扇ガ鼻(アーカイブ版) H25.11.30 ガスまくり R7.2.3再アップ
扇ガ鼻山頂で日の出を向え、山頂下台地のピンクの花園を夢見ていたが、残念・・
待てど暮らせど終始ホワイトアウトの氷点下のガスまくり・・
諦めて、岩影で震えながらのビールタイムを済ませ、下台地東端に移動・・
そこには、めくるめく地獄と天国が交錯する世界が待っていた・・
一瞬、ガスが切れ、眩しいばかりの星生が姿を現した・・
ベートーベンの第九の歓喜の声が聞こえてくる・・(苦笑)
早朝の扇ガ鼻山頂と、すぐ下の赤川登山口への分岐です・・
何も見えない地獄の世界です・・
一番嫌なのが吹き飛ぶ氷点下5℃の吹雪です・・私自身が霧氷林になります(苦笑)。
暗い夜道を歩いて来て、この様な場所に立っているというのは、やはり異常な人間のする事です(苦笑)
山行記
ついこの間まで紅葉を楽しんでいたのに、あっという間に終わり、厳寒の九重がやってきた・・
冬山は夏山と違い、何倍も危険なので綿密な作戦を考えなければならない・・。
私は去年の11月末に体調を崩し(突然の目眩)、2カ月間山行を休んだ・・
今年の夏山朝駆けは何事もなく、無事に歩く事ができた・・。
しかし、冬山はそうはいかない・・
私は10月に71才になった・・只今高齢者中です(苦笑)。
冬装備を頭の先から、足の先まで考えなければならない・・
ザックも倍近く重くなる・・
何よりも、氷点下のブリザードの中を歩く体力を綿密に考えなければならない・・。
低体温症などで動けなくなったらお終いである・・
難しいのが「汗対策」・・
私は汗かきなので、下着が難しい・・。
ブレスサーモとかヒートテックを使っているが、効果がイマイチ分からない・・
沢山汗をかくと、吸湿速乾など感じられない・・
下着はこまめに着替えるしかない・・
手袋とかセーターはウールが一番暖かい事が分かった・・化繊はダメ・・。
ダウンインナーとフリースシャツは必携だ・・
ダウンジャケットと防寒ズボンも重たいがこれも必携・・
冬山山行で必ず要るのがホッカイロ・・
今年は新兵器・「ホッカイロ手袋」をネットで買った・・
靴の中は勿論、山頂に着いたら背中にも・・
最近オツムが急激に薄くなり敏感になり、今年から帽子の中にも入りました(苦笑)。
全身、ホッカイロだらけです(苦笑)。
氷点下15℃の山頂で、1時間も2時間もジッと耐えないといけない時がありますからね・・。
そんな事で今年の冬山第一弾は「体調の様子見」を第一義に考えてお手軽の扇ガ鼻とした。
今年2回目の寒波襲来・・
ライブカメラの九重は白くなっている・・
前日に男池のおいちゃん屋に電話して、道路の凍結の有無を確認・・問題なしとの事・・
一応、チェーンは用意した・・
やはり長者原から峠まで凍結していた・・元料金所前でチェーンを取り付ける・・
久しぶりの牧の戸P・・相変わらず車が多い・・朝駆け隊も多くなった・・
今年の牧の戸Pは異常なくらい登山者が多かった・・
毎日牧の戸Pライブカメラを見ていたが、夏から秋まで平日を問わず連日、車が満タンだった・・
これくらいの人があのコースを歩いているのかと思うと、「何だかな〜」となり
牧の戸を避けていた。
4時に取りつく・・
上の展望台に着くと、ガスが飛んでいる・・
沓掛を過ぎると、ほぼホワイトアウト・・
積雪は5〜10センチか・・
今年初の積雪の感触が足に響き快適だ・・
雪は冷たいが、白く柔らかで優しく美しい・・
登路周囲の樹氷が綺麗だ・・
汗をかかない様に ゆっくり、ゆっくりだ・・
いつもの様に、扇ガ鼻分岐の樹氷のトンネルが素晴らしい!・・
夜明けの期待に胸がふくらむ・・
分岐広場で、ジャケットと防寒ズボンを装着し、扇ガ鼻山頂を目指す・・
ホワイトアウトで何も見えない・・
風も強く、吹雪までいかないがガスミストがゴーゴーと飛んでくる・・
登り坂の樹氷が凄い!・・
珊瑚礁・・ボンボリ・・モンスター・・いろいろだ・・。
