・岩手県釜石市小佐野町からの風景である・・
   私が釜石に住み始めた5才の時から、釜石を離れる26才までの21年間、毎日眺めていた景色である。
   奥に見える山は、左から五葉山・・鳩ガ峰・・尖った山が愛染山(あいせんざん)・・である。
   いろいろと悩み多い青春時代だったが、山に登れば何か見つかるかもしれない・・と思い、
   五葉山には何度も登ったものだった・・
   私の山登りの原点の山である・・
   そして、この景色は、私の「原初の風景(心の風景)である・・
   「心の風景」というのは、その人の一生を左右する位、その人の心に染み込んでいる風景である。  




     私の初恋の話


 遭難碑90年忌慰霊祭・・終戦記念日に思う・・と固い話が続いてしまった。

 今日は柔らかい話をします・・

 私の初恋の話です・・(苦笑)

 今この歳になって自分の初恋の話をするのも変な気がするが我慢して聞いて下さい・・(苦笑)。

 しかし、やはり書き残しておきたい事ではある。


 記憶もほとんど薄れてしまったが、たしか小学校の5年か6年生の頃だと思う。

 学校のすぐ裏に甲子川という川があり、その土手をいつも決まった時間に下校する女の子がいた。

 私よりも1、2学年下だと思った。

 ランドセルを背負ってトボトボと土手の上を歩いて帰っていく姿を今でもハッキリと覚えている。

 顔は卵形で端麗な美少女だった。

 背もスラッとしてスタイルも良かった。

 なによりも私が気になったのは、いつも寂しそうな沈んだ感じの顔の表情だった。

 名前はあとから誰かに聞いて分かったのだが、「なおみ」だったと記憶している。

 学校で彼女の事が気になり、時限目の休憩の間に彼女の教室に行き、窓越しに彼女をチラチラ見ていた。

 友達とキャーキャーとしゃべり合うタイプでなく大体一人でいる方が多かった様な記憶がある。

 というのも、彼女の笑顔を見た記憶がないのである。

 学校が引けると、私は先回りして土手に行き、彼女が歩いて来るのを待っていた。

 距離にして50メートルくらい離れた所で彼女に見つからないようにして、

 彼女がトボトボと帰って行く姿を見つめていたものだった。

 近づいて声をかける・・なんていう事はとてもじゃないが、そんな勇気は私にはなかった。

 これもあとから誰かに聞いて分かったのだが、彼女の自宅は「定内(さだない)」という所にあった。

 ここは学校から土手を歩いて20分位の所でそんなに遠い所でなく、

 川のすぐ下に広い林があり私たち悪ガキの遊び場があった。

 ここで遊んでは、彼女の家はどこだろう・・などと近くの住宅をチラチラと物色したものだったが、

 彼女の家は分からなかった。

 暇を見ては、授業が引けると土手に行って彼女のトボトボと帰って行く姿を見つめていた。

 帽子を被りうつむき加減で寂しそうに歩いて行く姿を見て、私は胸がキューッとなった。

 ある日私は彼女に何とかして近づいて声をかけてみよう・・と考えた。

 でも彼女に近づく方法が分からなかった。

 突拍子もない事をして気持を壊してはいけないと思いいろいろと考えたが、何かプレゼントするのが良い・・と思った。

 今度は何をプレゼントすれば良いのかが分からなくなり、困ってしまった。

 いろいろと考えて悩んで、結局は鉛筆を入れた筆入れにする事にした。

 なんでそう決めたのかは分からない。

 文房具屋に行ってまず筆入れを見たが、種類がいっぱいあって迷ってしまい困ってしまった。

 それまでに女の子にプレゼントをするなんていう事はあり得なかったし、迷うのも困るのも当然だ。

 もう忘れてしまったがとにかく可愛いやつを選んだ。

 あとは中味だ。

 鉛筆、消しゴム、定規・・など、これも女の子が喜びそうなものと思いいろいろ見るがこれも困ってしまった。

 頭が混乱するほど悩みに悩んでなんとか選んだ。

 選び終わって、これでいいのかな・・と考えてしまい、なんだか筆入れなんかつまらないのでは・・

 との思いがだんだんと強くなってきた。                           

 こんなものより、もっと喜びそうなものがあるのでは・・などと思ってしまうのだった。

 また頭がモヤモヤとなり、やはりこれだけではつまらないので、もうひとつ付け足そう・・という事にした。

 近くのおもちゃ屋に行ってまた物色をする。

 ここもいろいろあって目が回り頭が混乱してしまう。

 結局はお金もそんなにないし、綺麗な折り紙で作ったお人形に決めた。

 どんな思考回路でこうなったのか今も分からない。

 さて、あとはどうやって彼女に手渡すか・・である。

 又いろいろと頭が痛くなったが、やはり直接渡すしかない。

 ある日の放課後、私は筆入れと折り紙の入った袋を持っていつもの土手で彼女が帰って来るのを待っていた。

 彼女はいつもの様にトボトボと歩いて来た。

 私の胸はもうドキドキで何も考えられる状態ではなくなっていた。

