雲海はすべての汚れを持ち去り、これ以上ない透明度の九重が姿を現した。                      
米窪壁と段原火口原壁と遠くの平治岳が茜色に染まり、見事なトリプルモルゲンロートとなった。
果てしなく続く広大な雲海が印象的だった。
  H19年マイベスト10  【天空の大雲海】(H19.9.26撮影)
今年のベスト10金賞作。勿論自称です(笑)。今年の山行で私が一番興奮した場面である。
ここは大船山頂。チョッピリ見える中岳、天狗ガ城、星生、三俣が分かりますか?。
この日は不思議な日でした。山頂到着時の暗闇で、坊ガツル上空を轟々と流れていた雲海が
着替えているわずか10分間のうちに消えてしまったのです。
しかし、その後吉部方面から再び雲海が流れてきて、坊ガツルを飲み込み、立中山を乗り越え、
怒涛の滝となり佐渡窪に流れ込んだのです。そして、そのあと、その雲海は巨大な流れとなり
見る見るうちにせり上がり、九重連山を飲み込み、天空の大海原と化したのです。
私はこの圧倒的な迫力に言葉を失い、ただ呆然と立ちすくむばかりでした。
  H19年マイベスト10  【立中山を飲み込み佐渡窪に流れ込む雲海】(H19.9.26撮影)
これは上の写真の約30分前のものである。
手前の鉢窪から佐渡窪に流れ込む怒涛の勢いはイグアスの滝を思い起こさせる。
吉部方面から流れ込む雲海はまるで荒れ狂う大津波の様だ。
このあと、この雲海は益々厚さを増し、せり上がり、上の写真の「天空の大雲海」と化す・・
   【劇的な、あまりにも劇的な・・】(H23.12.5撮影)
山頂到着時はホワイトアウト状態で何も見えなかったが、日没寸前になると同時に
まるで魔法にでもかかった様に上空が明るくなり一気にガスが消えた。
そこに姿を現した光景は、大雲海の中に浮かぶ九重連山だった。
押し寄せる雲海は大船山に激突し、火口原を這い、滝となり、怒濤の勢いで米窪に流れ落ちる・・。
まるで大河・長江の三峡ダムを思い起こさせる・・。
私はこの劇的な展開に遭遇し、間違いなく九重には魔物が住んでいると確信した・・。

大船西斜面、錦繍の茜色に染まる(H17.10.24撮影)
以前から逢いたいと思っていた景色・・
紅葉の最盛期に大船西斜面はどんな色でアーベントするのか?・・
もう、何も言う事はない・・
落ち行く夕陽を全身で受け止め、最後の力を振り絞って燃え上がる輝きに私は拍手を送った・・。
 怒濤の雲海、坊ガツル上空を行く・・(H16.11.13撮影)

ここは大船山山頂・・
深夜2時に有氏登山口から取り付き、やって来た・・。
山頂到着時はまだ暗かったが、坊ガツル上空が雲海に埋まっているのが分かり、 胸が躍る・・。
明るくなると同時に、あっという間に坊ガツルは雲海に飲み込まれた・・     
水平線から顔を出したばかりの太陽が真横から雲海を照らし妖しげなピンク色に染まる・・
雲海は吉部方面から久住町方面に、まるで大河長江のごとく
大きなうねりをたてて轟々と流れていく・・
そして、紅葉を終えたばかりの九重連山が茜色に輝く・・
なんと壮大な景色であろうか・・