成功参考事例
 
 

いよいよ全固体電池時代の幕開け FDK株式会社

かねてよりFDKが特許申請しておりました『全固体電池の製造方法』を申請より1年半が経過したので 2018年6月21日公開特許公報(A)として公開していました。
リチウム二次電池は、各種二次電池の中でもエネルギー密度が高いことで知られていますが、 従来のリチウム二次電池の問題点は、電解質に可燃性の有機電解液を用いているため、液漏れ、短絡、過充電、発煙、発火などに対する安全対策が他の電池よりも厳しく求められていました。
問題の解決策として、液体電解質部分を固体に換えることで、充電スピードのアップ、加熱防止、大容量 化等の利点が認められ、そのため各社で開発競争がなされてきました。

FDK株式会社では、空隙がなく緻密性の高い積層電極体を備えた全固体電池を2度の焼結によりそれを実現できました。
2度の焼結により結晶化された固体電解質部分が、他社製品より10倍の重量 容量密度を備えることが可能になりました。
現在リチウムイオン電池がもっとも優れた重量容量密度といわれておりますが、今回FDK株式会社が開発した全固体電池の重量 容量密度は860Wh/kgです。 通常のリチウムイオン電池の重量容量密度が201Wh/kg。 例えば日産リーフの最も容量の大きいリチウムイオン二次電池が40Wh/kgです。 単純比較でもかなりの重量容量密度と言えます。

サンプル出荷は年内を予定しておりますが、サンプル出荷時には5.0Vの製品の出荷になると考えられます。

特開2018-97982 全固体電池の製造方法 2018年6月21日
特開2018-98133 空気二次電池     2018年6月21日
特開2018-98964 充電装置、電子機器  2018年6月21日

※重量容量密度とは 蓄電池や燃料電池などの性能指標の一。単位 重量当たりの電池の容量を意味し、この数値が大きいほど、軽量化に向く。1キログラム当たり1ワット時の電力量 をもつ場合、1Wh/kgと表される。

 

コバルト問題

コバルトは、銅やニッケルに比べて採れる量が桁違いに少なく、年間産出量 の53%を占める国、アフリカのコンゴ民主共和国に積極的に投資してコバルトの精製品の8割近くを生産するのが中国の企業。劣悪な環境下での児童労働が問題になっている。
コンゴ民主共和国は1985年から6回も国名が変わった政情不安な国だけに増産も容易ではない。

高性能な充電式の電池に利用されるリチウム二次電池。正極材料にはレアメタルのコバルトが使用されたコバルト酸リチウム「LiCoO2」などが用いられているが、コバルトが不足することで材料コストの上昇が懸念されている。

コバルトに変わる物質

低炭素社会の実現に向けて開発が進められている電気自動車には、大容量 のリチウム二次電池を必要とする。そのためコバルトに変わる構成元素として、地球上に豊富に存在する「鉄」を用いた材料が注目されているという。

富士通研究所は2017年5月、従来のコバルト系材料に匹敵する高い電圧を持つ、リン酸鉄系リチウム二次電池用正極材料の開発に成功したと発表した。
従来の鉄系材料を用いたリチウム二次電池はコバルト系の材料を用いたものと比べ、エネルギー密度の点で及ばないという課題があった。エネルギー密度は容量 密度と電圧の積で表されるが、コバルト系材料の持つ電圧が3.75〜4.1Vなのに対して、鉄系材料の持つ電圧は2.8〜3.5Vと低い。電圧の高い鉄系材料の開発が求められていた。
鉄系正極材料の高圧は、結晶中の鉄や酸素などの原子位置に大きく影響される。
富士通研究所は材料の結晶構造と電気化学特性の相関を分析したことで、鉄原子周囲の酸素の配置をゆがんだ構造とすることが、電圧の向上につながることを発見した。
また原料の配合と材料形成を精密に制御する独自の技術により、新しいリン酸鉄系の材料であるピロリン酸鉄リチウム「Li5.33Fe5.33(P2O7)4」の合成に成功した。新材料を用いてコイン型電池を試作し、電気化学特性を評価した結果 、コバルト系材料に匹敵する3.8Vの電圧が実現できることを確認したとする。従来のリン酸鉄リチウム「LiFePO4」に代表されるリン酸鉄系材料よりも高い電圧を持っているという。

空気二次電池

同時に特許公開された空気二次電池も全固体電池を凌ぐ可能性を秘めている。