 もう、当たって砕けろ、ダメならダメで仕方がない、やるしかない・・の心境だった。

 彼女に近づいて行き、「これ、あげる」と私は言った。

 これだけは今でもハッキリと覚えている。

 彼女はキョトンとした顔で私を見ていた。

 こんなに近くで彼女の顔を見たのは始めてだったし、私はもう考える力はなかったが、

 彼女の顔は本当に綺麗だった。

 色が思ったより黒かったが、その形が整った端正な顔だちを目の前で見た時、

 「なんと可愛い子なんだろう」とハッキリと思った。

 こんな気持でこんな近くに女の子の顔を見たのは始めてだったし、

 本当に綺麗なものを見た様な気がして、頭はボーッとなっていたし、

 気持までホアーン・・となったのを覚えている。

 彼女はだまって私の袋を受け取ってくれた。

 実は前の日から、これを受け取ってくれなかったらどうしよう・・と頭を悩ましていたのだ。

 私はこの頃は身姿も良い方ではなかったし、パッとした男の子でもなかったので、これを恐れていた。

 受け取ってくれた時は私は本当に安心した。

 彼女は無言だった。顔も嬉しそうな顔でもないし、ただキョトンとした感じだったのを覚えている。

 しかし、嫌がっているような表情でなかったので私は安心した。

 袋の中を見るでもないし、袋を手にしたまま彼女は歩いていった。                              

 私の足は地についていなかった。

 呆然として彼女の後ろ姿を見つめているだけだった。

 ここの土手は一直線になっており、数百メートル真っ直ぐだったので、

 私は彼女の姿が見えなくなるまでしばらくの間、夢心地で見つめていた。                          

 この日の彼女は赤いスカートに真っ白いソックスだった。

 ランドセルも赤だったので白いソックスが余計に眩しく見えた。

 そのソックスの真っ白がだんだんに小さくなってついに見えなくなった。

 「ああ、良かった、受け取って貰えて良かった」とやっと我にかえり、そう思った。

 あとどうやって家に帰ったか全然覚えていない。

 ハッキリと覚えているのは、彼女のキョトンとした私を見てくれた綺麗な目と

 だんだんと小さくなっていく彼女の後ろ姿だった。

 その後彼女に近づく事は一回もなかった。

 学校でいつもの様に彼女の教室に行き、そっと彼女を眺めてはいたが、

 彼女の方から私に何かをするとかは全くなかった。

 その後も私は土手に行って彼女のトボトボと帰って行く姿を何回も眺めていた。

 また、何かをして彼女に近づく・・という事もしなかった。

 それからどれくらい日にちがたったか分からないが、ある日から彼女の姿が見えなくなった。

 病気でもして学校を休んでいるのかと思いながら、何日か土手に行って彼女を待っていたが現れなかった。

 それとなく同級生に聞いてみたら、彼女はどこか遠い所に引っ越していった・・との事だった。

 私はショックでしばらくの間ガックリとした毎日を過ごした。

 ひょっとしたらまた彼女が現れるかもしれない・・などと思い、

 何回か土手に行ってみたが現れなかった・・

 彼女はとにかく綺麗な目で私の目をみてくれた・・それが一番の思い出となった。

 しかし、彼女との会話が一言もなかった。

 残念と言えば残念だがそれはそれで良かったのかもしれない。

 彼女の面影は今でもハッキリと私の頭に残っている。

 それだけでいいのかも・・。


 (余談)
 
 私は昭和60年3月から10月まで、8ヶ月間中国の上海で技術協力の仕事の為に生活をした。

 その生活は仕事面でも辛かったが、カルチャーショックなど精神的な苦労が多く毎日苦しい日が続いた。

 ある時友誼商店を歩いていると、ある版画が目に入った。

 「山西永楽宮壁画・玉女」という美人画の版画だ。

 その玉女の表情が家内にそっくりなのだ。

 これを寮の部屋に飾って置けば少しは元気が出るだろう・・と思い購入した。

 帰国後すぐに額に入れてその後ズーッと私の部屋に飾ってある。

 あれから何十年も経ったが一回も外した事がない。

 今、恥ずかしながら大昔の私の初恋の事を思い出してみたが、

 考えてみるとあの「なおみ」という女の子と、この「玉女」は顔がそっくり似ていると思う。

 でもあの子の顔をハッキリと覚えているのは、この版画の「玉女」を毎日見ているせいかもしれない。

 そして、遠い昔の初恋の人と、今の家内が似ている・・というのも何か不思議な運命を感じる。

 あの懐かしい思い出の土手は、今どうなっているだろうか・・。

 そして、あの「なおみ」という女の子はどうしているだろうか・・。                                                                                 

                       おわり   

       
         長駄文にお付き合いいただき、ありがとうございました・・