一人の新しい足跡があった・・
この足跡は台地東端に向っていた・・
私は山頂へ・・
山頂は立っていられないくらいのガス嵐・・
何も見えない地獄の世界だ・・
日の出時間(6時57分)まで粘ったが、ガス嵐は収まらない・・
諦めて、岩影で震えながらの朝食ビールタイムです(苦笑)。
ガスコンロを持ってきて良かった・・
おかず、ご飯とも熱々で食べられた・・。
この時の状態が上の写真2枚です・・地獄です(苦笑)。
今日はこれでお終いかな・・
今年最初の冬山にしては、九重の女神は厳しい試練を与えてくれたな・・と思い
山頂は諦めて、台地東端に移動・・
相変わらずガスはゴーゴーの嵐だ・・
東端にはやはり一人いた・・
大きなカメラをドンと立ててガスの切れ間を待っていた・・
挨拶をしながら、何だか見た事がある男性だなと思っていると
「オアシスさんじゃないですか・・」と言われて思い出したのです。
なんと、先月21日に三俣で会ったYさんだった・・
北峰山頂で紅葉散策を一緒にしたのです。
山岳写真家との事でカメラはデカイ中判カメラだ・・
樹氷談義をしながらガスの切れるのを待った・・
そして、ついにその瞬間がやってきた・・
ガスが少しずつ薄くなり、頭上に青空が見える様になってきた・・
星生西斜面を駆け上がり、扇ガ鼻山頂を超えた氷点下のガスが、
頭上を飛び越え、反対側の肥前が城の谷間に渦を巻いて飛んで行く・・
青空が見えては消え、消えてはまた見え・・
その圧倒的で巨大なエネルギーが私の身体を揺さぶる・・
この時の興奮は私は今まで何度も経験してきた・・
そして、これ以上ない澄みきった青空がガスの間に見え、
空が割れた様に広がり、その奥に白い星生がバーッと姿を現した・・
劇的なドラマティックな景色の展開・・というのはこの様な事を言うのでしょう・・
この世の景色とは思われない、まさに極上の世界なのです・・
これがトップの画像です・・
山頂では地獄だったが、「苦労すれば報われる・・」
九重の女神に感謝するだけです・・
Yさんと二人で、「地獄を乗り切った勝利」を分かち合いました(苦笑)。
私はもう一カ所寄りたい所があるので、Yさんと別れる・・
下り斜面の樹氷三昧を楽しみながら扇ガ鼻分岐に戻った・・。
以前から、星生尾根を美しく見たい・・と思っていて、そのポイントの散策だ・・
今年最初の冬山山行・・
かなり厳しい局面があったり、いろいろと不安もあったが無事終える事が出来た・・
一番気にしていた体調の事も問題なかった・・一安心・・
年寄りは油断は禁物だが、少し自信が戻ったのが大きな収穫だった。
帰路、男池のおいちゃん屋に寄った。
今年の営業は今日(30日)で終える。
来年3月1日の営業開始まで3カ月間お店はオフである・・。
山行の時は必ず寄って、名水を頂き、お喋りをしながら鴨うどんの昼食を摂っていた。
メニューにはない、おかずとデザートをいつもサービスして頂いた・・
力さんと奥さんにお礼を言ってお別れをしてきた
Yさんが狙っていたショットをパクラセテ頂き、私も横からパチリです(苦笑)。
なかなかガスが切れないので、かなり待たないとシャッターが切れない・・
九重の冬山は厳しいが、それに見合う感動を九重の女神は用意してくれる・・。
出来立てホヤホヤの霧氷・・キラキラが眩しい!・・
ここは、星生尾根下の池塘・・。
星生尾根をもっと勇壮に・・以前から考えていたアングルです・・
なかなかガスが切れないので、これを撮ったあと帰ろうとしていたら、
下界にいる山友のHEROさんから電話が入り、
下から見たら山頂付近はガスが無くなってきたよ・・もっと粘った方が良いよ・・」との事・・。
言う事を聞いて粘ったらガスが切れて、下の様に晴れました(苦笑)。
HEROさん、下界からアドバイス、ありがとうございました・・。
いつか、このアングルをモルゲンかアーベントで必ず・・
ご訪問いただきありがとうございました